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白いトロイカ

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 トキワ荘の紅一点、“天才少女”と呼ばれた水野英子は、手塚治虫に才能を認められ、1955年、15歳の若さでデビューを果たした。
 
 水野英子は、デビュー当時、男性作家のペンネームだと思われていたと言う。そのくらい作品のレベルが高かったことを意味する逸話である。当時は手塚治虫をはじめ、石ノ森章太郎ちばてつや、赤塚不二夫など男性作家が少女マンガも手掛けるケースが多かった。今では女性が少女マンガを描くのはあたり前のことだが、当時の少女マンガのヒット作品はほとんど男性の描き手によるものだったのである。
 
 そのような状況の中で、水野英子が登場する。手塚治虫のストーリー・マンガの手法を少女マンガに持ち込んだ女性作家の第一号が水野英子だった。水野英子はそれまでにはなかったストーリー性、コマ割りや構図、大きなテーマを少女マンガに取り入れ、その世界を広げていった。少年マンガで手塚治虫が行ったのと同じ事を、水野英子が少女マンガで行ったのだ。同時期に、わたなべまさこ、牧美也子らが活躍しはじめ、男性作家が少女マンガを描く時代が終わりを遂げたのである。
 
 『白いトロイカ』は1964年から週刊マーガレットで連載された。ロシア革命を舞台に、一人の少女の運命の物語を描いた『白いトロイカ』は、少女漫画としてはじめて史実を描いた衝撃的な作品で、大人気となった。壮大な物語と美しい絵は今読み返しても全く色褪せることがない。日常を描く事が主流となった現在の少女マンガが失ってしまったものが『白いトロイカ』にある。
 

 

 
 吹雪舞うクリスマスの夜、皇帝に逆らった罪で追われている夫婦が、農家へ自分たちの娘を託した…。

 貴族の娘として生まれたロザリンダは、ロタと呼ばれ、農家の夫婦に愛されて成長する。ある日、届けものをする途中にコザックのアドリアン、音楽のロストフ先生と出会い、ロタの生活は大きく変わろうとしていた。コザックと村の対立、新しい地主を迎えての混乱の中、歌を愛するロタは一人ペテルブルクへと旅立っていく。

 

 

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