書籍の詳細

百合女子に目覚めた藤ヶ谷沙織と、百合をこじらせて行く花寺啓介。いっぽう、結成するも数秒で解散してしまった百合男子連盟の面々も、悩みを抱えていた。こらそこ、「どうせくだらない悩みでしょ?」とか言ってはいけない。彼らは至って真剣なのだ。現実と虚構を混同する輩に憤慨する鎌倉豊、萌え豚と百合豚のギャップに憤る桜ヶ丘健司、流行りと廃りに苦悩する武蔵野弘之。そして過去と現在に苛まれる籠目正二郎が、またしても啓介の前に立ちはだかる…!!著者渾身のヒューマンドラマ、遂に堂々の第一部完!!

総合評価
5.0 レビュー総数:2件
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百合男子のレビュー一覧

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  • 匿名希望
    百合男子が描く百合男子
    女子と女子との微妙な関係性や感情を描く、百合というジャンル。
    少女漫画の中で育ってきた印象がありますが、だからこそか、このジャンルを愛好する男性も。そんなひとりである花寺啓介の物語。
    男性なのに百合が好きであり、百合の世界の中では男性は要らない。リアルと空想世界のせめぎ合い、彼はどこへ向かうのか。リアル百合と百合作品とを愛する熱い(ある意味勘違いな)青年の物語。彼の姿は百合男子である作者さんの投影でもあるようです。なので、説得力がありました。
    そんなこんなで全5巻で完結……しませんでした。続編『俺の嫁なんていねえ!』が満を持して連載開始。しかし、『俺嫁』コミックス1巻目があまりにも売れず、連載打ち切りの危機とのこと。2016年3月18日から月末まで、ebookjapanを含む電子書店で『百合男子』全巻を無料公開し、もしもそれで連載を再開できるだけの支持が得られる(つまり『俺嫁』1巻が売れる)ようなら状況は変わるようです(連載誌『コミック百合姫』2016年5月号(3月18日発売)より)。
    ともあれ、未読の方にはこの機会に御一読をお勧めします。人とは違う趣味を持つもの特有の哀しみ、そして勘違いや身勝手やイタさを含む熱さ。見逃すのはもったいないですよ。
    • 参考になった 5
    投稿日:2016年03月18日
  •  僕が暗い青春を過ごした90年代は、「ハーレムもの」の全盛期でした。「パッとしない男がなぜかたくさんの女の子にモテモテ」という、基本にして絶対のテーゼによって作られた作品の数々、現実でパッとしていないたくさんの僕達はみな夢中になったものでした。それが2000年代も半ばになると、男がほぼ全く登場しない作品が増えてきたではないですか。
     作品を楽しむ切っ掛けとして、共感というものはとても重要な要素だと思っています。登場人物の誰かに自分を重ねあわせるから、作品世界に入っていける…。しかし、女の子たちがキャッキャウフフと仲良くしている作品には感情移入する先が必要ありません。それは、共感して物語をたのしむのではなく、女の子たちの日常を傍観者として楽しむという新しいスタイルなのです。作品世界を見渡す神の視点…というよりはむしろ、ピーピングする虫の視点なような気がしますが…。
     『百合男子』は女の子たちがキャッキャウフフする世界を心から愛する高校生・花寺啓介が主人公。絵柄はとても可愛らしく(女の子が鼻筋が通っていて可愛い)、啓介もBL漫画のような容貌をしていますが、中身は男…いや漢! 啓介は、百合専門誌「百合姫」を愛読しているうちに、だいぶ重症になってしまい、現実の女子たちにも百合を重ねあわせてしまっています。現実の素敵な百合を見たいがために、同級生に対して半分ストーカーしたりしています。
     そんな現実と妄想をごっちゃにする啓介にも、同志と呼べる百合男子が登場します。しかし、大きな違いよりも細かな差異のほうが気に障るのか、お互いの趣味嗜好を貶し合う結果に…。
     そんな彼らを啓介は「一人は百合のために!みんなも百合のために!!」と一喝し、百合という大道を志す同志として結束させます。啓介は百合のリーダー、「百合ーダー」として百合の荒野を邁進していくのです。
     百合という、可憐さと美しさで固められたジャンルを語る暑苦しい男たち…。何度も言いますが、絵柄はとても端正で可憐なのですが、そこで描かれている「漢」の暑苦しさは、少年漫画でも最近ちょっと見かけないレベル。語られる百合理論は押井守のように饒舌で、百合のために闘うアクションシーンは『ドラゴンボール』顔負け。この加速していくギャグシーンはかつて見たことの無いレベルです。
     『百合男子』を読んで百合にハマれるかどうかは個人差があるかもしれませんが、1つのジャンルを夢中に語る、漢たちの熱さが確かに心に伝わってくるのです。
     冒頭で啓介が叫ぶ「我思う、ゆえに百合あり。だが そこに我、必要なし」という悲しい決意が、人々との関わりでどのように変わっていくのか、最後まで読んで目撃して欲しいですね。
     
    • 参考になった 9
    投稿日:2015年04月10日