終着駅

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デビュー作『時刻表2万キロ』と『最長片道切符の旅』の間に執筆されていた幻の連載「終着駅」。当連載を含む発掘作品で構成される、宮脇俊三最後の随筆集。あらゆる鉄路を最果てまで乗り尽くした著者が注いだ鉄道愛は、果てなくどこまでも続く。消えゆくローカル線の旅情を紡いだ「鉄道紀行文学の父」が届ける車窓の記憶。

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デビュー作『時刻表2万キロ』と『最長片道切符の旅』の間に執筆されていた幻の連載「終着駅」。当連載を含む発掘作品で構成される、宮脇俊三最後の随筆集。あらゆる鉄路を最果てまで乗り尽くした著者が注いだ鉄道愛は、果てなくどこまでも続く。消えゆくローカル線の旅情を紡いだ「鉄道紀行文学の父」が届ける車窓の記憶。

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書店員のレビュー

2003年2月に旅行作家・宮脇俊三さんが亡くなってまもなく10年です。時刻表を読むのが何より好きだったという宮脇さんの最後のエッセイ集――『終着駅』が先頃、電子書籍リリースされて読みました。著者の「終着駅」への心情が率直に語られていて、「旅」というものへの思いとともに、「昭和」という時代への懐かしさが甦ってきました。「終着駅」について、宮脇さんはこう書いています。〈私は鉄道の時刻表の愛読者であり、それが昂じて国鉄全線に乗ってしまったような人間なので、約一二〇ほどある終着駅のすべてに一度は降り立ったことがある。その経験から言うと、「終着駅の旅情とは、そこに至るまでの線路と旅客との交情によって生まれる」となる。私なりの貧しい定義だが、そう思っている〉その宮脇さんが「終着駅」の代表格としてあげるのが、北海道の稚内(わっかない)です。日本最北端の駅、さいはて、宗谷海峡、カラフト・・・・・・と旅情たっぷりのキーワードが並びますが、改札口を出ると、せっかくの旅情を冷ましかねない町があるという。稚内はじつは道北第一の活気ある漁業都市で、「さいはての町」のイメージとはちょっと違った雰囲気だ――宮脇さんはこう続けます。〈けれども、稚内を終着駅とする宗谷本線は別の顔を持っている。とくに幌延(ほろのべ)から稚内までの車窓は、日本にもこんな寂寞としたところがあるのかと思わせる。おすすめしたいのは、札幌発21時20分の急行「利尻」で、四月から九月までなら、幌延に着くまでに夜が明ける。急行ではあるが、古風な客車列車で、鈍行なみの速度で走ってくれるのもよい。午前五時すぎ、左窓にサロベツ原野が広がりはじめる。牧場と湿原だけの淋しすぎるような原野である。サロベツ原野が終り、六時ごろ抜海(ばっかい)という駅をゆっくり通過する。蒸気機関車の撮影場所として名高かった駅である。クマ笹と這松のような形をしたミズナラだけの無人の丘陵の間から突然崖の上に出ると、窓の下に海、そして朝日を浴びた利尻富士の全景が見える。(中略)抜海から一五分、にわかに赤や青の金属屋根が続々と現れて南稚内に停車、そして6時22分、「利尻」は、さいはてらしくない活気ある終着駅稚内に着く〉残念なことに、この急行「利尻」は2003年3月のダイヤ改正で急行から特急となり、さらに2006年3月には特急も廃止されました。ですから、いまは宮脇さんがこれぞ終着駅への旅として紹介しているような、夜行列車で夜明けの大地を行く旅は残念ながら味わえないようです。そのような意味での「昭和の旅」はもはや望むべくもないのかもしれません。高速化による時間短縮、便利さの追求の一方で、ゆったりした時間の流れや生活のリズムが失われてきました。長い道のりの果てにたどり着く終着駅だからこそ、人々の様々な思いが交錯し、ドラマが生まれてきたのですが、目的地に一直線に向かう飛行機の旅は、おそらくまったく異なる感性をつくりだしていくのではないでしょうか。宮脇俊三さんが歩いた終着駅への旅は、そのまま「昭和への旅」となっています。稚内を例に紹介してきましたが、終着駅はいうまでもなく稚内だけではありません。日本全体では約120あるそうです(もっとも宮脇さんが本書を書いた昭和時代の話ですから、現在では少し変わっているかもしれません)。遠隔地ばかりではなく、例えば、東京駅も大阪駅も終着駅ですが、線路とホームの形状が「終着駅」らしくありません。「通過式停車場」という形式で、線路がホームによって遮られずに先へ延びています。これに対して、映画「終着駅」の舞台になったローマ中央駅(テルミニ)は列車が三方をホームに囲まれた袋小路に突っ込んで停まり、正面に駅舎がある形式です。これが終着駅の原型といわれる「頭端式停車場」で、ロンドンでもパリでも、ニューヨークでも皆この形式です。日本でも明治期の駅は、新橋でも上野でも「頭端式」でした。それが効率化のために通過式もしくは併設型に改造されてきたのですが、大阪の片町駅は原型の頭端式のままとなっている珍しいケースだそうです。最後に都会にある意外な終着駅を一つだけ紹介しておきましょう。宮脇さんによれば「磯の香りのする終着駅」。鶴見線の海芝浦です。ホームの鉄柵の下を覗き込むと、真下に海があるそうです。東京駅から小1時間、横浜駅から20分余り。京浜工業地帯の外れ、どん詰まりの、意外にいい光景です。(2012/9/21)
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