書籍の詳細

出会いほど素敵な瞬間はない!高校三年生の伊達公子に出会って、無気力な編集者だった僕は、スポーツライターに転身した。それから十年。中田英寿に出会い、武豊に出会い、有名無名さまざまな出会いを経験した。ときに怯え、二日酔いに苦しみ、ワールドカップの取材にあえぎ、阪神タイガースに救いを求めつつ──日本がどうやったら勝てるか、心底からの気持ちを文字にし続けたら、気がつくと今の僕があった。金子達仁が新境地をひらく瞬間に立ち会える記念碑的エッセイ集。

まだユーザーレビューはありません。最初のレビューを書いてみませんか?

いつかどこかで。のレビュー一覧

絞込み条件
  • レビュアー絞込み
表示形式
  • 表示件数
  • 表示順
  • もうすぐ、ロンドン五輪が開幕。開催期間中は、いろんな競技の記事が百花繚乱のように並ぶことでしょう。『いつかどこかで。』は、屈指のスポーツライターである金子達仁のエッセイ集。著者の名前は主にワールドカップをはじめとしたサッカーの論評等で目にしていましたので、サッカーが専門かと思っていましたが、そのフィールドの広さに驚きました。なにしろ、サッカーを観たくてサッカー専門誌がある出版社に就職した著者ですが、「あまりにもサッカー・クレイジーすぎる」という理由で配属されたのはテニスの専門誌。そして、インターハイの取材をすることになって出会ったのが伊達公子。その伊達についての記事を本人が目にして著者に伝えた一言が、「人間について書くことの喜びを知った」のだそうです。サッカーではなくテニスのアスリートの言葉がなかったら「私はまったく違う人生を送っていたかもしれない」というのはちょっと意外な話です。本書には、プロ野球や日韓野球、大相撲、競馬…多彩なフィールドに渡って「本音」と思しき言葉を目にするページが少なくありません。ある大監督に対しての批判の記事を書いたときなどは、「雑誌が発売されると、私はすべてをほっぽりだして逃げ出したくなった」等、切っ先鋭い記事とは裏腹の著者のおどおどした気持ちが表れています。そして、高校野球がなぜ人の心を惹きつけるのかを書いた稿を目にした瞬間には、ドキリとさせられました。エッセイだからと、読み手が勝手にリラックスしてはいられないあたりが著者の著者たるゆえんなのかもしれません。(2012/7/24)
    • 参考になった 0
    投稿日:2012年07月24日
  • スポーツ、なかでもサッカーとそれに関わる人たちを描いてきたライターが、ライター稼業をしてきたなかで考えたこと、感じたことをおそらく脚色なしに綴った書だ。傲岸の代名詞となった感さえある中田英寿だが、オリンピック代表に初選出されたときのエピソードから彼は本来そんなふてぶてしい男ではないことがわかる。「大将、よろしくお願いします――そういいにきたんですよ、あいつ」中田が挨拶に行ったのは監督でもキャプテンでもなく、チームで最も重要な選手と思った小倉隆史だった。金子達仁はスポーツ報道の波に埋もれてしまった「真実」を独特の感覚、そして嗅覚で拾い出す。〈2000年の欧州選手権、もしかしたら代表での最後になるかもしれない試合が終わった直後、ストイコヴィッチがまず握手を求めにいったのは主審でした。「だって彼のジャッジメントはパーフェクトだったからね。一言、それを伝えておきたくて」ピクシーといえば、審判に文句をつけてばかりという印象のあった僕は、彼の言葉にまずびっくりし、次に脱帽しました〉ピッチでくり広がれるプレーと同様に、ときにはプレー以上に深い感動を与えることになるゲーム終了後のちょっとした光景。金子達仁はスポーツに鳥肌の立つような感動を求めている。だから、胸を打つシーンのなかったゲーム、手をこまねいてそれを許してしまう監督、そしてプレーヤー自身に対して厳しい批判者であろうとする。そんなライターの覚悟が伝わってくる。(2009/12/4)
    • 参考になった 2
    投稿日:2009年12月04日