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言葉には日本人の数ほど不思議と面白さがある!!言葉で正しく伝えることは意外とむずかしい。誰にでもわかりやすく伝えることを第一とする、放送現場から日本語表現の問題点を考える。

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日本語の「大疑問」のレビュー一覧

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  •  まずは、日本語に関する簡単なテストに挑戦してください。
    (1)正しい日本語はどちらか?
      a「推薦より早い時期に接触できる青田刈り(あおたがり)入試」
      b「推薦より早い時期に接触できる青田買い(あおたがい)入試」、
    (2)「情けは人のためならず」ということわざは、人に情けをかけると、次のどれになるというのでしょうか?
      a「ろくな結果にならない」
      b「相手のためにならない」
      c「かならずよい報いがある」
    (3)「気がおけない人」の意味として正しいのはどちらか?
      a「信用できない人」
      b「気楽につきあえる人」
    (4)「前回失敗しているから、ここで汚名挽回といきたいところだ」という言い回しは日本語として正しいか?
    (5)新任の課長が部下を集めて「このたび、課長の辞令を受けました。私には役不足ではありますが、全力を尽くします」と挨拶をした。この挨拶は適切でしょうか、不適切でしょうか。
    (6)次のaとbは敬語表現として正しいでしょうか?
      a上司の仕事ぶりを部下が「お見事でした」とほめたたえた
      b上司が帰るときに部下が「ご苦労様でした」と声をかけた

     いずれも元NHKアナウンサーの池上彰さんの著書『日本語の「大疑問」』からお借りした質問、テストです。結果はどうでしたか。日本語はやっぱり難しいとため息が出てはいないでしょうか。
     NHK放送文化研究所が学生を対象に行った調査によれば、(2)の問題で全体の53%の人がb「相手のためにならない」と答えたそうです。正解はcの「かならずよい報いがある」で、正解者は37%。半数以上の人が他人に情けをかけると、その人が甘えてしまったりして、自立できなくなり、結局はその人のためにならなくなると解釈して「相手のためにならない」を正解と答えているのです。なるほど「相手への本当の思いやりは、同情しないことだ」というこの考え方、ちゃんと理屈が通っているという気がしないでもありませんが、正しくは、「情けをかけるのは、人のためにあらず」「その人のためだけではない」「自分のためだよ」ということで、つまり他人に情けをかけると、回り回って、結局は自分にもいいことがあるから、他人を助けてあげなさい、という考え方だというわけです。
     日本語を間違いのないように正しく使うことが簡単ではないことの一例ですが、その他のテストの正解を以下に列記しておきます。
    (1)b青田買い (3)b「気楽につきあえる人」 (4)正しくない (5)不適切 (6)abともに正しくない──詳しい解説は本書をお読みいただくとして、池上彰さんの「日本語」を見ていく目配り、問題意識はさすがNHKの人気アナだっただけに現実的で、私たちが日常的に疑問に思ったり、迷ったりすることを洩れなく拾い出していて、すぐに役立つことも少なくありません。

     問題(3)などは、実は池上さん自身、「気のおけない人」=「信用できない人」と思い込んでいたと告白しているほどですが、誰でも勘違いからくる言葉の誤用で失敗した経験を一度や二度はもっているのではないでしょうか。
    「ら抜き言葉」の問題から、ここ最近スーパーのレジやコンビニなどで多用されている「1000円からお預かりします」といった変な言い方の問題に至るまで、日本語やり直しの私家版教科書にしたい本です。
    (2011/12/23)
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    投稿日:2011年12月23日