書籍の詳細

太安万呂、頼山陽に比肩される著者畢生の名著『近世日本国民史』は構想雄大、人物活写に於て古今に冠たる史書である。本四巻は我が国が鎖国から開国へ踏み切る過程の内憂外患を叙述した維新前史

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近世日本国民史のレビュー一覧

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  • 11月から始まる「坂の上の雲」(司馬遼太郎原作)のテレビ放送もあって「明治」が話題となっています。この「明治」とは何か、日本の近世史の中で「明治」という時代の意味は何か、を考えるときぜひ手にとってもらいたいのが、徳富蘇峰の大著「近世日本国民史」のなかの「明治三傑」です。徳富蘇峰によれば、明治元年より昭和20年に至る約80年間は、日本国は駆け足でほとんど息の切れんまでに走り続けてきた時代でした。その体制を軌道に乗せたのは、薩摩と長州からでた維新の三傑――西郷隆盛、木戸孝允、大久保利通の3人です。蘇峰はそれぞれ特別な性格の持ち主であった3人に一つの大きな共通点を見いだしています。3人はいずれも自己のために生存せず、国家のために生存するという信念をもって生き抜きました。究極の目的は己を捨てて国家に奉仕するという一点においては、3人の考え方は同一ものでした。争ったのもそのためであり、提携したのもそのためでした。3人の離合集散はそれぞれが国家のために利益と信ずるところに向かって邁進したまでのことだというわけです。これが「明治」の時代精神となり、その後の国づくりを支えてきました。「坂の上の雲」の主人公たち(日本騎兵を創設した秋山好古、海軍にあってその戦術研究に貢献した秋山真之の兄弟と正岡子規)もまた近代国家の礎をつくることに自己を捨てて取り組んでいきます。戦後初めての本格的な「政権交代」の時代を迎えた2009年秋にこそ、じっくり読んでほしい一冊です。(2009/10/23)
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    投稿日:2009年10月23日