書籍の詳細

日本のディクスン・カーと称され、45に及ぶ密室トリックを発表してきた推理小説の大家、真壁聖一。クリスマス、北軽井沢にある彼の別荘に招待された客たちは、作家の無残な姿を目の当たりにする。彼は自らの46番目のトリックで殺されたのか――。有栖川作品の中核を成す傑作「火村シリーズ」第1作。

総合評価
5.0 レビュー総数:1件
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火村シリーズのレビュー一覧

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    短編同士の並び自体がミスリード?
    暗号が好きな方、犯人の動機に想いを馳せるのが好きな方は文句なしに楽しめるのではないでしょうか。
    かねてから読破していきたかったシリーズの第一弾なのにすっぱいぶどうというか何というか、横目で指をくわえて見ていた一冊です。
    私は推理小説では、人物造型やメタ視点から犯人を直感で見抜こうとしてしまいトリックについては思考停止するという読者の風上にも置けない人間なので、何だか恐れ多かったりもして、読めなかったのですが、やっと読めました。読み始めたら一気に読めました。
    ホームズとワトソンに相当する探偵役と助手役の主人公2人のやり取りの軽妙さにニヤリとさせられたり、逆に垣間見える犯罪者と非犯罪者を隔てる薄い膜への悲哀にしんみりさせられたりします。
    作者様が本格推理小説作法に律儀かつ読者に親切なので例によって犯人が直感でほぼ分かってしまったのですが、私のような邪道読者でも、魅力的な登場人物の描写ややり取りのおかげで、十分に楽しめます。
    謎解きに素直に押し流されて身を任せてしまう読み方もあり(ということにして下さい)、作者からの挑戦を受けて立つ読み方もありです。
    無理矢理謎解きに言及するなら、ある短編において暗号を解読すると犯人の名前がわかるのですが、それが頭に残っていると後のもう一つの短編のダイイングメッセージを読み解く上でミスリードされ、うならされます。
    音楽家がアルバムの曲順を考え抜くように、短編集における各短編の順番、構成もすごく読後感に影響するんだなあと思いました。
    当然意図された配置ではないかと思いますがいかがでしょうか。
    ドラマ化もコミカライズもされているそうで、お詳しい方に散々語り尽くされていそうなので私も他人様の考察や感想をいろいろ拝見してみようと思います。
    使ってない頭の回路に上質な知的刺激体験という感想でした。
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    投稿日:2016年06月01日