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屋根の上のマンガ読み
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屋根の上のマンガ読み


『伝染るんです。』©吉田戦車/小学館
  ギャグマンガで衝撃を受けたのが『伝染るんです。』(※1)なんですよ。乗ってた自転車から転げ落ちて、ハラ抱えて笑ったことあります。紙に変な字が書かれてて「どう読むの?」って聞かれるネタがあるんですけど、そんな字ないんですよ、読めないんです。そしたら説明するキャラが、その字をそのままフキダシで言ってて、読めない!読めないんだけどちゃんと説明できてる。マンガならではの表現ですよね。吉田戦車さんは、僕にとっての4コマの概念を破壊してくれた人です。書って「1コマ」でしょ。情報量少なく勝負する世界だから、4コマで表現しきるところにも共通点を感じます。
 『キン肉マン』も大好きだったな〜。連載当時、人生で何が一番楽しみかっていうと「来週の『キン肉マン』」だったんですよ。ストーリーも設定もむちゃくちゃなのに、勢いがありましたよね。圧倒的な個性と。
 『とめはねっ!』(※2)は、マンガっぽい激しいシーンも、突飛な設定もないんですよ、驚くべき事件も起きないし、書道の歴史とか技術とかをちゃんと伝えてくれてる。でも、薄味に見えて深い。きれいな絵で、静かに流れてくんだけど、ものすごく面白い。河合克敏さんは「静かな実力者」って感じしますよね。


 『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博さんと『BASTARD!!』の萩原一至さんに影響を受けたのは、風が吹いてくるような、線のスピード感です。書道では「筆勢」っていうんですけど、筆の勢いですよね。音が聞こえてきそうなぐらいの荒い線、書道家としてスカっとします。何にもとらわれてない感じ。マンガを描くとか絵を描くとかいう、その常識をはるかに超えるくらいの勢いがあるっていうか。書だったら画数が少ないから、どう書いたかわかるじゃないですか。絵の場合は線を重ねて緻密になっているのに、なんであんな勢いが保てるのかっていうのが、僕は絵が描けないから不思議なんです。
 自分の頭で考えて自分の手で描いてる世界でさえ、制御できない瞬間てあると思うんです。書にもそういうところがあって、自分で書いたんだけど書かされてる感覚ってあるんですよ。書いていくうちにスピードも気持ちもどんどん上がっていくから、自分の動きがほんとに自分の脳から出た命令じゃないような。もちろん師匠の声が聞こえてくるのかもしれないし、見てきた書から影響を受けてるのかもしれないんですけど、またその領域とは違う、無になって体が勝手に動いて「あ、そっち行くのか、なるほどなるほど」って、書いてる自分に驚く感じ、もしかしたら漫画家さんも感じてるんじゃないのかなって。作家さえ巻き込まれていく不思議な世界だと思いますね。自分が想像もつかない物語に行くっていうのが、僕のモチベーションにもなっています。

 あこがれの漫画家さんたちに、僕は書でどこまで追いつけるんだろうって考えてて。見習いたいのは、圧倒的なオンリーワンであること。まねのしようがない、近くに誰もいない感じ。モーツァルトも王羲之も、今ではその道のど真ん中にいますけど、出てきた当時は超斬新でファンキーだったんですよね。ファンキーなんだけど王道になるようなものを、今でも追い求めてると思います。
 僕は「マンガっぽい」っていう感覚がすごく好きなんですよ。ポップ感というか、大衆的なわかりやすさ。もし僕に書道家としての新しさを感じてる人がいるとすれば、そのポップ感を評価してくれてるんだと思います。伝統的で難しい、日本画とか油絵みたいなイメージだった書道を、僕がマンガの世界に落とし込んだのかなあ。子供からおばあちゃんまで、「なんかいいね」って言ってくれるような書を目指してます。
ポイント10倍(セットは20倍)にて販売中!!(11/11〜11/24)
キン肉マン
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(※1)『伝染るんです。』吉田戦車(小学館文庫全5巻/小学館)
(※2)『とめはねっ!』河合克敏(ヤングサンデーコミックス1〜12集/小学館)※第13集が12月26日発売予定。




武田双雲(たけだそううん)
1975年生まれ、書道家。独自の創作活動で注目を集め、映画「北の零年」、NHK大河ドラマ「天地人」など数多くの題字・ロゴを手がけるほか、世界中でパフォーマンス書道や書道ワークショップを行っている。

■次回予告:第64回 ラサール石井(タレント)
手塚治虫ファンとして、『チェイサー』に ものすごく共感するというラサール石井さん。
お笑いや舞台活動に影響を受けた『がきデカ』など!
11/25(火)更新予定


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取材・構成:根本和佳 撮影:松原康之
 
 


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