愛妻日記

重松清

講談社/文芸

ジャンル:文芸

450円 (税別)

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eBookJapan発売日:2010年07月16日

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 金曜日の夜に開かれた忘年会のビンゴゲームであたった景品の「手錠」によって、勤勉で実直な愛妻家の三十代課長と出会いパーティで知り合って結婚した真面目な妻の穏やかな結婚生活に訪れた、非日常的な週末。土曜日の午前中、悪戯(いたずら)心から夫が妻に手錠をかけるところから、平凡な夫婦が始めて経験する禁断の物語が始まります。
 手錠はSM雑誌御用達の玩具のふれ込みで、それをかけられて自由を奪われた時、男も女も突然スイッチが入ったかのように、しまい込んできた「欲望」が解き放されて露わになっていきます。

〈妻は、もう、「やめて」とは言いませんでした。セーターをさらにたくし上げて顔を覗くと、大きな瞳はうっすらと赤く潤んでいました。閉じきっていない唇の端から、よだれが一筋、顎のほうに伝い落ちていました。
 悦んでくれていたのです、このひとも。〉

 土曜日の午前がこうして終わり、夜には手錠をしたままの妻は全裸に。もう手錠をはずしてとはいわない・・・・・・。
『ビタミンF』(新潮社、2014年6月20日配信)で2000年下期の直木賞を受賞した重松清が、小説現代編集長の求めに応ずる形で、性の問題に正面から取り組んだのが表題作の「愛妻日記」。直木賞作家が描く官能小説として「直木三十六」の名で、小説現代2002年1月号(講談社)に発表されました。
 その後、2002年5月号「ホワイトルーム」、9月号「童心」、翌2003年1月号「煙が目にしみる」、5月号「饗宴」、9月号「ソースの小壜」と計6編が書き継がれ、2003年12月に加筆・改題のうえ「重松清」の名で単行本出版。夫婦や家族の問題を主テーマとしている以上、セックスは避けては通れないという覚悟の上での執筆でしたが、それまでの重松ファンには大きな驚きを持って迎えられたのもある意味では当然だったかもしれません。抗議の声も少なくなかったようです。
 しかし、人間の営みとしての性を、たんなる社会風俗としてではなく、夫婦のありよう、男と女のありようとして描こうという試みとして評価されていいように思います。 (2010/07/30、2018/4/2追補)
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