鬼畜

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元銀行員の三沢英司は行員時代、上司の柏木の言いなりになった結果、妻と娘をオモチャにされ喪ってしまった。激しい怒りと恨みは柏木の妻と娘に向けられ、二人を拉致、監禁。社畜から鬼畜へと変化した男は、暴虐の限りを尽くした復讐劇を開始した。エロス&バイオレンスの嵐がノンストップで吹きすさぶ!

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元銀行員の三沢英司は行員時代、上司の柏木の言いなりになった結果、妻と娘をオモチャにされ喪ってしまった。激しい怒りと恨みは柏木の妻と娘に向けられ、二人を拉致、監禁。社畜から鬼畜へと変化した男は、暴虐の限りを尽くした復讐劇を開始した。エロス&バイオレンスの嵐がノンストップで吹きすさぶ!

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書店員のレビュー

人間はどこまで「復讐の鬼」になれるのか。どこまで「屈辱」に耐えられるのか。昭和から平成に至るまで、五指にはいる流行作家として官能バイオレンス小説を量産してきた勝目梓作品の根底には極限状況に追い込まれた人間の荒涼とした心象風景がひそんでいて、これでもか、これでもかと続く性描写のなかに、そんな一行を目にした瞬間、読むものは一気に緊張し、先を急ぐことになります。読み出したら止まらない、一気に読み通してしまうことになるわけですが、今回紹介する『鬼畜』は、そうした勝目作品のなかでも、人間が「人間」であることを拒否した時、どこまで非人間的な行為が可能なのかを追求した問題作といっていいでしょう。銀行員・三沢英司の妻と娘が相次いで自殺をした。自殺の背後には三沢が仕える常務の柏木の存在があった。柏木の差し金でゲームソフトの部品メーカーが倒産に追い込まれた。社長は柏木の部下として担当だった三沢を恨んで、娘を誘拐してその体をオモチャにした。妻は柏木に体を奪われたあげくの自殺だった。それを知って銀行を退職した三沢による復讐劇が始まる・・・・・・。〈目をふさがれた二人は、三沢に腕を取られて、よろめきながら家の中に連れ込まれた。奥の裏手の部屋に人質を連れていって、三沢は初めて口を開いた。「手のテープも剥がしてやるから、二人とも着ている物を全部脱いでくれ。あんたらには怨みはないから殺しはしない。ただし、おとなしく協力してくれないとなると、命の保証はできないからそのつもりで・・・・・・」
静かな冷たい声だった。人質の体が震えた。〉浦和にある柏木の自宅から柏木の妻・和子と女子大生の娘・真理を拉致して房総の畑と山林に囲まれた古い農家を改造したアジトに連れ込んだ三沢は、着ている物をすべて脱ぐように命じ、自ら脱ごうとはしない二人のシャツやブラジャー、パンティを剥ぎとった。三沢はまったく表情の動きを見せない。〈彼は人質たちを仰向けにさせた。二人は腕と手ですかさず胸と股間を覆(おお)った。三沢はその腕と手を乱暴につかんではずさせ、あらわにした彼女たちの乳房と陰毛の茂みを手で軽く叩いて言った。「体で協力してもらうことになるから、そのつもりでいてくれ。怨みはおれじゃなくて、こうなる原因をしこたま作った柏木修に向けることだな。時間はたっぷりある。急ぐことはない。トイレに行きたきゃ手を上げて教えてくれ。飲み物も食べ物も用意してある。乱暴な扱いを受けるかどうかはあんたたち次第だ」〉三沢が最初にしたことは、柏木への電話を妻の和子にかけさせることだった。全裸、テープで眼隠しをした和子を広い板の間の隅の電話の前まで連れていき、その晩柏木が泊まっていることを調べてあった愛人宅の番号をプッシュした。〈「和子か。どうしてここがわかったんだ?」柏木はいきなりそう言った。持ち前の高圧的な口調だった。和子が一瞬口ごもって三沢に顔を向けた。三沢はニヤリと笑って和子の裸の尻をわしずかみにした。指先が谷間に深く沈んで陰毛の毛先に触れていた。和子は腰をよじった。張りを失いはじめている乳房が大きく揺れた。「あたし、いろいろ考えました。それで、真理と一緒にしばらく家を出ることにしたの。それだけです・・・・・・」〉十七年間、家畜として柏木に仕えてきた三沢が鬼畜と化して行った宣戦布告です。三沢は自殺した妻と娘が受けた恥辱を人質に与え、二人が犯され蹂躙されながらも体が反応していってしまう様子、喘ぎ苦悶する表情をビデオに写し撮り、柏木に送りつけていきます。柏木の愛人・夏子宅に乗り込んだ三沢。三沢を尾行していたのが露見して逆にとらわれの身になった私立探偵の腰のあたりにかがみこんだ真理と和子が競う合うかのようにして舌や唇をはわせている姿が映ったビデオを見せられた柏木が悲痛な声をあげるシーンです。〈「三沢、貴様それでも人間か!」
「うれしいよ。他でもないあんたにそれでも人間かって言われると、おれは自信が湧くね。おっしゃるとおり。おれはもう人間を止めたんだよ。鬼畜になったんだよ」
 三沢は言った。声も表情も鎮まりかえったままだった。〉三沢の「無表情」の行きつく先には何が待っているのか。勝目梓は復讐のために「鬼畜」の道を選んだ男と二人の女の心象風景を、こう描いています。〈性具のモーターの唸るような音と、和子と真理の喘ぎが、埃っぽい匂いのする部屋の湿った空気をかき乱した。
 他には何の物音も聴こえない。三沢はほとんど無表情のままで、黙りこくって性具を操っている。そこにあるのは、無残に弄ばれている二人の女の肉体と、暗くて冷えびえとした欲望を凶器の如くに振りかざしている、荒涼とした男の心象だけだった。〉三沢ははじめから救いなど求めようとは思っていない。三日がたって、三沢は人質に対する陵辱をぴたりと止める。そして物語は一気にノンストップのラストシーンへ。 翻弄された二人の人質は? そして三沢は? 柏木は?――勝目エンターテインメントの思いもかけぬエンディングをご堪能ください。(2013/5/31)
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