書籍の詳細

2012年女子サッカーワールドカップを制した「なでしこジャパン」が狙うは、2012年ロンドン五輪での金メダル。FIFA女子年間最優秀監督賞を受賞した佐々木監督が、チームの未来像や自らのサッカー半生、日本の女性が持つパワーを語り尽くす!「単なる「団結力」や「精神力」では十分に言い表すことができない。他国がいまだ備えていない特筆すべき長所が、なでしこジャパンには確かに存在するのだ――」(本文より)

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  • 〈心を一つにする。厳しく濃密なトレーニングにも高い集中力で取り組む。崖っぷちに追い込まれても絶対に諦めない。どんな相手にも、臆することなく普段どおりの自分を表現する。そして何より、大好きなサッカーをとことん楽しむ。これら日本の女性に備わるポジティブなパワーを、僕は「なでしこ力(ぢから)」と呼ぶ〉なでしこジャパンを率いた佐々木則夫監督は、『なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう!』の続編となる最新著『なでしこ力 次へ』にこう記しています。サッカーの聖地・ウエンブリーに8万人を超す観客を集めて行われたロンドン・オリンピック決勝。アメリカと互角の戦いの末、2-1で敗れたとはいえ、準々決勝でブラジル、準決勝でフランスを撃破、初めての決勝進出を果たしての銀メダルです。日本サッカー初の快挙であり、日本のサッカー史に残る偉業です。アメリカの監督をして「なでしこのサッカーにこれからの女子サッカーの姿がある」といわせるほどそのパス・サッカーの質は高く、戦いぶりも感動を呼びました。なでしこジャパンは、いかにしてつくられ、成長を続けてきたのか。その秘密は、内実はどうなっているのか・・・・・・なでしこたちが「ノリさん」と親しみを込めて呼ぶ、佐々木則夫監督がオリンピックに臨む直前の2012年4月に講談社より出版、時間をおかずに電子書籍化されたのが本書です。前著『なでしこ力 さあ、一緒に世界一になろう』出版後の2011年7月にドイツで行われたワールドカップで優勝、文字通り世界一になったところから、ロンドン・オリンピックに向かう時期を中心に綴られているのですが、特に印象的なのは、「なでしこのサッカーとは何か」を懇切丁寧に教える段階から、選手たちが自分で考え、そして考えていること、感じたことを自分の言葉で表現することを重視する姿勢に転じたところです。少し長くなりますが、引用します。2010年5月、ワールドカップ予選を控えての合宿の合間に行われた壮行試合後の記者会見で宮間選手が記者の質問に答える場面です。〈「このチームに足りないのは、自分の考えを仲間に伝えることだと思います」一部の記者は、その言葉を「遠慮なしに言いあいをする」という意味だと解釈した。だが宮間はすぐに「そうじゃないですよ」と、説明を補足した。「言いあいじゃないんです。自分はこういう意図でプレーした、とか、この場面で私にどうしてほしかったですか、とか、こうしたらもっとチームがよくなると思うよ、とか。そんなふうに、思っていることをみんなが言葉にして、共有する作業が足りないと思っているんです」宮間の説明をさらに補足すると、こういうことだ。選手はみな、先輩や監督の言うことをただ聞いているだけでは不十分だ。誰かの指示や判断に従って練習したり、試合をしたりするばかりでなく、自分自身の判断や知恵をチームに向けて発信すべきだということだ。他人の意見を自分の中にインプットするだけでなく、自分も自分の意見をアウトプットし、チームメイトと問答すること。その問答が、すなわちチーム自体に新たなインプットをもたらすことになる。なでしこジャパンは、まさしくそのようにしてチームの「集団的知性」を高めるべき段階にあった〉集団的知性。聞き慣れない言葉ですが、社会学において、多くの個人が協力したり切磋琢磨しあったりすることで、その集団自体に知能や精神が存在するかのように見える知性のことを指すそうです。北京オリンピックのベスト4の壁を破って世界一を目ざすためにはこの「集団的知性」が絶対になくてはならない要素だと考えた佐々木監督はチームの意思決定の裁量を6割程度、選手に与えるように変えたそうです。その一環として、絶対的な存在だった澤選手から中堅の宮間選手へのキャプテン変更の模索を始め、ドイツワールドカップ優勝後に実行に移しました。宮間キャプテンを先頭になでしこジャパンはロンドンに乗り込み、すばらしい結果をだしたことはご存知の通りです。ロンドン・オリンピックでなでしこジャパンが見せたひたむきさ、サッカーの質は本当にすばらしいものでした。北京からロンドンまでの4年間――なでしこの進化の過程を指揮官自身が包みかくさずに綴った本書は、サッカー戦記としてばかりではなく、組織論、マネジメント論としても傑出しています。女子力を生かすことが問われている時代の実践ビジネスの書として読んでおきたい一冊です。(2012/8/17)
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    投稿日:2012年08月17日