天使のナイフ

600円 (税別)

獲得ポイント 6pt (1%還元)

天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?生後5か月の娘の目の前で桧山貴志の妻は殺された。だが、犯行に及んだ三人は13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。

カゴに追加 600 円(税別)

天罰か?誰かが仕組んだ罠なのか?生後5か月の娘の目の前で桧山貴志の妻は殺された。だが、犯行に及んだ三人は13歳の少年だったため、罪に問われることはなかった。4年後、犯人の一人が殺され、桧山は疑惑の人となる。「殺してやりたかった。でも俺は殺していない」裁かれなかった真実と必死に向き合う男を描いた、第51回江戸川乱歩賞受賞作。

ユーザー評価なし レビューを見る
書籍の詳細

書籍一覧1冊の書籍

1~1件/1件 を表示

  • 1
  • 1

書店員のレビュー

綾辻行人・井上夢人・逢坂剛・真保裕一・乃南アサ。作風も違えば、推理小説に関するスタンスもそれぞれ異なる選考委員5人が揃って推し、いわば満票で第51回江戸川乱歩賞(2005年)に選ばれたのが、本書『天使のナイフ』。1969年生まれの薬丸岳が2年がかりで書き上げた、初めての小説でした。「少年犯罪」という、エンタテイメント小説として取り上げるには決してやさしくはない、極めて重いテーマを処女作として選択した薬丸岳の試みは一癖も二癖もある5人の作家たちから社会派小説の側面と本格ミステリーの要素を兼ね備えた力作と評価され、ここに一人の作家が誕生しました――。物語はこう始まります。〈愛実(まなみ)が泣いている。朝食の準備をしていた桧山貴志(ひやまたかし)は、慌てて寝室を覗き込んだ。床一面に愛実の服が散乱してる。衣装ダンスの一番下の引き出しを引っかきまわしている愛実を見て、桧山はあっと思った。「パパ。ももちゃんは?」娘の悲痛な眼に射すくめられ、ばつの悪い思いでベランダを指さした。ももちゃんとは、娘が大好きなウサギのキャラクターで、それを胸にあしらったTシャツは、保育園で一緒の勉くんの次に大切な、愛実の友だちである。数日続いた雨の中、物干しに吊したままになっていた。ベランダを見つめながら、愛実はさらにボリュームを上げて泣いた。きっと自分の大切な友だちを雨ざらしにする、なんてひどい父親だろうと思っているに違いない〉桧山貴志はチェーンのコーヒーショップのオーナー店長、愛実に母親はいない。3年10ヶ月前、ベビーベッドの愛実の目の前で、母親は金ほしさにマンションに押し入ったものによって殺された。事件の後、娘と二人で暮らす桧山貴志にとって何よりの気がかりは、愛実の意識の底に、今もこびりついているであろう、あのおぞましい記憶だ。愛実が時折見せる表情に、桧山は凍りついてしまうことがある。静止してしまったような愛実の瞳を見ると、背筋に冷たいものが這い、喉の奥が戦慄(わなな)いて、一瞬呼吸の仕方を忘れてしまうのだ。だから――桧山は一分でも長く愛実のそばにいて、ふたりで楽しい時をたくさん過ごして、少しでもあの記憶を薄めたいと思っている。そんな桧山のもとに、埼玉県警の刑事が訪ねてきた。妻を殺した犯人の一人が桧山の店の近くで殺されたという。桧山の妻を殺したのは13歳の中学生3人で、したがって「殺人犯」として逮捕されることも、また裁かれることもなかった。「少年A」「少年B」「少年C」として補導されたのち保護観察の対象となり、家裁の審判・施設への収容などを経て社会に復帰していた。刑法41条に「14歳に満たないものの行為は、罰しない」と規定されていて、14歳未満の少年は刑事責任能力がないとされているのが日本の実情なのだ。したがって13歳の中学生は人を殺害するという刑罰法令に触れる行為をしても犯罪を行ったことにはならない。桧山の妻を殺した13歳の少年たちは刑法41条によって逮捕・処罰を免れていたが、その一人が殺されたのだ。しかも殺害現場は桧山の店から歩いて10分ほどの大宮公園。桧山は犯罪被害者としてかつてマスコミを前に「国家が罰を与えないなら、自分の手で犯人を殺してやりたい」と発言したことがある。その彼のところに事件の翌日に刑事がやってきて――「八時半を過ぎると桧山さんはお一人でお店にいらっしゃるんですね」何気なく聞く。桧山には十分すぎるくらいの動機があり、しかも犯行のあった時間、桧山は一人で店に残っていて、アリバイを証明できる人はいない・・・・・・。そして残る二人のうち一人が池袋駅のホームから転落した。ホーム下の空洞に逃れてかすり傷程度で済んだが、少年は誰かに押されたような気がすると警察に語った。さらに三人目の少年が刺殺体となって発見された。その少年の携帯電話の最後の発信記録は桧山の店だった。翌日、警察は桧山に出頭を求める。これは愛児の目の前で母を殺しておきながら罪に問われることなく生きている少年たちに対する犯罪被害者による復讐劇なのか。物語はここから衝撃のラストへと急展開していきます。その謎を解く鍵は「少年犯罪」についてまわる刑法41条問題――「14歳に満たないものの行為は、罰しない」という条項です。新人離れした緻密なプロット、二重三重の仕掛けが施されたドラマチックな仕上げで、一気に読み終えていました。(2012/6/15)
  • 参考になった 2

オススメ特集

一覧を見る

ここもチェック!

コンテンツについて

  • この商品は紙書籍ではありません。すぐにご覧いただける電子書籍です。
  • デジタルコンテンツのため、商品の性質上、返品できません。
  • 紙書籍とは内容が異なる場合がございます。また、サイトに表示されているサムネイルと電子書籍の表紙画像が異なる場合がございます。予めご了承下さい。
  • 対応デバイスに記載されていない端末は、購入できても読書はできません。ご注意下さい。
  • Mac OS X 10.5/10.6をご利用で最新版のebi.BookReaderがご利用できないお客様は、サイトの表記でMacが利用可能端末となっていてもリフロー書籍が読書できません。ご了承下さい。
  • Android OS 5.0以上でebiReaderをご利用のお客様は、サイトの表記でAndroidが利用可能端末となっていても一部のリフロー書籍が読書できません。ご了承下さい。