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東京は上野の一画にある「新東京博物館」では現在、アミューズメント・パークの建設が進行中。このアミューズメント・パークは“楽しく遊ぶ”をモットーにする革新的な考えを持つ理事長の構想によるもの。そして、その目玉となるものが入館者が太古の世界をバーチャル体験できる“スーパーE”だった。この“スーパーE”とは、超弩級ニューロ・チップAI(人工知能)で、インプットされた白亜紀の情報と6千万年にわたる自然淘汰の歴史から、自ら生物進化の歴史を再現していくコンピュータ。計画では、このコンピュータの中で再現されている「恐竜が闊歩している時代(白亜紀後期)」を来館者がバーチャル世界で体験できるのだ。しかし、まだ開発中の段階の今は、この“スーパーE”によってバーチャル世界で体験できるのは館員では新人の森高弥生ただ一人だった……。

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国立博物館物語のレビュー一覧

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  • 東京・上野公園一帯は芸術と知識の宝庫。木立の中には、数々の美術館や博物館があって、いつ足を運んでも興味が尽きることはありません。岡崎二郎が描く『国立博物館物語』に登場する「新東京博物館」も上野のはじっこにあり、これから新しい博物館に建て直そうという設定です。その新博物館の目玉の一つとして研究開発されているのが、「スーパーE」という仮想世界を体感できる機器。体感者の意識を読み取りながら、仮想世界そのものが自立して進化するという優れた機器なのですが、今のところ実際に仮想世界に入り込めたのは森高弥生だけです。ストーリーは各話読み切り形式で、このスーパーEを使って、恐竜の世界を探検するといったわくわくシーンの話も多いのですが、昆虫や海中の生物、植物、そしてクローン動物等多種多様の生命が取り上げられ、いずれもの話にいちいち驚嘆させられるばかりです。その中で一番面白いと思ったのは、森高と少女がスーパーEから出られなくなるという話です。仮想世界から現実の世界に戻れなくなってしまうということで、当人や研究者達は次第に焦り始めます。詳述は避けますが、結局数ある生命の中でも、人間が一番ややこしいなと思わされる話です。数々の未知の世界を垣間見ることが出来て、まるで博物館の中を歩いているような気分にさせられる一冊です。(2011.9.27)
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    投稿日:2011年09月27日