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市民科学者として生きる

専門性を持った科学者が,狭いアカデミズムの枠を超え,市民の立場で行動することは可能なのか.長年にわたって核問題に取り組み,反原発運動に大きな影響を与えてきた著者が,自分史を振り返りつつ,自立した科学者として生きることの意味を問い,未来への希望に基づいた「市民の科学」のあり方を探る.

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信頼できる言説とは何か――野田内閣発足からわずか9日目の経産相辞任のニュースを目にして、改めて考えさせられました。フクシマを視察して「死のまち」と語ったこの大臣に生活の場を追われた人たちを思いやる心遣いは微塵も感じられないし、「放射能をつけてやるぞ」との発言に至っては、「児戯に等しい」などと言っては子供たちに失礼だ。大臣辞任で事が済んだと思ってもらっては困ります。議員辞職して当然の所行ではないか・・・・・・3.11以降、原発、放射能を巡って様々な言説が飛び交っています。そうしたなかで真に信頼できるものは何か。誰の言説か。今回紹介する、高木仁三郎さんこそは、その筆頭にあげられるべき人だ。高木さんの最後の著作となった本書『市民科学者として生きる』は、東京大学を卒業して黎明期の原子力産業に研究者として就職、数年を経て東京都立大学に転じ、さらに大学を離れて市民科学者として「反原発」に取り組んだ高木さんの自分史です。原子力の可能性に魅力を感じてその世界に身を投じた若き研究者はなぜ、「反原発」の市民科学者に転じたのか。その過程、その思考の軌跡にこそ、3.11後に生きる私たちが直面している問題への解があるのではないでしょうか。高木仁三郎さんは「原発問題の中にすべてがある」と見出しをつけて、次のように書いています。〈原子力のような中央集権型の巨大技術を国家や大企業がひとたび保有するならば、核兵器の保有とは別に、それ自体がエネルギー市場やエネルギー供給管理のうえで、大きな支配力、従って権力を保障する。風力とかバイオマスとか太陽電池などの地域分散型のテクノロジーを軽視し、ほとんどの政府がまず原子力にとびついた(その段階での商業化の可能性の不確かさは、前述の分散型ないし再生型のエネルギーが現在もつ不確かさより、はるかに大きかった)のは、この中央集権性ないし支配力にあったと思う。その底流には、巨大テクノロジーと民主主義はどこまで相容れるかという、現代に普遍的な問題が関係している〉そして、原発の安全性についてこう指摘するのです。〈巨大科学技術システムが共通に負っている、決してゼロにはできない破局的な事故の可能性、それに絡むヒューマンエラーの可能性の問題が、原子力には凝縮した形で存在している。一度でも起これば、取り返し不可能な影響を全地上の生命に与え得るような事故の可能性に対して、技術によって確率を下げるというだけでは、究極的な安心(心の平和)を人々に与えることはできないだろう〉1999年3月から5月にかけて高木仁三郎さんは病床でこの本を書き上げました。そこで提起された問題は、12年後の2011年3月11日以降、フクシマで現実のものとなってしまいました。そうしたなかにあってなお「成長をやめたら日本は崩壊する」という大合唱はやみません。人々のあきらめを組織的に利用して現状の国家形態・産業形態を基本的に維持していこうとしているのだと喝破した高木さんは、あきらめからの脱出を問いかけます。希望の組織化こそが私たちの未来を切り開くと語りかけます。傾聴に値する言葉です。同じ岩波新書の高木仁三郎著『原発事故はなぜくりかえすのか』もあわせてお読みください。(2011/9/16)
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