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地震と噴火は必ず起こる―大変動列島に住むということ―(新潮選書)

国土の6割を覆う森林、豊富な海洋資源、恵まれた水と温泉――こうした自然の恩恵は、日本が類まれな「危険地帯」にあるからこそなのだ。4枚のプレートがせめぎ合い、全地球で2割の地震と8%の火山が集中する列島。マグマ学者がその仕組みを地球誕生までさかのぼって説明し、明日起きてもおかしくない大災害を警告する。

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書籍の詳細
  • 書籍名: 地震と噴火は必ず起こる―大変動列島に住むということ―(新潮選書)
  • 著者名: 巽好幸
  • eBookJapan発売日: 2014年06月20日
  • 出版社: 新潮社
  • 連載誌・レーベル: 新潮選書
  • 電子書籍のタイプ: リフロー型
  • ファイルサイズ: 8.8MB
  • 関連ジャンル: 専門書 科学専門書 防災新潮選書新潮社の本
  • 対応デバイス: WindowsMaciPhoneiPadAndroidブラウザ楽読み

書店員のレビュー

 阿蘇山や浅間山、桜島は、いまも盛んに噴火を繰り返しているから活火山、富士山は古い文献に噴火の記録が残っているが、現在は火山活動をしていないので休火山、箱根山や北海道の雌阿寒岳は噴火記録そのものがないので死火山――私たちの世代は火山を3種類に分類する考え方が書かれていた教科書で学び、そのネーミングのわかりやすさから、いまもなお「火山の常識」として頭の中にしっかりと刷り込まれています。
 2014年9月、私たちが学んだ教科書では「死火山」に分類されていた御嶽山噴火によって引き起こされた死者・行方不明者63人という戦後最大の火山災害は衝撃的でした。登山客を直撃する熱風、噴石、そして降り注ぐ重い降灰・・・・・・想像を絶する地獄絵図といっても過言ではありません。
 そして2015年に入って、箱根山、口永良部島、浅間山、桜島で火山活動が活発化。箱根では一部地域に立ち入り規制が行われ、桜島では避難勧告が出されました。
 
 マグマ学の第一人者、巽好幸氏の『地震と噴火は必ず起こる : 大変動列島に住むということ』(新潮選書)は、「日本列島は生来変動するもの」とし、寺田寅彦流にいえば「変動こそが日本列島の伝統」という前提の上でどう生きるべきかを示そうとした必読の書です。
 日本列島には「変動帯」に位置するというマイナス要素だけではなく、その列島の成り立ち故に私たちにもたらされた自然の恵み――たとえばうまい日本酒造りに適した良質な水、とくに瀬戸内という流れの速い海に育まれた魚、世界を圧倒する密度の温泉などのプラス要素も少なくありません。日本列島とはそもそもどうやって現在の形、弓状の列島となったのでしょうか。いつ、アジア大陸から離れて弓状の列島が形成されていったのかについて、おおよそ2000万年前に大陸からの分離が始まったとする興味深い知見が展開されています。門外漢の私は「ヘー、そうだったのか」とどんどん引きこまれていきましたが、専門的な内容も多く詳しいことを説明することは到底できませんので、その科学ストーリーはぜひ本書をお読みください。ここでは、変動帯に位置する列島でいかに覚悟を持って生きるかの前提となるまとめ知識を紹介しておきます。

〈●日本列島は、地球表面を覆うプレートが内部へと沈み込む場所、「沈み込み帯」に位置する。
●プレートとは、地球の表層を構成する地殻とその下にあるマントルの一部が一体となった板である。(中略)
●東北日本や西南日本ではプレートの沈み込み角度が小さく、また上盤(陸側)プレートとの結合が強い。そのために陸側プレートの一部である日本列島に大きなストレスがかかって歪みが蓄積する。
●この歪みが限界に達すると、断層運動が起こり地震が発生する。またその際の海底地盤の変位が津波を引き起こす。
●スポンジのような海洋プレートは、マントル内へ沈み込むことで圧縮され、水が放出される。この水の作用により沈み込むプレートの上にあるマントル物質が融けやすくなり、マグマが発生する。
●沈み込み帯にある火山で爆発的な噴火が起こるのは、元々沈み込むプレートからもたらされた水分が、地殻の中にできるマグマ溜の中で発泡するからである。
●日本列島に地震と火山が集中するのは、海嶺で誕生したプレートが冷却して重くなり、地球内部へと沈み込む必然の結果である。
●現在の日本列島の形は、日本海の拡大による日本列島のアジア大陸からの分離と移動、それに四国沖の海底(四国海盆)の拡大による伊豆・小笠原・マリアナ弧の東方移動によって出来上がった。これらのおおよそ2000万年程前に起こった大変動は、プレートの沈み込み帯特有の現象である。〉

 と、まとめたうえで、筆者は以下のように断じています。
〈日本列島が変動帯に位置し、首都圏で巨大地震が発生するのが自然の摂理である。日々蓄積しているのは地盤の「歪み」なのである。〉

 人口と機能の一極集中の回避こそ、何もまして実施すべき重要課題と考える筆者は、都知事時代に「膨大な経費をかけて新都市を建設するよりも、首都東京の歴史的文化的蓄積を活用すべき」と主張した石原慎太郎氏を「日々蓄積しているのは地盤の歪み」と真っ向から批判したというわけです。

 懸念されているのは地震ばかりではありません。上述のまとめにあるように火山活動も日本列島の成り立ちに組み込まれた自然の摂理なのです。

〈例えば、富士山が300年前ほど前の宝永クラスの噴火をしたとしよう。この程度の噴火は富士山にとっては決して珍しいことではない。しかしその場合に、横浜市では10センチメートル、都心でも数センチメートルの降灰があることを、どれくらいの人が知っているのだろうか? 都心の道路はそのほとんどが通行不能になり、さらに降雨時であれば水分を含んで重量を増した火山灰によって送電線は断線し、ほぼ関東全域で電力は失われるのである。〉

 8月11日、過去に巨大噴火があったことを示す五つのカルデラ(陥没地形)に近接する川内(せんだい)原発の再稼働が実施されました。火山リスク対応は後回しにした見切り発車です。しかも、21日には復水ポンプ付近でトラブルが発生し、出力上昇のスケジュールの見直しに追い込まれました。同じ鹿児島県の桜島の活動活発化も気になります。
 1923年(大正12年)9月1日、震度7の大地震が関東地方を襲いました。死者142,807人。その教訓を後世にいかすことを目的に「防災の日」が制定され、9月1日には全国で防災訓練などが行われるようになっています。今年、川内原発を稼働させた鹿児島県、地元の町ではどんな訓練を行うのでしょうか? 3.11の、そしてフクシマの教訓はどこへいったのでしょうか。

 自然の力を謙虚に見つめるマグマ学研究者の言葉は傾聴に値します。再び、本書より引用します。

〈斑鳩法隆寺の五重塔。1300年もの間この里に悠然と佇立する、世界最古の木造建築である。さりとてこの地が、日本列島の中で例外的に地震が少ない訳ではない。近隣には活断層が走り、これまでにも幾度となく地震を経験してきた。工学的な減災の取り組みを思考する上で注目を集めている事実である。逆に、この日本列島においてまるでその変動や自然を支配するかの如き「防災対策」は、単に滑稽であるばかりではなく、冗費かつ罪悪以外の何ものでもない。先の3・11大震災でも、『ギネスブック』にまで登録された釜石港湾口の巨大な「防波堤」を始め多くの人工物は、自然の力の前にはなんら意味をなさなかった。地震発生帯である日本列島周辺の海溝やトラフを目前にした海岸や活断層近傍に偉容を誇るかのように建ち並ぶ原発。フクシマの悲劇を人工物で防ぐのは到底無理であることは自明の理である。日本列島の特質を強烈に理解した上での効果的な減災策こそが喫緊の課題である。日本列島には地震や津波に対する「安全神話」など存在しないのである。〉(2015/8/28)
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