ガール

450円 (税別)

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わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな。滝川由紀子、32歳。仕事も順調、おしゃれも楽しい。でも、ふとした時に、ブルーになっちゃう(表題作)。ほか、働く女子の気持ちをありえないほど描き込み、話題騒然となった短編集。あなたと彼女のことが、よくわかります。

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わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな。滝川由紀子、32歳。仕事も順調、おしゃれも楽しい。でも、ふとした時に、ブルーになっちゃう(表題作)。ほか、働く女子の気持ちをありえないほど描き込み、話題騒然となった短編集。あなたと彼女のことが、よくわかります。

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書店員のレビュー

7月12日、20~30代の女性10人中7人が働いているという調査結果が総務省から発表されました。2012年の就業構造基本調査で、働き盛りにあたる25歳から39歳までの女性の有業率(仕事をしている人の割合)が、過去最高を更新、7割目前の69.8%に達したそうです。子育て世代の女性たちが離職せずに働き続ける傾向が強まっていて、男性社会だった日本の企業にも、いよいよ大きな変化が押し寄せてきているようです。2004年に『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞した奥田英朗が、企業社会で存在感を増す女性たち――男尊女卑の色濃い企業社会に出現した「女たち」(「女の子たち」ではありません)を描いたのが、本書『ガール』。2003年から2005年にかけて「小説現代」に発表された5作品『ヒロくん』『マンション』『ガール』『ワーキング・マザー』『ひと回り』を執筆順に編纂した短篇集です。2012年に公開された映画「ガール」は、『マンション』を除く収録4編を一つのストーリーに仕立て直したもので、いま時の女たちの心理、本音、生態、悩みが巧みに描かれていて評判を呼び、大ヒットとなったことは記憶に新しい。どの作品も主人公は、入社10年を過ぎて、“ガール”卒業の時期が近づいている女性総合職です。表題作の『ガール』では、広告代理店に働く32歳独身の滝川由紀子(たきがわ・ゆきこ)が担当する百貨店のイベント企画を巡って百貨店担当者とちらす同世代女性同士の火花が縦軸。横軸は、冒頭に伏線として仕込まれた、30歳を過ぎたガールの本音です。仕事の打ち上げ後、後輩の20代を引き連れてディスコに流れた由紀子と同期・千恵の二人。年下に見えるが、ハンサム、モード系の細身のスーツに身を包んだ男たちが自分たちの方を見ていて、近寄ってくる。「ナンパされるなんて久しぶり」二人は期待に心振るわせて身構えていたのに、男たちは自分たちの横を素通り。「ねえ、彼女たち」そんな声が隣で聞こえる。あろうことか男たちは20代前半の後輩たちに声をかけていた。〈千恵が何も言わず顔を背(そむ)けた。頬(ほお)をひきつらせているのが視界の端(はし)に見えた。由紀子はフロアのほうを向いた。笑ってごまかすには、あまりにもばつが悪かったのだ。みるみる気持が冷えていった。奈落の底は大袈裟(おおげさ)にしても、落とし穴に落ちたぐらいのへこみはある。(中略)ふん。由紀子は鼻を鳴らした。なんだ、こんなディスコ。よく見ればお子ちゃまばかりじゃないか。店を間違えただけだ。心の中で強がりを言う。柱の鏡に自分が映っていた。一瞬だれかと思った。あまりに仏頂面で、可愛くなかったのだ。思わず視線をそらせた。
すっかり踊る気が失せていた〉――もう若くはないと思い知らされた女たちの心理描写がうまいし、面白い。しかし、男の目には、巻頭収録の『ヒロくん』が仕事小説の趣もあって印象深い。女子総合職として異例の抜擢人事で課長になった武田聖子が上司を上司とも思わぬ態度の3期先輩の男性社員の扱いに苦労しながらも、最後にはやりこめてしまうところなど新鮮です。書き出しはこうです。〈武田聖子(たけだせいこ)に開発局第二営業部三課課長の肩書きがついたのは、梅雨真っ只中の七月一日のことだった。
四年制大学を卒業し、大手不動産会社に就職して十四年目を迎えていた。その間ずっと開発畑を歩いてきて、局内では立派な中堅どころといえた。聖子の会社では、数年前に昇進の年次主義を廃止しており、三十代半ばの管理職は珍しくなかった。中には海外企業から転職してきて、二十九歳の若さで課長になった者もいる。けれど、女子総合職としては異例の抜擢(ばってき)人事だった。局内を見渡しても、女子は四十代の部次長が一人いるだけだ〉直属の上司の内示に聖子は戸惑った。心の準備がまるでできていなかったからだ。昇進など、考えたこともなかった。ただ総務から届いた名刺をみたときには少なからず胸がふくらんだ。それはクレジットカードがゴールドに切り替わったときの優越感に似ていた。差し出すとき、自尊心をくすぐる。女だと軽く見られないで済む、というわけです。しかし聖子のそんな前向きな思いを打ち砕く事態が待ち受けていた。問題は3期先輩になる今井係長。よく言えば親分肌で、自分になついてくる者に対しては面倒見がいいが、自己を主張するタイプは無視する。メンツにこだわる男だ。仕事を任せてみようと重要プロジェクトの担当に指名したが、意気に感じた様子はまるでない。それどころか上司である課長の聖子をないがしろにする言動が目立ち始め、一緒に担当につけた女子総合職の北村裕子(きたむらゆうこ)にいたっては完全にアシスタント扱い。男尊女卑の風潮が未だに色濃く残る企業社会の壁を体現するかのような年上の男性部下に、聖子はいかに立ち向かうかは本編をお読みいただくとして、印象に残ったくだりを引用しておきます。〈この男は、女房とホステスと部下しか女を知らない。そのいずれかには鷹揚(おうよう)に接し、守ってやるという姿勢を見せる。そして聖子や裕子のような、男の庇護(ひご)を求めない女に対しては、ひたすら敵対心を燃やす〉
 ちなみにタイトルの「ヒロくん」は聖子の夫君で、ここで俎上にのせられている今井係長の対極に位置するような男性。この二人の対比がまた男社会の問題点をよりいっそう際立たせています。(2013/7/19)
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