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漫画天国「まんてん」
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漫画天国「まんてん」



山田ミネコ

●神奈川県出身。トキワ松女子短期大学卒業。昭和40年代前半に貸本漫画でデビュー。SFやファンタジー的な作風が持ち味。代表作にライフワークの『最終戦争シリーズ』『ふふふの闇』『妖怪風土記』等。竹宮惠子萩尾望都大島弓子等が名を連ねる24年組のメンバー。
● 漫画家になれるとは思わなかった

――「漫画家になりたい」と思いはじめたきっかけから教えてください?

 とても食べていけるとは思えなかったので、「漫画家になりたい」と思ったことはないかもしれません(笑)。
 私が最初にデビューしたのは、貸本漫画の単行本だったんです。
 原稿料がとても安くて、他に仕事をしながら、暇を見つけて趣味で描いていくしかないと自分では思っていたんです。
 貸本漫画の最後の時代ですね。
 最初、つばめ出版とか、若木書房とか、いろいろ持ち込みをしたんですけど、もうほとんど漫画をやっていないということで、辰巳ヨシヒロ先生のヒロ書房を紹介されたんです。
 小さなビルの一室で、社長しかいないから、出かける時は作家が電話番したり(笑)。
 そこで単行本を10冊くらい出したんですが、他にアルバイトをしないと食べていけないので、横浜の地下街喫茶店の洗い場で働いたりしていましたが、そうすると漫画を描く時間が少なくなってしまって。
 それで、もう少し原稿料をいただけるところはないかしら、と思って、雑誌で描こうと思っていたんです。
 その時、師匠の鈴木光明先生に、集英社の別冊マーガレットを紹介して頂いたら、編集長が「あと10日で16ページ描いて」って言われて。
 「はい、わかりました」って言って、一生懸命描いて持って行ったら掲載されて、それが雑誌デビューになりました。

――どんな漫画家から影響を受けましたか?

 やっぱり、少女漫画をたくさん描いていらっしゃった石ノ森章太郎先生が好きでしたね。
 少年漫画も読んでいました。手塚治虫先生の影響は言うまでもありませんが、私は特に横山光輝先生が好きだったんです。『闇の土鬼』とか『伊賀の影丸』とか(笑)。

――そして、師匠の鈴木光明先生の作品もご覧になっていた? 鈴木先生とはどういう出会いだったのですか?

 鈴木先生は早くに漫画をやめられてしまったんですが、小学校の低学年の頃から先生の作品を読んでいました。
 まだ私が漫画家になる前ですが、私達が作っていた漫画の回覧誌を見ていただくためにお会いしました。
 コピー機がない時代ですので、肉筆で、同人の間を順番に回覧するのですが、私もそのメンバーになっていて。回覧誌を鈴木先生のところにお持ちするために、しょっちゅう出入りしたら、いつのまにか弟子になってしまったんです。
 鈴木先生には、お忙しいところに押しかけて、いろんなことを教えて頂いて、本当にお世話になったんですよね。
 作家になってから先生に「私って本当に迷惑な弟子ですよね。どう恩返ししたらいいかわかりません」と謝りましたら、「僕のことはいいから、自分より後にデビューする人に対して、いろいろ力になってあげてください」とおっしゃってくださったんです。
 だから、漫画家になれそうな人を、その世界に少しでも浸ってもらおうと思って、鈴木先生が主宰していらっしゃった「少女漫画教室」から、やる気のある方を連れてきて、アシスタントをしてもらったりしました。
 多いときで11人いたんです。もちろん、必要な人数よりも多いので、細かく描き込んで、無理やり仕事を作ったりして(笑)。
 それが恩返しになったかどうかは自分でもよくわからないのですが。


● 《花の24年組》と《大泉サロン》

――山田ミネコ先生はいわゆる《花の24年組》のお一人でいらっしゃいますね。《24年組》とはどんなグループだったんでしょうか。

 たんに、その時の担当さんが、24年生まれだったんです(笑)。
 それで、萩尾望都さんや竹宮惠子さんが担当さんとお話していて、「24年前後の作家って多いよね」という話をしていて、「じゃあ24年組だね」って感じで、広まったのではないでしょうかね。

――《24年組の方》が集まっていたという、《大泉サロン》には、足を運ばれていたんですか?

 最初はいつだったか、はっきり憶えていないんですが、私が北海道に旅行に行った時に、ささやななえ(現:ささやななえこ)さんを訪ねたら、「まあ、ネコちゃん、いいところに来たわ」って、原稿を手伝うことになって(笑)。その後、ななえさんが上京して、大泉サロンに行ったとき、私も一緒に行ったんじゃないかしら。
 みんな、お互いの作品を読んでいましたし、やっぱり、その時に竹宮さん、萩尾さんといえば、当時、ぐんぐん人気が上がってきた頃で、とても会いたい作家さんでしたから。

――大泉サロンというのは、トキワ荘のようなアパートだったんですか?

 一軒家でした。それを、竹宮さんと萩尾さんが借りていたんです。
 アシスタントさんとか、漫画家志望の人がたくさん来ていて、泊まりたい人は泊まっていったし、日帰りの人はその日に帰ったりしていました。
 その中にはネーム中の人がいたり、締切の人もいる。忙しい人がいたら手伝ったり、ヒマそうな人と話をしたり、ご飯作りたい人は作ったりと思いおもいに過ごしていましたね。

――お互いの作品の話とかもされたんですか?

 作家同士って、あまり自分の話につながるような話はしないですね。どこのケーキが美味しいとか、今日は神田で古本市があったとかね。
 私が「古本を買って来たから、ちょっと置かせておいてね」って、大泉に置いていくと、次に来た時には、みんな読んでいたりとか。
アシスタントのような立場から漫画家になった人は、お手伝いしながら描き方を学んで、プロの世界に触れていったのですけど、私はあそこで具体的に何をしたかというと、あまり思い出せないんです。
 別に作品の役に立つことをしているという感じじゃなくて。
 暇な時に、遊びに行って、一緒にいて楽しいから、一緒にいるという。
 いろんな方がいらっしゃって、いろんな話をすると本当に刺激になりましたね。
 佐藤史生さんとか……そうだ、増山法恵さんが、少年愛が好きで、それをせっせとみんなに話して、染めようとして(笑)。
 萩尾さんや竹宮さんは、増山さんの影響でわりと好きになっていったんじゃないですかね。
 私は「ボーイ・ミーツ・ガール」が一番中心にあるので、あまり影響を受けませんでしたが(笑)。
 それに、私の読者はあまりそういうものを要求していないんじゃないかなと思うんです。

――「大泉サロン」に集う人たちは、お友達という感じでしたか? それとも切磋琢磨するライバルという感じでしたか? お付き合いは今も?

 両方でしょうね。やっぱり。
 結婚する前はお付き合いがありましたが、結婚後は家庭と仕事と両立するので手一杯になっちゃって、なかなか、お友達付き合いできなくなっちゃいましたね。


●壮大なスケールと繊細なキャラクター

――山田先生の作品は、少女漫画という先入観で読み始めると、その壮大な物語世界と、SFマインドに圧倒されますね。壮大なSFやファンタジーがお好きな方は『最終戦争シリーズ』、オカルトや伝奇アクションがお好きな方は『ふふふの闇』『外法童子』をオススメしたいですが、やはりSFはよく読まれたのですか?

 本当は探偵小説が好きだったんですが、中学生くらいの頃に、SF大好きな友人に叩きこまれたんです。二人とも、光瀬龍先生が好きで、「SFマガジン」を交互に買って回し読みしていました。
『最終戦争シリーズ(5)影-シャドウ-』 『最終戦争シリーズ(4)笛吹伝説』

――繊細なキャラクターの心の機微、複雑な人間関係が丁寧に描かれて、心を揺さぶられるのですが、キャラクターを描く上でどのようなことに気をつけられていますか?

 ほとんど何も考えていないんですが(笑)。
 実は、私は先にキャラクターを作る方じゃなく、先に描きたい物語があって、こういうお話だったら、どういうキャラクターが合うか、といったことを考えながら作っています。
 でも、ストーリーが長くなるとキャラクターが勝手に動き出しちゃう(笑)。

――『最終戦争シリーズ』の敵・ディーバダッタや、小角の母の唱(トナエ)、絵馬(エマ)、『ふふふの闇』の津波お姉さんのように、山田先生の作品には美しく強い女性キャラクターがたくさん登場しますね。

 強い女の人が描きたかったんですね。
 それも、努力して武道の達人になる、というのじゃなくて、あっというまに人間を超えて強くなるという人。だから、ああいう存在になるんでしょうね。
 唱は本当に怖いですが、絵馬は、普通の人が努力して強くなったタイプですよね。

――そんな強くて美しい女性キャラクターでも、美男子には弱いんですよね。

 そうかも(笑)。やっぱり女の人だから。

――電子書籍になったことで、山田ミネコ先生の作品をこれから読んでみようと思った方もいらっしゃると思います。そんな方にメッセージをお願いします。

 電子書籍は本棚が要らないのがいいですよね。住宅事情もあるし(笑)。
 男の人には、最初は少女漫画的な絵柄で壁があるかもしれませんが、馴れてしまえば面白いと思いますので、ぜひご覧ください。





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