書籍の詳細

関東甲信越のとある田舎街……。犬猫くらいにしか見向きもされない“残飯おとこ”登場!!『行け!稲中卓球部』『ヒミズ』の古谷実、2年ぶりの新作は、塩味たっぷりきいたシニカルコメディ。14年間、引きこもっていた残飯おとこが、自立をするため立ち上がる……。とはいえ、何もできるはずもなく、周囲に大迷惑をかけるだけ。己のため、“愛”のため、この想いをつらぬけるか!?

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  • 個人的に古谷実作品のテーマは「普通はすごい」「“めんどくさい”に打ち勝て」この2つだと思っています。これまでの作品でも繰り返し描かれてきたモチーフですし。しかし今回は少し毛色が違います。主人公・タケヒコは愛する妹のためであればどんなことでもします。めんどくさがりません。それがたとえ世間からみたら明らかに普通ではない、素っ頓狂なことであっても。もちろんそんなタケヒコを周りは「変人」と見るわけですが、タケヒコは全くそれを意に介さず、ただひたすらに己の(おかしな)哲学に基づき、ある種ストイックなまでに行動を起こします。これまで数作続いていた「割と普通のどこにでもいる人」を主役とした古谷作品とは一線を隔した主人公です。そんなタケヒコの空回る“愛”や生き方も、やがてひとつの決着を見ることになるわけですが、最後の最後、タケヒコが言う「生きててよかった」というセリフ。これは過去の古谷作品の主人公たちすべてに捧げたいセリフでもあり、そうした作品群を描いてきて、古谷実が本作で辿り着いた人生肯定なのだと思うとこちらの感慨もひとしおです。個人的には大名作だこれは。
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    投稿日:2014年10月07日