書籍の詳細

二十数年ぶりに被爆以来はじめて、広島に里帰りした父と子。原爆の閃光にも耐えて生き続けるユーカリの木を捜しあてた父は、これまで誰にも語ったことのない、少年時代の思い出を我が子に語り聞かせる。ユーカリは、原爆から逃げ続けてきた父を勇気づけるのだった。他短編「チエと段平」収録。

総合評価
4.0 レビュー総数:1件
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ユーカリの木の下でのレビュー一覧

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    子供だったからって頬被りはできない
    (註・新汐社書籍版からの感想です)
    実はこれ、被爆マンガの様でそうでは無いです。
    冒頭で被爆の社会からの軋轢には触れてますが、本題は銃後(日本本土)の戦争です。
    聖戦思想に煽られ、反戦厭戦思想を屠っていく市民生活の闇を描いています。

    軍国少年のガキ大将だった主人公が朝鮮人や親友の親との関わりからその思いを惑い、けっきょく被爆で街も友も失う。
    その失ったものは本当は何だったのかは本文では直接触れられていないですが、国家扇動に踊らされる悲哀をしっかりと描いています。

    実は代表作の「はだしのゲン」以上に今だから見つめなければならないことが盛り込まれています。

    ただひとつ話の幹に
    「南京大虐殺は日本軍が三光(潰滅)作戦に基づいた侵略」
    としてはっきり描かれてる点は設話として留意する必要はあります。
    この作品が言うような真偽の程が程度問題のレベルであれ、不明瞭なところがあるのも事実。
    (確かめては居ないが、この作品自体は当時世論的にこのような視点が疑いを持たれなかったので、メディアに於いても肯定論が占められ、執筆において改めて当事者などから証言を取るなどの注釈は特に無かった)

    が、
    仮にここを見過ごしてもフィリピンや沖縄などで日本軍が行った戦地市民の殺戮や自国民の自決強制などはこの話の触れるところと同じなので、
    「戦争責任」
    と言う言葉の上でやはり考慮に足る作品と思います。

    ともあれ、この作品のラストにただ一つ身だけを拾った朝鮮人級友の主人公への辛辣な叫び、これがこの作品の総てを語ってます。
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    投稿日:2015年09月25日