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悪魔のようなあいつ (上)

可門良、27歳。元バンド・ボーイ。女を狂わせる妖しい魅力を持つ男…。元競輪選手で、足の不自由な街のゴロツキ、八村。元会社員でバーのマスターをしている野々村。三億円事件の追及に異常な執念を燃やす刑事の白戸。この三人が絡み合い、三億円強奪事件の時効までの日を数えながら、物語は展開して行く…。大型ピカレスク・ロマン!!収録作「春の雪」ほか「錆びた海」「狂い咲き」「4月馬鹿」「重荷」「反逆のブルース」「傷」「日蝕」「男3人」「静かな日々」「乱れる」「もう一人の女」の全12話を収録。

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書店員のレビュー

「昭和四十三年、おまえはなにをやっていた?」と作中の老刑事は尋ねます。この年は、川端康成がノーベル賞を受賞し、金嬉老事件が起こりましたが、全国民の耳目を集めた大事件が勃発しました。「昭和の」と冠され、後世にも語り継がれる三億円事件です。『悪魔のようなあいつ』は阿久悠の原作で、「昭和の絵師」上村一夫が描いた、三億円事件をモチーフとしたマンガです。美青年の可門良と足の不自由な妹いづみとのねじれた兄妹愛を軸に、良の悪魔のような魅力に周囲の人間は惹きつけられ、巻き込まれていきます。そして、三億円事件の犯人と目して良を追う老刑事もそのうちの一人のようです。題材と絵のテイストから、本作を読んでいるとむせ返るばかりに昭和の香りが濃厚に漂ってきます。良は三億円事件の犯人なのかどうかを探りつつ、不思議なオーラを放つ良を追ってどんどんページをめくってしまいました。物語は第一章から「あと○○日」という風に、カウントダウン形式で話数を重ねていきます。もちろん、最後は三億円事件時効の日です。良は、真犯人なのでしょうか? ついでながら、この作品は当時映像化され、主役を沢田研二が演じ、沢田が歌った主題歌「時の過ぎゆくままに」は当時の大ヒットを記録した昭和の名曲です。まさに昭和づくしの隠れた名作マンガです。(2012/5/29)
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