書籍の詳細

私はその頃、アルバイトの帰りなど、よく古本屋に寄った。そして、漠然と目についた本を手にとって時間を過ごした。ある時は背表紙だけを眺めながら、三十分、一時間と立ち尽した。そういう時、私は題名を読むよりは、むしろ、変色した紙や色あせた文字、手ずれやしみ、あるいはその本の持つ陰影といったもの、を見ていたのだった。(本文より)憂鬱ななかにも若々しい1960年代の大学の青春を描いた、この時代を象徴する歴史的青春小説。第51回芥川賞受賞作。

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されど われらが日々──のレビュー一覧

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  • 1964年下期の芥川賞受賞作品です。青春小説といわれますが、たとえばその9年前に同じ芥川賞をうけ、若者の生態を描いて世に衝撃を与えた石原慎太郎「太陽の季節」とは、陰と陽というべきでしょうか。舞台は東大(大学院)、「駒場寮」「歴研」「共産党」「共産同」「六全協」といった言葉が記号となって1960年代――政治の季節の青春物語を形作っています。かつて静かな共感を感じた経験を持つ人たちもすでに定年世代。年を経て改めて読み直して欲しい1冊です。(2009/8/7)
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    投稿日:2009年08月07日