書籍の詳細

「祈りのような清々しささえもたらす」夏目房之介、絶賛。『このマンガがすごい!2011』第3位、『このマンガを読め!2011』第3位、第14回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品、マンガ大賞2011第6位…現代を代表する漫画として高い評価を受け大ヒット。幸せな家庭を築いていた漫画家に突如訪れた悲劇、妻の死。最愛の人との最後の日々を、繊細で果敢に描き尽くすドキュメント。

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さよならもいわずにのレビュー一覧

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  • 「この作品の最後にあるのは絶望だ。」とプロローグの一節に著者が記す本というのも珍しいと思います。『さよならもいわずに』は上野顕太郎が愛する妻・キホを失ってからの数週間を克明に描いた自叙伝です。見ず知らずの他人の死というものは、なかなか共感を得にくいものですが、このマンガは冒頭からただならぬ気配を放ち続けて、最後まで一気に読んでしまいました。書名からもわかるように、ある日突然キホが亡くなってしまい、上野は余りにも大切なものを失ってしまったことに愕然とします。それは、生前のキホが「ケンタローさんが死んだら あたしは 涙と鼻水とよだれと 体中の穴という穴から水分を垂れ流して」しまうほど、お互いを心から愛し合う仲だったのですから、胸中は推して知るべしです。キホが亡くなる「たった一日」がキホと上野、そして小学4年生の娘とを「永遠に隔ててしまった」のです。鍋にはキホが作った最後のカレーが残り、娘が書いたクリスマスカードは渡す相手を失ってしまいました。続かなくてはならない幸福な日常の線がぷつりと途絶えてしまったのです。圧倒的な筆力は、まるで読者自身の最愛の人が亡くなったような錯覚に陥らせます。そして、どんな結末となるのか気になりつつ読み続けて、最後の章にやられました。ぜひ読んでほしいので詳述しませんが、見開きのカットが目に飛び込んだ瞬間に胸が熱いものでいっぱいになりました。強烈なカタルシスを感じながら、冒頭の引用文の続きを思い出しました。それは、「だがその先に希望があることを今の私は知っている」という言葉です。この作品に出合えて感謝しています。(2012/5/15)
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    投稿日:2012年05月15日