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最後の息子

新宿でオカマの「閻魔(えんま)ちゃん」と同棲する「ぼく」。友だちのオカマがホモ狩りにあって殺された事件を契機に、気楽なモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。家族との関係、元彼女との再会、閻魔ちゃんとの生活……自分がどうしたいのかわからないまま、ビデオ日記を見返してゆく。そこに映っていたものは?文學界新人賞を受賞した表題作の他に、長崎の高校水泳部員たちの夏の一瞬を爽やかに描いた「Water」、「破片」を収録。

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主演の深津絵里さんがモントリオール映画祭で主演女優賞に輝き、一気に話題の映画になった『悪人』。原作小説も累計170万部突破の大ベストセラーとなっていますが、その原作者、吉田修一さんが1997年に発表、その年の文学界新人賞に選ばれたのが、本書表題作の『最後の息子』」です。この年、候補にはなったものの受賞は逃した芥川賞を5年後の2002年に『パーク・ライフ』で見事に射止めることになるのですから、『最後の息子』は吉田修一さんの文字通り、デビュー作といっていいでしょう。主人公、長崎から東京へ出てきた「ぼく」は新宿でオカマバーをやっている「閻魔(えんま)ちゃん」と同棲している。閻魔ちゃんは元サラリーマン、「ぼく」は定職もなく、閻魔ちゃんに衣食住の面倒をみてもらっているという関係。そんな二人の友人であり、客である「大統領」がある夜、公園でホモ狩りにあって殺され、二人の生活にも影が拡がっていく。中古のビデオカメラで同棲生活の日常を撮り続ける「ぼく」にやがて転機が訪れる。元彼女との再会、そして母の突然の上京と「彼女」との対面を元彼女でやり過ごそうとする「ぼく」。「最後の息子」は閻魔ちゃんが残した置き手紙――「アンタをアンタの家の最後の息子にする権利も、責任も持てないわ。別に結婚を申し込まれたわけじゃないけど、女もこの歳になると、親に会うってのは、そういうことなのよ」からきています。なにが正しく、なにが正しくないのか、なにが「悪」で、なにが「悪」ではないのか。『悪人』とも共通するテーマです。男と女(男)、家族関係・・・…を繊細に紡ぐ秀作です。ほかに芥川賞受賞作『パーク・ライフ』もリリースされています。(2010/9/17)
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