書籍の詳細

「いつから日本はこんなに駄目になったのか?」 ――すべての日本人の素朴な疑問に答える本が誕生した! 「騙され続けるB層」とそれを利用し、踊らせ続けるA層―― この構図が日本人をくだらなくさせている元凶である。政治、文学、芸術、音楽、グルメ、スポーツ、あらゆる分野で破綻を見せ始めている「近代大衆社会」の行く末をこの上なくわかりやすく解説する教養としてのエンターテインメント。

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日本をダメにしたB層の研究のレビュー一覧

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  • 私も年をとっていくにつれて、日本の将来が気になってきました。最近も、日本はこれで大丈夫だろうか、と思うようなことがありました。2017年10月22日に投開票が行われた、衆議院議員総選挙。解散が明らかになった9月から、様々な“風”が吹き荒れました。

    9月初旬、民進党の目玉人事であった山尾志桜里氏の幹事長就任が不倫疑惑で頓挫し、国民の野党への失望が広がったのをみて、安倍首相は衆議院の解散を決めます。このタイミングでは自民党の圧勝かと思われましたが、9月25日に、小池百合子都知事が自ら代表となって希望の党設立を宣言し、追って前原民進党の合流のニュースが流れると、一気に自民党に逆風が吹きます。当時、自民党が敗北する調査結果もあったといいます。

    ところが、9月29日、民進党との合流にあたり、小池氏の「排除発言」が報じられると、希望の党への追い風は、一気に逆風に変化します。希望の星だった小池氏が「緑のたぬき」などと呼ばれるようになり、逆に、希望の党に排除されたメンバーが急遽結成した立憲民主党は、「筋を通した」ということで国民的人気が高まりました。選挙結果はご存知のとおり、自民党圧勝、大きく離れて立憲民主党が野党第一党となり、希望の党は惨敗しました。

    これでいいのか、と思いました。この選挙結果に対して、ではありません。たった一カ月の間に、あの一言がなければ真逆の結果になっていたかもしれないほど、選挙情勢が大きく変化したことに対してです。人気投票みたいに、“風”で国政選挙の結果が変わっていいのでしょうか。そして、政治という実は高度に専門的な仕事が、誰でも分かるように定型化された安物のドキュメンタリー的手法で語られることに、大いに違和感を覚えたのです。「排除!? けしからん!」とか「筋を通した! 立派だ!」とかいう単純なストーリーによって、国の大事を決める選挙結果が左右されていいのでしょうか。

    そう思っていたときに読んだのが、適菜収『日本をダメにしたB層の研究』です。著者は結構口が悪く、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私にとっては非常に納得できる内容でした。大衆民主主義社会の孕む危険性を、豊富な事例と先人たちの言葉とともに説いた本です。

    「B層」とは、小泉元首相が「郵政民営化に賛成か反対か! 民意を問う!」と叫んで実施した総選挙の際、自民党が広告代理店に作らせた資料にあった用語だそうです。B層、つまり煽動に乗りやすく改革好きな、国民の大多数を占める大衆に対して、いかにアプローチするかが選挙結果を左右する、という内容だったようです。適菜氏は本書の中で、B層が力を持ち、何にでも参加するようになり、プロフェッショナルの仕事が軽視される社会の危険性を指摘します。政治だけでなく、文化・芸術のジャンルや、私たちの日常生活での振る舞いについても言及されています。

    インターネットを通じて電子書籍を販売する事業をしている私たちも、先人たちが遺した文化を破壊することのないよう、本書の内容を肝に銘じなければならないと思いました。大衆の洗礼を受けていないというだけの理由で、人気がないというだけの理由で、条件反射的に批判したり、切り捨てたりしてはいけない。また、“本物”を見極める目を持つこと、“本物”に触れること、身の程を知ること、そして自分や他人のルサンチマンに注意すること。こうしたことの大切さを教えてくれる本です。読む人の人生観を変えるであろうすごい本ですし、本書で説かれた視点は、これからの日本にとって本当に必要なことだと思いました。
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    投稿日:2017年11月24日