原発事故はなぜくりかえすのか

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原子力施設の事故はなぜ繰り返されるのか? 国の政策や原子力産業の問題を問い直し,安全性の考え方,これからの技術と人間のあり方を語る.生涯をかけて原発問題に取り組み,ガンで逝った市民科学者・高木仁三郎が,壮絶な闘病生活のなかで最後に残したメッセージ.

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原子力施設の事故はなぜ繰り返されるのか? 国の政策や原子力産業の問題を問い直し,安全性の考え方,これからの技術と人間のあり方を語る.生涯をかけて原発問題に取り組み,ガンで逝った市民科学者・高木仁三郎が,壮絶な闘病生活のなかで最後に残したメッセージ.

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野田政権は6月16日、関西電力大飯原発(福井県)の再稼働を決定し、続いて四国電力伊方原発(愛媛県)、北海道電力泊原発(北海道)、九州電力川内原発(鹿児島県)、北陸電力志賀原発(石川県)の再稼働に向けて動き出そうとしているそうです。2011年3月11日の大地震・大津波による原発のメルトダウン――「フクシマ」を契機に「脱原発依存」へと大きく舵をきったのはついこの間のことです。それを忘却の彼方としたかのような野田政権の「決断」を目の当たりにして、この人の不在の大きさに思い至りました。高木仁三郎。1961年東京大学理学部卒業、日本原子力事業勤務、都立大学助教授を経て、1975年に原子力資料情報室を設立。「市民科学者」として反原発運動を担い、自らの体験に基づいて「原子力村」の「議論なし・批判なし・思想なし」の構造を厳しく批判し続けた実践の人でした。ここに、一冊の本があります。高木仁三郎著『原発事故はなぜくりかえすのか』です。1999年9月、茨城県東海村のJCO社のウラン加工施設でだれしも予想だにしなかった臨界事故が発生しました。二人の現場作業員が被曝して死亡、地域住民に待避要請が出されるなど日本全体が原子力事故の恐怖に包まれました。ガンに冒されていた高木仁三郎はその時、死期を意識しつつ、最後の力を振り絞って録音テープを残しました。62歳で永眠した高木仁三郎の遺稿テープは岩波書店の担当編集者たちによって起こされ、2000年12月に出版されました。20111年4月、4刷版を底本に電子書籍化、緊急リリースされたのが本書です。その意味、価値、そして怖さは、何よりも書名そのものに現れているといってもいいと思います。原発事故はなぜくりかえすのか――高木仁三郎はこう綴っています。〈この事故は単独の事故としてあったわけではなく、一九九五年一二月の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市、動燃=動力炉・核燃料開発事業団)のナトリウム漏れ事故に始まり、九七年三月の同じく動燃(九八年改組、現・核燃料サイクル開発機構)の東海再処理工場のアスファルト固化処理施設における火災爆発事故につづく、いわば三段階のステップの中で起こってきた事故でした。(引用者中略)その後、JCOの事故調査委員会(原子力安全委員会「ウラン加工工場臨海事故調査委員会」)が九九年末に終わり、国会で原子力関係の法改正等がそそくさと行われ、省庁の再編がそれにつづいています。安全規制や原子力防災の部分などが若干変わりつつありますが、私に言わせれば本質的なことでは何の変化も起こっていません。それどころか、原子力の事故という恐るべき事故でむしろ影に隠れてしまったけれども、その周辺ではもっと忌むべきこと、心配になるようなことも大変多く起こっているのです。そういうことが隠されてしまって、あれだけ大きな事故が起こったのに、“大山鳴動してねずみ一匹”のたぐいで、結局旧態依然たる原子力行政に戻っていくのではないでしょうか。いや、その旧態の原子力行政すらなくなってしまいそうです〉どうでしょうか。「動燃」を「東京電力」という具合に関係会社・機関などの固有名詞を置き換えてみれば、高木仁三郎がここで指摘していた原子力をめぐる状況は、12年後の今日の状況にそのまま当てはまり、原発再稼働に向かう野田政権の有り様を正確に言い当てていることがわかります。繰り返しますが、民主党政権が「脱原子力発電依存」を唱え、国民に相応の協力を呼びかけたのはつい数ヶ月前のことです。フクシマでは多くの人々が先祖伝来の土地を追われ、帰る見通しも立たない状況にあります。核爆発や核分裂のときに“チェレンコフの光”と呼ばれる青い光が発します。「青い光が光った」というJCO臨界事故の報に衝撃を受けた高木仁三郎は、日本人はこの光を一般の人が浴びるという形で三たび見ることになったと書いています。〈第一は、広島で一九四五年八月六日に起こった被爆でした。このときは、青い光は、まさにピカドンという象徴的な言葉で呼ばれました。第二が、同年八月九日に長崎で起こった被爆でした〉そして第三がJCOの臨海事故というわけですが、その後フクシマという未曾有の危機的状況を招いた「原子力村」にすべてを任せ、原発依存の経済を維持することにひた走る政治と行政をどう考えればいいのか。高木仁三郎がフクシマ後を生きる私たちに残したラストメッセージとして、本書と、同じ岩波新書の電子書籍版『市民科学者として生きる』をぜひご覧ください。(2012/6/22)
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