書籍の詳細

あこがれはバイク。恋心もほんの少し。そんな青春17遁走曲(フーガ)!!見た目も成績も「中の下」で、完璧イジメられっ子な17歳、荻野優介(おぎの・ゆうすけ)。ダメダメ平凡な彼の夢は、バイクの免許を取得して、教習所でチラ見している美人なゆみちゃんに近づくこと……。ムリめな妄想と諦(あきら)めてたのに、なんと彼女の方から急・接・近?これはあれか、ワナなのかっ!?青春という名の、毒やドロ沼がモニュッと凝縮。『稲中』の巨匠・古谷実による、「読んだら語りたくなる系」青春ドラマ!!

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シガテラのレビュー一覧

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  • 高校時代、劣等感の塊のような人間だった。なにをやってもダメで冴えない自分。その上学校では一部の強い奴らからオモチャにされ、使いパシられ、こないだなんて夜中に電話で呼び出されたその理由が「缶ジュースのフタを開けてくれ」だと。筋肉しかないバカのくせに・・・頼むから死んでくれ。自分の立場はわかっているつもりだった。なるべく目立たず、周りに溶け込んで、荒波立たてないように平和に暮らせればそれでいい。なのになんでこんな目に・・・ところが日々絶望していたそんな僕に彼女ができた。相手は教習所でたまに会うかわいいあの子。南雲さん。いろんな行き違いもあったけど、こんな僕を好きだと言ってくれた。信じられないから何度も何度も確認した。いじめられっこでこんなに地味な僕なんかをなぜ?彼女は言った。「会った瞬間この人しかいないと思った」彼女は僕の全てになった。普段の嫌なことも、彼女に会えば全部忘れる。南雲さんがいなくなったらおそらく僕は死んでしまうだろう。彼女のために死ねるかと聞かれれば死ねる。よゆーで死ねる。親には悪いけど。強くならなきゃ。いつまでもこんなんじゃきっと愛想つかされてしまうぞ。社会に出て立派な大人にならなきゃ。愛は人を変える。この作品にはこの言葉が一番似合っていると思う。
    • 参考になった 5
    投稿日:2012年03月30日
  • 前作『ヒミズ』ではギャグを完全に封印、気分がダウナーになること間違いなしの重い青春劇を描いた古谷実。今作も『ヒミズ』ほどではありませんが、やはりギャグ要素は少なく、シリアスな作品になっています。それにしてもこの作者、「何かが起きそうで起こらない」というギリギリの雰囲気、「日常の隣の非日常」を描くのが抜群に上手い。言うなれば、日曜の昼下がり、自分がだらだらとテレビを見ている隣の部屋ではもしかしたら殺人が行われているかもしれない、それは普通に考えればありえないことだけれど、かといって絶対に無いとも言い切れない。そんなこの世界の不安定さや危うさを、この作品からはビンビン感じます。主人公があまりにも普通な高校生ゆえに、彼の世界と薄皮一枚隔てたところに存在している悪意が際立っており、その悪意もいやにリアル。「もう引っ越して会わなくなるからあの女をレイプしよう」「もう病気でいつ死ぬかわからないから人を殺そう」…。ホントにこういう事言い出す奴、絶対いる! という怖さ。誰が何を考えているかはわからないこの世界、よくよく考えてみたらこれは下手なホラーよりよっぽど恐ろしいじゃないかと気づかされます。
    • 参考になった 1
    投稿日:2009年10月20日