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屋根の上のマンガ読み
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屋根の上のマンガ読み


 『かむろば村へ』(※1)の映画化で、板前の奥村勝男役をいただいたんですけど、実は僕がいがらしみきお先生のマンガが好きだとは、誰にも言っていなかったんです。もちろん監督の松尾スズキさんも知りませんし。だから、ほんと不思議なことがあるなあと思いましたね。
 演じるときは、いがらし先生が描かれたこれまでのマンガが自分の中に染み込んでいるんで、自分の顔も体もいがらし先生のキャラクターになっているイメージでした。だからちょっと特殊な感覚ですよね。でも勝男はしゃべらないキャラクターなので、特殊メイクに2時間ぐらいかけて、一言もしゃべらないままメイクを落とすという、そのむなしさたるや(笑)。いがらし先生の作品ってしゃべらないキャラクター多いですからね。そこが好きでもあったりします。笑いは言葉で説明するものではない、みたいな。逆に言うと、こんなにメイクしてこんなに時間かけて、実際に剃り込みまで入れて、一言もしゃべらないのねっていうのが自分にとってのギャグなんです(笑)。


『かむろば村へ』©いがらしみきお/小学館
 いがらし作品との出会いは高校のときの『ネ暗トピア』ですが、衝撃でしたね。大阪出身なんで、新喜劇とかお笑いが好きで育って、それで役者になったという部分もあるんですけど、新喜劇に花紀京(はなききょう)さんという役者さんがいるんですよ。一切ギャグをやらずに、話の流れで毒を醸しながら、アドリブで笑いに変えていくという人なんですが、なんかそれと相通ずるものをちょっと感じて、はまっちゃったんですよね。
 それから以前の作品を掘り起こして読みました。『いがらしみきおのしこたまだった』とか『あんたが悪いっ』とかいっぱいありますけど、タイトルがいいですよね、意味がなさそうで意味がある。時期は違いますけど、自選集(※2)のタイトル「誰も見たことがない魚は誰も見たことがない魚だとは知らない誰かにもう見られているかもしれないだろう」なんて、深みがすごいですよ。
 何かのインタビューの時に、いがらし先生が「ギャグはホラーと紙一重だ」ということをおっしゃってて。変な人がそばにいるとき、間に塀があると面白いけど、その塀をとっぱらったら急に恐怖になるっていう。そこに未熟ながら共感したんですね。自分自身に置き換えても、笑えるものを作ろうと思ってコントとか脚本とか書いてたんですけど、やっぱりその裏側には恐怖っていうのが必ずあるんですよ。恐怖がないとそれは笑いじゃなくて「楽しい」になってしまう。笑いの裏側は恐怖だって実感がずーっとあって、そこはすごくいがらし先生に影響を受けたと思います。
 でもやっぱり、根底は優しいですよね。本当に優しいです。だから、考えさせられますよね。表現ってなんだろう、人を喜ばせるとか自分が面白いと思うものを提示するってどういうことなんだって。特に『ぼのぼの』『BUGがでる』以降は、なんでもないことが実は面白いんだよと教えてもらった気がしますね。

 古谷実先生の『行け!稲中卓球部』も大好きでしたね。役者として読んじゃう部分もあるんで、あの豊かな表情の作り方を現実に真似してやりたいと思うんですよね。この表情いいな、嫌な表情だなぁって思ったら、練習したりもしましたね。
 いがらしさんも古谷さんも、ギャグを描かれている人ってすごく誠実だと思いますよ。人が気づかないようなしょうもないところを面白いと思って、それをふくらませてギャグにできるわけですから。すごい繊細で、きっと孤独だと思います。その孤独感から、笑いとか、その裏側の恐怖につながってる部分が必ずあると思いますね。
ポイント10倍(セットは20倍)にて販売中!!(8/12〜8/25)
ネ暗トピア
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ぼのぼの
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BUGがでる
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行け!稲中卓球部
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こんな作品もおすすめしていました! 追加でポイント10倍!!
I【アイ】
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Sink
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1・2の三四郎
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(※1)『かむろば村へ』 いがらしみきお(ビッグコミックススペシャル全4巻/小学館)
(※2)『いがらしみきお自選集』いがらしみきお(全5巻/竹書房)




オクイシュージ
1966年生まれ、俳優・演出家。主宰する舞台ユニット“国産第1号”の公演 「バイコーン」が、東京・下北沢駅前劇場にて8月20日〜24日に開催。出演映画「ジヌよさらば 〜かむろば村へ〜」は2015年春公開予定。

■次回予告:第58回 宮田和也(ミュージシャン)
思い出のマンガを、大人になってから読み返す面白さ。
“お客さんが戻ってきてくれるコンテンツの意味”は、ジュンスカ時代からの
自身の音楽活動にもつながるという…!
『釣りキチ三平』『サーキットの狼』『俺の空』など!
8/26(火)更新予定


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