書籍の詳細

山形からはるばる別れた家族の住む東京へやってきた矢島。事業に失敗し、無一文になった彼は、人生の再出発を期して身ひとつで上京してきたのだ。だが、別れた妻に冷たく追い返されてしまい、あてもなく歩いていると、高校生になった娘が現れて…。家族に会うため、就職活動のため、プロのミュージシャンになるため…それぞれの上京物語!!

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上京一週間のレビュー一覧

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  • 「絆」という言葉をよく耳にする昨今ですが、一時の流行語にならずに、定着すればいいですね。『上京一週間』(一丸)は、それぞれの夢や希望、またはしがらみを胸に抱いて、地方から東京にやってきた者たちのオムニバス形式の読み切り集。シンガーや大学進学を目指す若者がいれば、家を出て行った妻子会いたさに上京する中年がいます。それぞれの人生を背負って東京へやってきます。この本を読んで面白いと感じたのは、各話の主人公それぞれが自分ひとりでは物事をなし得ないということです。上京して状況が変って初めて、自分を気遣っていた周囲の人間の想いにやっと気づく者もいます。どれを読んでも、胸を熱くさせられる力作ぞろいです。なかでも特に印象に残ったのは、女性陶芸家・芳江が実父の葬式のために上京したストーリーです。ギャンブルに明け暮れて家族に迷惑をかけ続ける父親が嫌で、家を飛び出した芳江は20年近くたって家に戻ったわけです。父をずっと憎み続けていた芳江ですが、父の飲み友達によって始めて芳江への想いを知ることとなります。それは、芳江が始めて作った陶芸作品に大きく関わることなのですが…。いずれの作品も限られた枚数の中でありながら、濃密な感動的人間ドラマを堪能できる、まさに「珠玉」という言葉がぴったりの作品集です。(2012/1/24)
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    投稿日:2012年01月24日