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いま人気のコミック『ハクメイとミコチ』樫木祐人インタビュー

舞台は自然豊かな森。そこには動物も昆虫も暮らし、それぞれの生活を送っている。この絵本のような世界にいっしょに暮らす主人公の2人(ハクメイと、ミコチ)はなんと身長9センチ。自然の恩恵を受けながら、家でジャムを作ったり、おでかけしたり、思わぬ訪問者を迎え入れたり、と日常の中でも驚きに満ちた日々を過ごしている。この作品の特徴は、なんといってもその描写だろう。自然の中の木や花、木陰などのいわば風景が丁寧に描かれ、その部分だけ見ていても魅了される。また、登場人物たちが、自然体で描かれ、セリフの一言一言が読者を惹き付けてやまない。人物と風景が鮮やかに活写された本作、その制作秘話を作者に訊く。

ハクメイ:知識が豊富で修理屋が生業。ミコチ:料理と裁縫が得意。

――『ハクメイとミコチ』を描こうと思ったのはどういう理由からでしょうか。

 大学時代に課題で描いた作品が、ハクメイとミコチの原型といえるものです。「小さな人たちの目線がどういうものなんだろう」と考えていて、その目線で漫画を描いてみたかったんです。その作品を担当編集者に見せたことがあって、それがきっかけになっていますね。 そして描いたのが『きのうの茜』というタイトルの読み切りです。その後、同じ世界観でまた読み切りを2本描いて、そのまま連載になりました。3本とも1巻に収録されています。

――ハクメイもミコチもとても生き生きと描かれていて、すごく共感できます。

 子供の頃から、生々しく描かれたキャラクターが好きだったので、描く側になった時もそのほうがいいだろうなと思ってそうしています。
 人物を描くのが好きなんです。その人たちからつい出てしまう生の反応や言葉を、そのまま描きたい。「この場面ならば、絶対こう言うだろうな」というところまで引き出したいと思っています。

――個性的なキャラクターがたくさん登場しますね。

 主人公のハクメイとミコチは、自然にまかせながら描くことが多いです。描きながら、「二人ともこんなことを言うんだ」って驚くようなときもあります。
 キャラクターが掴みづらい時は、そのストーリーと直接関係ない日常の様子を想像してみたりします。たとえばご飯食べているところや、歌っているところ、寝る前にどんなことをするのか、とか。そうすると随分掴みやすくなります。

――キャラクターには実在するモデルがいるのでしょうか?

 具体的な人物はいません。でも人に会って感じた自分の感情を探っていくうちに「この人の魅力はこれだ」と気づくことがあって、それを反映したキャラクターを描いたことはあります。石貫會のナライ会長がそうです。

大工組合[石貫會]のナライ会長。第2巻67ページより。

大工組合[石貫會]のナライ会長。第2巻67ページより。

             

――ナライというキャラクター造形に影響を与えたのはどんな人だったのでしょうか?

 そのまま職人気質の人、というわけではありませんでした。すごく明るいんだけれど、「圧」がある人で、油断して近づくと切られそうだった。「魅力はあるんだけど、そこに甘えたら魅力が感じられなくなってしまう」、そういう人物像から考えました。

――「油断できない」というのは面白いですね

 人を見る時に、表面だけで「楽しそう」「怖そう」と判断してしまうともったいなくて。それじゃあ面白くないから、油断せずに観察してみる。そうすると思ってもみなかった瞬間があります。

 

――作品の中には、大工道具などさまざまな道具類が沢山登場しますね。それはなぜですか?

 道具そのものが好きで、それにまつわる楽しい記憶が多いのでそれを描きたいんだと思います。例えば、祖父から小さい頃に山刀をもらったことがあったんですが、錆びだらけだったのをひとりでずっと研いできれいにするのが楽しかったんですね。鎌の柄を継ぐのを見ているのも楽しかったし、染め物についても、夏休みの自由研究で草木染めをして楽しかった、そういう記憶がいろいろあります。

     

――蒸気機関車のような機械から墨つぼまで登場しますが、どのように線引きされていますか?

 感覚的に出せるか出せないかのラインもありますし、その感覚で判断つかない時は1900年代前半ぐらいの文明レベルに設定しています。あとは理屈が通るように調べたり考えたりします。多少無理があったとして、それでもどうしても出したい時は、目をつぶることも(笑)。

   

――基本的に一話完結の物語ですが、どのように作られているのでしょうか

 その回によって作り方が違っています。ひとつのシーンが浮かんで、そのシーンをベースに作ることもありますし、「こういうキャラクターを描こう」と思って描きはじめることもあります。
恐らく一番多いのは、形のないもの、感覚的なものから作り始める場合ですね。言葉には出来ないけど、「こういうこと楽しいよな」というところからスタートして、「それはなぜ楽しいのか」を掘り下げていきます。その結果「○○だから楽しい」という楽しさの正体みたいなものを見つけれられたら描く、という感じです。

――言葉では伝えきれないものを描くというのは難しいことではないでしょうか

 そうですね。「何が面白いか」が見つかるまでは描き始められないので、打ち合わせには時間がかかります。面白いという自覚があっても、それが形になるかどうか自分でもわからないし、その「面白さの正体」を見つけたとしても、そのまま伝えられないこともあると思います。
 だからせめて、絵や雰囲気や生活の描写を丁寧に描けば、言葉にしずらい部分が少しでも伝わりやすくなるかなと思って描いています。とにかく伝わるように描くということだけは決めています。

――例えば第32話『廃墟と雑草』はどのようにして作られたのでしょうか?

『ハクメイとミコチ』第5巻124ページ 『ハクメイとミコチ』第5巻125ページ

『ハクメイとミコチ』第5巻124、125ページより

 まず雑草の中の廃墟というイメージが漠然とありました。そこに「家を壊す面白さ」という記憶もくっつけました。子供の頃に、祖父母の家の裏にあった小さな納屋を、妹と内側からハンマーで叩いて壊したことがあるんです。「もう取り壊すから好きに壊していいよ」って言われて。その時の面白かった記憶もきっかけのひとつです。

――ご自身の体験が根っことしてあったんですね。

 そのことを考えているうちに、家そのものに対する畏敬の念、みたいなものも思い浮かんできました。他人の家に気を使ってしまう気持ちとか、引越をする時に今まで住んでいた部屋が空っぽになったのを見て「世話になったな」と思った気持ちとか。そういった感覚はなかなか面白いものとして伝えられないものですが、登場人物たちに実行してもらったら伝わるかもしれない。そう考えながら描き始めました。

――これからも、言葉にできない楽しさをテーマに物語を作られていく感じですか……?

 そこは、この先にどんなものを描いたとしても、ずっと変わらないと思います。テーマというよりスタート地点なんだと思います。特別な体験をしなくても、普段の生活の中で起きるなんでもないこととか、ちょっと面白いものを見たとか、そこから考えを掘り下げていくので。
 雑談をしていても相手が「あ、それ面白い」って感じてくれれば、なんでそれが面白いんだろう、もっと面白くするにはどうすればいいんだろうと、考えがひたすら無限に広がっていくので、興味がいろんなところにいっているうちは描き続けられると思います。

――最後に、お気に入りのシーンは?

 緑尾老に会いに行く回(第30話 『紅髪の記憶』)の最後のシーンです。ぜひ読んで感想を頂けたらと思います。

樫木祐人(かしきたくと)

2010年2月に漫画誌『Fellows!』(現『ハルタ』)にてデビュー。2011年に発表した読切作品「あしたの茜」が、2012年『ハクメイとミコチ』として連載化(単行本の既刊5巻)。好きな漫画は『動物のお医者さん』、『DRAGON BALL』、『百鬼夜行抄』、『王ドロボウJING』、『ドロヘドロ』、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』、『ファンシィダンス』など。

©Takuto Kashiki

ハクメイとミコチ
ハクメイとミコチ
ハクメイとミコチ。緑深き森で暮らしている、小さなふたりの女の子。木の洞(うろ)に家を造ったり、葉っぱを傘にしたり、昆虫や鳥の背に乗ったり……身長9センチメートルなら、そんな事も出来るのです。愉快で穏やかな、森の日常劇!
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