売国

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検察、宇宙、陰謀――真山仁の真骨頂!日本が誇る宇宙開発技術をアメリカに売り渡す「売国奴」は誰だ!?検察官・冨永と若き研究者・八反田遙。陰謀渦巻く骨太社会小説。テレビ東京系ドラマスペシャル『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』(出演 玉木宏 仲代達矢ほか)原作。気鋭の特捜検事、冨永真一。宇宙開発の最前線に飛び込んだ若き女性研究者・八反田遙。ある汚職事件と、親友の失踪が二人をつなぐ。そして炙り出される、戦後政治の闇と巨悪の存在。正義を貫こうとする者を襲う運命とは!?雄渾な構想と圧倒的熱量で頁を捲る手が止まらない!真山仁の超弩級謀略小説。解説・関口苑生

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検察、宇宙、陰謀――真山仁の真骨頂!日本が誇る宇宙開発技術をアメリカに売り渡す「売国奴」は誰だ!?検察官・冨永と若き研究者・八反田遙。陰謀渦巻く骨太社会小説。テレビ東京系ドラマスペシャル『巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲』(出演 玉木宏 仲代達矢ほか)原作。気鋭の特捜検事、冨永真一。宇宙開発の最前線に飛び込んだ若き女性研究者・八反田遙。ある汚職事件と、親友の失踪が二人をつなぐ。そして炙り出される、戦後政治の闇と巨悪の存在。正義を貫こうとする者を襲う運命とは!?雄渾な構想と圧倒的熱量で頁を捲る手が止まらない!真山仁の超弩級謀略小説。解説・関口苑生

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 社会派の旗手・真山仁が文庫化された『売国』(文藝春秋、2016年9月16日配信)で「巨悪」として描くのは、戦後日本の深層に根をはったシステムそのものだ。
 ユニークな語釈で知られる『新明解国語辞典』(三省堂)は「売国」を〈〔自分の利益のために〕自国の不利益になるようなことをすること〉と説明しています。自分が得するために国を売るというわけですから、もし権力を握る政治家や高級官僚がそうした行為に手を染めていたとしたら、これ以上の不正義はありません。
 本書巻末収録の「電子版オリジナル特典/真山仁『売国』を語る」で、真山仁は次のように語っています。
〈(東京地検)特捜部が舞台の小説で、エンターテイメントとして一番重要な要素はやっぱり「誰を逮捕するか」に尽きると思うんです。読者に「こんな人を捕まえちゃうんだ」と驚いてもらえるようにどんな悪い奴を作るかは相当悩みました。現実の世界では実名を出すことでインパクトがある場合がありますが、フィクションではそうもいかない。そうすると逮捕される人物の「肩書」が重要になるんですが、既に現実の世界で元・総理大臣がロッキード事件で逮捕されています。とすると、冨永が総理大臣を逮捕しても読者はそれほど驚かないかもしれない。それを超える肩書となると、アメリカ大統領かなとも考えましたが、流石にそれは荒唐無稽すぎる(笑)。
 そこで発想を変えて、「巨悪」を個人からシステム的なものにしようという中で出てきたのが、今回の「敵」です。一見すると悪い奴は明らかなのですが、実はその背後にはとんでもなく大きな黒幕が控えていて、日本の「国益」を損うような悪事が行われている。それが何なのかは本を読んで、大いに驚いてもらいたいのですが(笑)……〉

「個人ではなくシステムとしての巨悪が敵」と言いきった真山仁が本書で見すえるのは、戦後日本を覆うアメリカの影――。
 サンフランシスコ平和条約発効によって占領が終結し、日本が主権国家として独立を果たした昭和27年(1952)から3年――昭和30年(1955)冬に物語は始まります。
 家庭への普及が始まったテレビから流れるニュースは戦後復興の成功を高らかに宣言し、力道山の空手チョップが貧困や敗北感を吹き飛ばした。そして物質的な豊かさが国民の日常に浸透しつつあった昭和30年。翌昭和31年には、経済白書が「もはや戦後ではない」と謳いあげ、日本経済の高度成長が始まった。そんな時代に、一人の青年が通産官僚の道を歩み始めます。

〈一月一〇日、橘洋平(たちばなようへい)は〝鎌倉の老人〟に呼ばれた。〝鎌倉の老人〟は、戦前の満州経営に辣腕(らつわん)を振るった一人だ。敗戦後、A級戦犯として収監されたものの、釈放され鎌倉に隠棲している。その影響力は今なお健在で、中央政界のみならず財界や官僚達にも及んでいる。そして橘は老人の口利きで、昨年の秋に通産省に入省した。(中略)
「先週、彼が、会いに来たんだよ」
「呼んで下さればよかったのに」
「二人きりがいいと判断したんだ。愉快な男だったよ。あれはまさしくサムライだな。国破れて猛者あり。ああいう男がいてくれるのは心強い」
 あの男なら、怪物のようなこの老人を前にしても熱弁を振るうだろう。
「占領軍を進駐軍と呼び、敗戦を終戦と呼ぶ我が国の欺瞞に心底から憤っていたよ。そして、我々は何がなんでも未踏の分野で世界一を目指さなければならないと言っていた。この男、日本を蘇らせるよ。きっと、とてつもないことをしでかすに違いない」
 頑固一徹の老人を、教授はたった一度の対面で夢中にさせてしまったらしい。(中略)
「ところで私は前々から、人生の使命を考えよと言ってたが、もう見つかったかね」
「肝に銘じております。しかし、一命を賭するほどの使命には、なかなか出会えません」
 敗戦という大きな喪失感の中で、老人の言う使命とやらを橘なりに探してはいた。しかし、命を賭してまで守るべきものなど本当にあるのだろうか。
「ならば教授の後方支援が君の使命と思いたまえ」
 あんなホラ吹き男を支えよと言うのか……。
「ドン・キホーテだと笑う奴もいるだろうが、どうやら成果が出始めているようだぞ。いずれ星条旗が妨害に入るだろう。それを阻止して欲しい」
 まさか。教授一人が奮闘したところで、所詮は蚊が巨人の脛を刺すようなものだ。米国は気づきさえしないだろう。
「年寄りの妄想とでも思ってるのかね。日本というアジアの小国が生き残る唯一の方法は、世界にとって掛け替えのない存在となることだ。日本なしでは世界は立ちゆかない──そんな国にならなければ復活の目はない。宇宙開発には、その可能性がある」〉

 占領軍を進駐軍と呼び、敗戦を終戦と呼ぶ我が国の欺瞞に心底から憤っていたという男は、東京大学音響工学教授の肩書きを持つ糸川英夫博士。戦前は陸軍の戦闘機「隼」や防空戦闘機「鍾馗」の開発に携わった飛行機屋でした。終戦直後からアメリカに留学、帰国するや、ロケット開発の重要性を説いて回り、それがペンシルロケットに始まる日本独自の固体燃料ロケット開発に発展していきます。その功績で糸川博士は日本のロケット開発の父といわれています。フィクションの本作品中実名で登場しているのは糸川博士だけです。

 糸川教授の後方支援が君の使命だ、星条旗が妨害に入るだろう、権力を手に入れてそれを阻止して欲しい――〝鎌倉の老人〟から宇宙開発へ日本を導けと託された若き通産官僚・橘洋平。橘は保守政界の重鎮の地位に登り詰め、政治資金疑惑を捜査する特捜検事・冨永真一(とみながしんいち)の厳しい追及を受けることになります。不祥事が相次ぎ地に堕ちた検察、特捜の復権のためには大疑獄で結果を出さなければならない。それこそが体制刷新された特捜部の至上命題だった。
 証拠を丹念に読み解き、地道に積み上げていく証拠重視主義が買われて初めて特捜部に抜擢された冨永検事と女房役のベテラン検察事務官の五十嵐鉄夫(いがらしてつお)は国税庁の告発を受けた脱税捜査で見つけた群馬県の中堅土建会社会長の手帳を手がかりにターゲットの橘洋平に迫ります。
 対峙する二人の視線の先には、宇宙開発に取り組む科学者たちの夢があります。それは日本の「国益」とどうつながるのか。〝鎌倉の老人〟が危惧したアメリカの妨害はあるのか。あるとしたら、それは誰によって、どのように仕掛けられるのか。そして、東京地検特捜部は〝巨悪〟をどこまで追い詰めることができるのか。正義は貫かれるのか……物語は、最後の最後で思わぬ展開を見せます。これぞ一級のエンターテイメント作品と言っていい結末です。

 日本は本当に「独立国」なのだろうか……。
 そういえば、こんな一節がありました。最高検次長検事の小松一平(こまついっぺい)から突然の電話で呼び出された羽瀬喜一(はせきいち)が検事総長補佐役の部屋を訪ねるシーンです。羽瀬は法務省刑事局の閑職で無聊を託つ昔気質の検事だ。今日のうちに古巣から声が掛からなければ辞表を出そうと腹を固めていた。

〈次長検事室からは笑い声が漏れ聞こえていたが、羽瀬は構わずノックした。
「やあ、ご苦労様」
 痩身の小松が軽く右手を挙げた。(中略)
 先客は、知らない顔だった。羽瀬より先に会釈してきて、礼儀正しいが目は笑っていない。そういう職業なのだろうと心に留めた。
「出直しましょうか」
 羽瀬はわざと言った。このタイミングで呼ばれたのは、小松がこの男を追い出したかったからに違いない。
「いや、もう話は終わったので、大丈夫です。国松(くにまつ)さん、紹介しておきましょう。私が厚い信頼を寄せている検察官、羽瀬君です。こちらはNSAの国松審議官だ」
 NSAと聞いて一瞬、戸惑ったが、総理の肝いりで設立された国家安全保障関係のセクションの略称とすぐに思い出した。
 わざわざ部屋の外まで出て審議官を送り出した小松が戻ってきた途端、それまでの柔和な顔が一変した。
「アメリカの犬めが」
 小松は吐き捨てるように言い、不快感を隠そうともしない。
「安全保障会議の方ですか」
「その事務方のナンバー2だよ。まったく、とんでもない食わせ者だ。着任のご挨拶だと言いながら、特定秘密保護法違反については、どしどし検挙するように努めて欲しいという総理様のご意向をほのめかしやがった」〉

「総理の肝いり」「総理様のご意向」……名前をつけずにただ「総理」とする、その書きっぷりに、つい最近も国会で所信表明の演説中、自民党議員に起立・拍手を求めて物議をかもした〝一強〟安倍首相の顔を思い浮かべてしまいました。奥付に「本書はフィクションです。登場する企業、団体、人物などは全て架空のものです」とちゃんと断り書きがあるのですから、著者にそんな意図があろうはずがありません。絶対そうにちがいないのですが、それでも読んでいるとどうしても、ある顔が目に浮かんできてしまうのですから、本を読むことは面白い。(余談、脱線でした)
 話を戻します。最高検次長検事の小松は羽瀬に「副部長」での特捜復帰の内示を伝え、実質責任者として特捜新体制による巨悪捜査を託すのですが、それにしても「アメリカの犬」です。見た目は地味な佇(たたず)まいの次長検事の口からはき出された激しい言葉は、権力システムの闇に溶け込んだ巨悪に向けられたものではないのか。
〝売国の巨悪〟に挑む特捜副部長・羽瀬と富島検事は、はたしてどうなるのか。橘洋平はいったい、どう動くのか……思いもかけぬラストシーンに、あなたは何を思うのでしょうか。(2016/10/7)
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