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メタルカラーの時代5
  • 完結

「創造的技術開発者」たちのモノ作りの秘密第5弾!精密機械から巨大工業まで、これが日本の実力。技術開発の努力は、同時に低コスト化へつながる血の滲むような努力だった。どんどん小型化する半導体を検査するためには想像を絶する精密さをもった「LSI検査針」が必要だし、強靱で軽い「炭素繊維」はいまやゴルフクラブのシャフトから航空機にまで使われている必須の素材になっている。現状から20年先、50年先までを見据え、技術革新で経済の効率化と活性化を生み出す日本の人々の素顔と仕事を浮き彫りにするシリーズ第5作。【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。

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書店員のレビュー

日本のエレクトロニクス製品が国際競争力を失い、韓国、台湾、中国にキャッチアップされ、その後塵を拝している。日本のメーカー抜きにはスマートフォン製品は完成しないといわれるほど要素技術において抜きんでているにもかかわらず、スマホ市場で日本メーカーの影は薄い。視界不良の道を進まざるをえないことから、日本人は“1億総自信喪失状況”に陥ってしまったようです。そんな私たちに勇気と活力を与えてくれるのが、畏友・山根一眞さんの「メタルカラーの時代」シリーズです。もともと、週刊ポストの連載企画として始まり、単行本、文庫版、電子書籍と展開されてきました。いうまでもなく山根さんのライフワークとして多くの読者に支持されてきましたが、最近になってイーブックジャパンでリリースが始まった機会に、改めて読み直してみました。一言でいえば、この「メタルカラーの時代」はいま、特に若い人にこそ読んで欲しい本だということです。山根さんは文庫化にあたって第1巻の前書きにこう書いています。〈大きな川も海ですらも堅牢な橋によって簡単に渡ることができる。そのおかげで旅が楽になったとはだれも考えないが、橋を建造する大きな技術によって私たちは川や海、谷などの地理的な障害物を気にすることなく自由な移動を享受しているのである。地球の反対側で起こっている出来事を、リアルタイムで見るためには、テレビのリモコンの小さなスイッチを押すだけでいい。そういう時代が到来してまだ五〇年も過ぎていないのである。一〇〇年前なら魔術師のたわごととされた超能力を、私たちは寝転がったまま手にしている。こういった当たり前の文明は、それを実現してきた、支えている人たちの大変な努力があったはずだが、それがどういうものかを知る機会はほとんどないのである。だが、私はそれが知りたかった。この大文明を支えているあらゆる仕組みをものすごく知りたかった〉こうした思いから「理屈を述べるよりも事実を聞く」ことを主眼とする週刊誌連載が始まりました。山根さんによれば、それは自分自身が何も知らなかったことを実感する日々だったそうです。一人一人の仕事を聞きながら、しばしば椅子から転げ落ちそうになるほどびっくりし、廊下の外まで届くほどの大声で感嘆したと述懐しています。山根さんは、技術開発に情熱を注ぎ、モノ作りやインフラストラクチャー(社会的基盤)の建設に取り組む人々を「金属色に輝く襟をもつ人々」という意味あいで「メタルカラー」と命名し、彼らの物語がもたらす驚きを読者にも共有してもらいたいという思いから「対談」という表現形式を採用しました。第3巻に「英仏海峡トンネルを掘った日本人」が登場しています。川崎重工業の宇賀克夫(うが・よしお)さんです。〈山根 ところで、掘削マシンってどんなモノですか?/宇賀 これが、開通時のTBM(トンネル・ボーリング・マシン)です(と、写真を示す)。/山根 うわーっ、とんでもない機械! まるでマンガ。/宇賀 直径8.78メートルの円筒形です。超硬合金製のビット(刃)が埋め込まれた前面の「カッターヘッド」がゆっくり回りながら、削り取った土砂をスクリューコンベアですくいとって後ろに送る。(中略)最高で54メートル進みました。これ以前の掘削機械と比べるとプロペラ機とジェット機くらいの差です。でも今回の初期目標、月530メートルは、これまでの経験の数倍厳しい条件でした。/山根 で、掘れた?/宇賀 はい、月900~1000メートル、最後は1200メートルまでいきました。イギリス側が少し遅れたので、計画より4キロ多く掘ったんです。/山根 うれしい誤算。ボーナスは出なかったんですか?/宇賀 出ましたよ。1兆9000億円のプロジェクトでしょう。金利だけでも莫大。着工が遅れたので、事業主体のユーロトンネル社が、「契約より先に目標地点に到達したらボーナスを出すから一刻も早く掘ってくれ」と。おかげさまで(笑い)〉現時点でリリースされているのは6巻までですが、電子化の底本となっている文庫版は15巻まであります。順次電子化されていく予定で、どの巻にも、日本の産業を支えてきた男たちが素のままで登場しています。決してやさしくはない課題に勇気をもって取り組んでいくメタルカラーたちの飾らない生き方に脱帽です。(2012/6/8)
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