書籍の詳細

漫画家・上田としこ。1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語である。上田としこという一人の素っ頓狂な少女が、戦前の満州ハルピンの高く広い空に、想像の絵を思いうかべた時から、日本の、女の、「漫画の歴史」ははじまったともいえる。村上もとかが渾身の力を込めて描く、漫画の青い青い春。待望の単行本第1集!

総合評価
5.0 レビュー総数:3件
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フイチン再見!のレビュー一覧

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  • 匿名希望
    戦後からの少女マンガの事が知れて、新鮮でした。
    70年代後半に生まれた私にとって、マンガの神様と言われる手塚治虫さんの事については、色んな方が作品に描かれているので知っていましたが、上田としこさんというマンガ家さんはこの本で初めて知りました。
    戦後、男性マンガ家や編集者が多い中、女性のマンガ家として奮闘していく様子がリアルに語られています。
    後半には世代が私よりも少し上ですが知ってるマンガ家さんがどんどん出て来て、あの有名な作品の数々はこういう時代に描かれた作品なんだなあと、感慨深く読みました。
    村上もとかさんの絵は丁寧で背景もリアルなので、昭和の匂いを感じれて、ずっと大切にしていきたいような、そんな作品です。
    • 参考になった 2
    投稿日:2017年09月26日
  • フイチン再見!
    「漫画家漫画にハズレなし」と評されるぐらい、ここ数年来、漫画家による漫画家をモチーフにした漫画がブームだ。多くは若かりし頃の自分をモデルにしたものや業界あるあるだが、村上もとか先生が描くとたちまち大河浪漫作品となり、その辺の作品とは一線を隔す。実在の女性漫画家・上田としこを実名モデルで主人公にし、大東亜戦争前後から始まっている。女性が生き辛かった時代を力強く前向きに進んで生きていく姿には心を打たれる。
    投稿日:2015年08月28日
  • 今年は戦後70年という、節目の年。『フイチン再見!』は戦争の影がちらつき始めた満州で育った漫画家・上田としこの物語。作者の村上もとかが、子供の頃に上田の代表作『フイチンさん』を読んで、おっちょこちょいだけど正義感が強い主人公と、ユーモラスで爽快なストーリーに魅了された過去が執筆の背景にあります。上田が漫画家を目指すという軸をメインに、幼少の頃や漫画家として活躍する時代がオーバーラップしながら描かれています。異国情緒あふれる戦前のハルピンと東京を舞台に、生き生きとした上田のキャラクターぶりがとても魅力的です。自分に漫画家としての素質があるのか、上田は不安気ながらも道を突き進みます。女流漫画家がまだ珍しく、長谷川町子がきらびやかに登場した頃のお話。働く女性の社会的地位も確立していなくて、戦争の緊迫した時局にありながら、漫画家を目指すのですから並大抵のことではありません。やがて、若い男は戦争に駆り出されて、世相の暗さが際立ちはじめます。上田は勤め先の会社で自分が描いたポスターを、社員達がニコニコしながら眺めているのを見て、悟ります。自分の目指すのは「励まし漫画」なのだ、と。このモチベーションが『フイチンさん』執筆につながっていくようです。今後の成り行きに目が離せません。蛇足ですが、本作を読んで『フイチンさん』を読みたくなる読者も少なくないようです。電子書籍化を待つばかりです。(2015/1/23)
    • 参考になった 4
    投稿日:2015年01月23日