とある王国の宮廷の庭。その日は王子・ジークフリートの成人を祝う宴が開かれていました。王子の母は王子に結婚をすすめますが、結婚に対して気乗りのしない王子は物思いにふけり、友人たちと狩りに出かけました。
とある湖のほとりで白鳥を見つけた王子は、その白鳥がたちまち美しい女性に変わる姿を目撃しました。王子に気付いた白鳥は、自分はオデットという姫で、悪魔・ロットバルトの呪いによって白鳥に変えられた、この呪いを解くには誰にも愛を誓ったことのない青年が彼女に永遠の愛を誓うことなのだと語りました。それを知った王子はオデットを救うことを決意し、後日催される宮廷の舞踏会に来るようオデットに告げるのでした。
宮廷の舞踏会には各国の王女たちが招かれていました。王子の母はそのなかから花嫁を選ぶよう王子に言いますが、王子はオデットのことを忘れることはできません。そんななか舞踏会の会場にもぐりこんだ悪魔が娘のオディールとともに現れます。王子はオデットそっくりに変装したオディールに愛を誓ってしまうのでした。悪魔にだまされたことに気が付いた王子は急いでオデットのもとへと向かいました。
思惑が叶わなかったことを知って嘆き悲しむオデットに王子は許しを請いました。そこに悪魔が現れて二人を引き裂こうとします。敵わないと知りつつも悪魔に対して戦いを挑んだ王子は激闘の末、悪魔を打ち破るのでした。しかしオデットの呪いが解けることはありません。絶望した王子とオデットは湖に身を投げ、二人は死後の世界で結ばれたのでした。
●観劇のポイント●
オデット(白鳥)には清らかでピュアな演技が求められるのに対し、オディール(黒鳥)には王子を誘惑するためのセクシーな演技が必要とされます。オデットもオディールも同一のダンサーが踊るのが一般的。同じ女性が相反する二つのキャラクターをどういう風に演じ分けているのかに注目!
〜 眠れる森の美女 〜
意地の悪い妖精の呪いによって
100年の眠りに就いたお姫様は
王子のキスによってその目を覚ます。
フロレスタン王の宮殿ではオーロラ姫の誕生を祝う宴が開かれていました。妖精たちがやってきて「優しさ」、「正直さ」、「勇気」、「寛大さ」などの性格を授けるための踊りを踊っています。邪悪な妖精・カラボスは宴に誘われなかったことを逆恨みして「16歳になったオーロラ姫は糸紡ぎの針に刺されて亡くなるであろう」と予言しました。まだオーロラ姫に授けものをしていないリラの精は、「オーロラ姫は亡くなるのではなく100年の眠りに就くだけです。いつか王子様がやってきて彼の口づけによって目を覚ますことでしょう」と予言をしました。国王はこの日から国中で糸紡ぎの針を使用することを禁止したのでした。
オーロラ姫の16歳の誕生日。王宮では盛大な宴が催されていました。オーロラ姫は彼女に求婚する4人の王子と踊りました。そこへ老婆が現れオーロラ姫に花束を渡しました。オーロラ姫は喜んで受け取りましたが、そこには針が仕掛けられてあり、その針に刺されたオーロラ姫は意識を失ってしまいました。そこへリラの精が現れ、オーロラ姫は死んだのではなく予言によって眠りに就いたのだと言いました。そして、オーロラ姫が目覚めたときに目を覚ますようにと、王宮全体を眠りに就かせたのでした。
それから100年の月日が流れました。デジレ王子と仲間たちは森で狩りをしていました。そこへリラの精が現れ、デジレ王子にオーロラ姫の幻を見せました。オーロラ姫に心を奪われたデジレ王子はリラの精に導かれオーロラ姫が眠る城を訪れました。眠っているオーロラ姫にキスをすると彼女は目を覚まし、周りの人々も眠りから覚めたのでした。
オーロラ姫とデジレ王子は結婚しました。結婚式には多くの妖精やおとぎ話の主人公たちが訪れ、彼らを祝福したのでした。
●観劇のポイント●
第1幕のオーロラ姫が16歳になった誕生日の宴で、4人の王子から求婚のバラを受け取るシーンがあります。一連の踊りはローズ・アダージョと呼ばれ、とても高度な技術が求められます。オーロラ姫役のダンサーが片足のつま先で立ったまま、4人の王子の手をかわるがわる握るシーンは圧巻!
〜 くるみ割り人形 〜
クリスマス・イブの夜に
少女・クララが見た夢のなかの物語。
クリスマス・イブの夜。市会議長の家でパーティーが開かれ、皆楽しそうに踊っています。そこへ人形使いのドロッセルマイヤーが登場し、子供たちにプレゼントを配りはじめます。議長の娘・クララはくるみ割り人形をもらい、とても気に入りました。ですが、弟・フリッツがその人形を欲しがり、取り合ったので、人形が壊れてしまいます。
パーティーが終わった後、クララは壊れた人形が気になって、夜中に居間にやってきました。すると、突然クリスマスツリーが大きくなり、ねずみの大群がおもちゃの兵隊と戦争をはじめ、くるみ割り人形が指揮をとって戦いだします。戦いの後、くるみ割り人形は王子様に変身し、クララをお菓子の国へ連れていきます。
クララはお菓子の国の女王・金平糖を始めとして、沢山の住民に迎えられました。そして様々なお菓子の踊りを見せてもらいました。
最後には別れがやってきます。気が付くと、そこはお菓子の国ではなく自宅のベッド。
すべてはクララが見た夢だったのでした。
●観劇のポイント●
テンポがよくストーリーも分かりやすいので小さい子供と行くにはうってつけです。三大バレエのなかでいちばん音楽がキャッチ―で、その楽曲はバレエ以外のシーンで耳にする機会も多いです。主人公の少女・クララを大人のダンサーが踊るか、子役が演じるかで違った味わいになります。