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昭和33年4月、高校を卒業して昭和銀行に入行した矢口(高橋)は、銀行は閉店した後こそが戦場であることに衝撃を受ける。伝票の集計結果と現金残高が一致しなければ、一致するまでやり直すのはもちろんのこと、現金の過不足ともなれば、一円単位で原因を究明するのは当然であった。そして、同僚の当直中に起こった悲劇や、テレビ時代の到来を機に始まったテレビ積立てなど、矢口高雄本人が、高校卒業後から30歳でマンガ家としてデビューするまでの12年間の銀行員生活をふり返りながら描く、自伝的エッセイ漫画!

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9で割れ!!―昭和銀行田園支店のレビュー一覧

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  • 最近、銀行が舞台の小説とそれを映像化したドラマがブームとなりましたが、作者が元銀行員とあって、リアリティあふれる描写が魅力の一つだったようです。漫画家でいえば、『釣りキチ三平』『ふるさと』で知られる矢口高雄が元銀行員なのですが、その銀行マン時代を描いた自叙伝的作品が『9で割れ!!―昭和銀行田園支店』です。ちょっと不思議なタイトルですが、「9で割れ」は過不足金や集計ミスの原因を突き止める初歩的な計算法の合言葉なのだそう。パソコンやATM支払機が普及するなんて夢物語に思われていたような、そろばんが全盛の東京オリンピック前後の物語です。矢口が12年間務めた銀行員の当時の生活ぶりが詳らかに描かれています。結婚して幸せな銀行員生活をおくっていた矢口が、運命の一冊ともいうべき作品と出会って、むさぼるように漫画を読んで漫画を描きはじめます。多忙な仕事の合間を縫って漫画を描く情熱の日々が、読んでいる者の心を惹きつけるのです。機が熟した頃、矢口はプロの漫画家になりたいと妻に胸の内を吐露するのですが、妻の返した言葉に、読んでいる私の目頭が熱くなってしまいました。時に矢口高雄28歳にして二人の娘持ち。矢口はどのように、漫画家の登竜門をくぐるのでしょうか。ぜひ、お楽しみください。計算しつくされたかのようなクオリティの高い矢口作品の数々は、銀行員時代に培われていたようです。(2014/7/25)
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    投稿日:2014年07月25日