書籍の詳細

小雪が舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、傷だらけの侍がたどり着いた。貧しさゆえ南部藩を脱藩し、壬生浪(みぶろ)と蔑称された新選組の隊士になった、吉村貫一郎であった。その剣の冴えは“人斬り貫一”と京の都で恐れられ、一方、極度の倹約のため守銭奴と蔑まれた男には、まったく異なる貌もあった。元新選組隊士や教え子たちが語る非業の隊士の生涯から、血なまぐさい時代にひとすじに生きた「誠」の人生が浮びあがる。03年映画公開。浅田次郎、渾身の名作!

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壬生義士伝のレビュー一覧

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  • 幕末に惹かれる人が多いのはなぜでしょう。私は、“攘夷”か“佐幕”かの二極論ではなく、変容するイデオロギーとほとばしるエネルギー、そして明日がどっちにあるのかわからない、という混沌とした世の中に魅力を感じます。近藤や土方、沖田、永倉、原田、斎藤ほか大勢の強烈キャラクターを擁する新選組にあって、この『壬生義士伝』(みぶぎしでん)で描かれる吉村貫一郎こそ“幕末”を体現した侍ではないのでしょうか。また、あくまでも泥臭く、壮絶なその生き方の背景にある、家族への愛は限りなく普遍的な想いのはずです。読み進むにつれ涙腺が緩くなりますので、ひとりでこっそり画面に向かいたいものです。
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    投稿日:2010年06月18日
  • 2010年1月29日にリリースされた浅田次郎著「蒼穹の昴」(1~4)が、中国清朝末期、紫禁城(故宮)を舞台に歴史の荒波に立ち向かう二人の若者の生き様を壮大なスケールで描く物語であるのに対し、同じ著者による「壬生義士伝」(上・下)は、日本が近代国家に生まれ変わろうという幕末期、時代の流れに抗して生きた一人の南部藩士とその家族の生と死を描いた長編小説です。いずれも夢や希望をもって必死に生きようとする人間が大きな歴史の流れに翻弄されていく悲しみややりきれなさが読むものの胸をうちます。困窮の中で妻と子どもを残して脱藩、新選組に加わった吉村貫一郎が酒を呑むたびに遠い故郷を想って口癖のようにいったという「南部盛岡は、日本一の美しき国でござんす。西に岩木山がそびえ、東には早池峰(はやちね)――」との言葉が今も目に焼きついています。心揺さぶられる感動の一冊です。上下2巻。(2010/2/5)
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    投稿日:2010年02月05日