書籍の詳細

孤独な青年・森文太郎は転校初日、同じクラスの宮本にけしかけられ校舎をよじ登ることに。一歩間違えば死んだかもしれない、だが成し遂げた瞬間の充実感は、今までになかった「生きている」ことを確かに実感するもの…。文太郎はクライミングへの気持ちを加速させはじめた――!!

総合評価
4.0 レビュー総数:4件
評価内訳

孤高の人のレビュー一覧

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  • 緻密な絵柄と心理描写の表現力がすごい
    自分の殻に閉じこもった内向的な男子高校生が登山と出会い、山に登る過程で自分の内面とも向き合っていくストーリーです。ちなみに小説版とはストーリーが異なります。
    序盤こそ高校生の青春を感じさせるようなストーリーですが、全体的に金銭面や人間関係のシビアさも描かれた割とリアルなストーリーです。特に人間関係については雄大で厳しくも美しい大自然と対比させるかのように、狭量で意地汚く醜い心持ちの登場人物が多いので全体的に暗いです。
    この作品の面白い所は心の葛藤や、登山中の極限状態をセリフや擬音を極力使わず緻密な絵だけで魅せてくる所です。例えば数千メートル級の雪山の猛吹雪のシーンでも効果音の書き文字を使わず描かれていることで大自然の猛威や主人公の孤独が一層際立ち、美しい描写に引き込まれます。
    難点をあげるとすれば、原作者が途中で抜けていることも関係あるのか分かりませんが登場人物の扱いがやや雑で極端すぎる所だと感じました。本筋に関わりそうな設定だったのに途中でいつの間にかフェードアウトしていったものがいくつかあるのでストーリーの細かな整合性が気になる方は要注意です。
    • 参考になった 1
    投稿日:2018年11月06日
  • 匿名希望
    コミックだからいいんだけど
    森が屋上のオーバーハングに下から飛びつくシーンは完全に物理法則無視なので読者が真似をしないことを祈ります。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年03月31日
  • バラエティ番組でのエベレスト挑戦や、ここ数年の「山ガール」ブームで登山が以前よりも身近になってる気がします。まあ僕はあんまりそういうことしないんですが。でもこの作品にはものすごく引き込まれました。数多の死者を出してきた“非情の山”ことK2、そのなかでも人類未踏のルートである「K2東壁」への挑戦に挑む登山家の物語です。何といっても絵がすごい。冬山の美しさ、厳しさが絵で伝わってくるんですよ。また、バラエティ番組を見ているだけではなかなか伝わらないであろう「山の怖さ」をこれでもかと読者に突き付けてくるので、読んでいて苦しくて苦しくて…………でもいったん読み始めたらきっと途中でやめられなくなります。それこそ作中の主人公が山をやめられないように……。山に惹きつけられ、異常とも思えるストイックさで山に挑む男の挑戦がたどりつく先は――。最終巻の演出等はもはや「神々しさ」まで纏ってます。ぜひ読んでお確かめください。
    • 参考になった 9
    投稿日:2013年12月10日
  • 読むのがつらい、でも先を読みたくなる漫画
    登山に関する漫画は「岳」が有名ですね。岳は読んでいませんが、あらすじを見ると、主人公の三歩は誰とでもすぐ仲良くなれて、仲間も三歩を信頼しており、ハートフルな漫画なのではないかと思います。

    「孤高の人」は同じ登山をテーマにしていますが、かなり違った作品だと思います。この漫画は山岳小説の第一人者新田次郎の同名小説を、舞台を現代に変えてリメイクした作品です。

    主人公の森(加藤)文太郎は、三歩とは正反対の性格で心を閉ざし、孤独の中にいます。偶然の出会いから、クライミング、登山に魅了されてのめり込んでいきます。

    文太郎と関わりを持つ人たちは、中には心を閉ざした文太郎に手を差し伸べる素晴らしい人物もいますが、ほとんどが自分たちのエゴを文太郎にぶつけ、文太郎はますます孤立していきます。ただ、そのエゴをぶつける人たちも、水戸黄門の勧善懲悪の悪人というわけではなく、それぞれの事情を抱えた結果であり、この漫画のリアルさに色を添えています。

    人と関わることを避けている文太郎ですが、文太郎に深く関わった人たちの一部が、文太郎の行動により人生が大きく変わってしまいます。変わると言うよりは狂わされると言った方が正しいかもしれません。自分の取った行動により、人生を大きく変わってしまった人たちへの責任という重い十字架を背負い、文太郎の人生はさらに険しいものになります。

    この漫画は決して軽いストーリーではなく、読んでいてつらくなる場面も多々あります。つらいですが、ページをめくりたくなる、文太郎幸せになってくれという祈りに近い気持ちでページをめくりました。文太郎が幸せをつかめるのかどうかは、ネタばれになってしませんので書きませんが、続きが気になって、結局2日間で全巻購入してしまいました。

    岳が漫画賞を取り、高い評価を得てますが、間違いなく孤高の人も同等かそれ以上に評価を得てもいい作品だと思います。ただ、岳のようなハートフルなストーリーを期待して孤高の人を読むと、違和感を覚える人もいると思います。

    この漫画は画力がすごいです。ぜひ立読みで確認してください。山から見る景色が本当にきれいですばらしいです。ヤングジャンプの連載ですから週刊連載です。ハードスケジュールの中、これだけ緻密に描くには、相当な技量と努力があったのではないかと思います。

    不満点も多少ありましたが、それを踏まえてもあまりあるすばらしい作品でした。
    • 参考になった 17
    投稿日:2013年09月23日