書籍の詳細

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。思わず涙がこぼれ落ちる感動の浅田ワールド。吉川英治文学新人賞に輝く名作。

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地下鉄に乗ってのレビュー一覧

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  • 映画化され、劇やミュージカルにもなった、吉川英治文学新人賞受賞作品。DVDで見るのもいいですが、やはり文章で一人静かに味わいたい、心の琴線に触れてくる浅田ワールドを代表する小説です。最初に単行本で読み終えたとき、自らの来し方を想う自分がいました。戦後成り上がって財をなした父とは袂をわかって暮らす息子・真次が、タイムスリップして、少年時代の「父」、そして第2次大戦後の焼け跡闇市時代の「父」――自分の知らない父と出会うことで、自身の「現在」を見つめ直していく。父の人生について考えていく。そして、ともに「過去」に行く「愛人・みち子」の真実。人々の運命が交錯していく「地下鉄」をキーに、タイムスリップして現在と過去を行き来させることで、人の心の内の思いを、悲しみや苦しみを描く見事さ。電子書籍になって再読して、改めて感じ入りました。直木賞受賞作「鉄道員(ぽっぽや)」とも共通する、大人のための童話です。(2010/5/28)
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    投稿日:2010年05月28日