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ジャンル小説の雄、東京創元社は、この60年間数多くの名作を送り出してきました。けれども、その名作の数がいささか多すぎて、どこから読んでいいのかわからない若人もいることでしょう。東京創元社への愛が計測不能といわれている池澤春菜さんが、各ジャンルの達人と、東京創元社のオススメ作品を初級・中級・上級に分けて紹介いたします!
【池澤春菜】(いけざわ・はるな)
声優、エッセイスト。小説一般、とくに海外SF小説を愛読し、「本の雑誌」「S-Fマガジン」で書評エッセイを連載している。初の読書エッセイ集「乙女の読書道」では本への愛情をたっぷり披露している。
【大森望】(おおもり・のぞみ)
翻訳家、書評家、編集者。新潮社勤務を経てフリーに。主な著書に『文学賞メッタ斬り』(豊崎由美との共著)訳書に『航路』(コニー・ウィリス)など多数。9月には『サンリオSF文庫総解説』(牧眞司との共同編集)が出版される。
2人が選んだ作品はこれだ!!
池澤春菜
大森望
初級
中級
上級
※上記の書籍で 『皆勤の徒』以外は電子化されていない作品です。電子化の際はeBookJapanで先行配信いたします。
池澤春菜<中級>
身体は宇宙船 頭脳は少女!ロマンスもあるよ!
『歌う船』
アン・マキャフリー 酒匂真理子/訳
あらすじ:金属の殻に封じ込められ、神経シナプスを宇宙船の維持と管理に従事する各種の機械装置につながれたヘルヴァは、優秀なサイボーグ宇宙船だった。SF界の女王を代表する名作。
大森
池澤さん、意外と宇宙が好きなんだね。
池澤
自分が選んだ3作品の核になるのはなにかと考えた時、遠いところに連れていってくれる作品というのがあったんです。自分の知っているものからちょっとずつ階段をのぼって行って、気がついたら遠くに行っているという選び方。『太陽系無宿』はみんなが知っている時代劇や西部劇が核にあって、その周りに宇宙がコーティングされています。中級の『歌う船』になるともう少し進んで、自分の身体が宇宙船になってしまう。人間の体ではなく、船としての体をもつ、脳みそだけの存在が主人公です。それだけ聞くと、想像しにくいかと思うんですけど、中心にあるのは、船の身体をもったヘルヴァという女の子の感情であり、気持ちなんです。「自分は孤独かもしれない」とか「他人と心と心の交感があるのか」とか、それとは別に「職業婦人として頑張らなければいけない」とか、いろいろありながらも最終的にはラブロマンスとして成立する……かな?
大森
んふふふふふふ。
池澤
プラトニックラブ的には成立するところまでいくんですよ。ちゃんと人としての気持ちがあって、そこから身体が船である少女というのを許容できるようになっていく。
大森
『太陽系無宿』に比べると現代SFなんですよ。女性作家マキャフリーの作品ということもあって、キャラクターも現代人らしく書かれている。
池澤
そうです。マキャフリーは女性しか書かない。嫌な女性を書かせるととてもうまい作家です!気が強くていじわるで、他人を蹴落とすことも厭わない女に、要所要所でいい男が現れる。ちょっとハーレクイン的なところもあるんです。
大森
当時は画期的なヒロイン像でしたね。その後、女の子が宇宙船になる話は日本のライトノベルや漫画やアニメでもさんざんやられてしまって、今では当たり前ですが、この時代としては革新的だった。シリーズ化もされて。
池澤
その後のシリーズは、マキャフリー以外のいろんな人が参加してシェアードワールド的になっていますが。
大森
ブレイン(脳)・ブローン(筋肉)システムといって、宇宙船と操縦者がパートナーとなって働くという設定が共通。
池澤
女性が船で、男性の操縦者だったり、その逆もあったり……。ペアがうまくいかなっかったり、船のほうが長生きするので、最愛のブローンがなくなって孤独にさいなまれるブレインがいたり。最終的には船でなくて宇宙に浮かぶ巨大な都市全体となってすべてを把握する存在も出てくる。それでも彼らは人間なんですよ。
大森
最初のうちは、生身の身体がないという、ある種のコンプレックスに悩む。それから船の冒険が語られていく。
池澤
そして、ロマンスが生まれる。本来だったら生きていくことが難しい少女が、宇宙船の体を手に入れることで、新しい人生を歩み始めるんだけど、それは自由なのか、新たな意味での束縛なのか……。1930年代の「キャー」、としか言わないヒロインと違って自分で行動するヒロインで、共感がもてるんです。
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