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漫画天国「まんてん」
漫画天国「まんてん」



木村直巳(きむら・なおみ)

●1962年生まれ。東京都出身。1978年「マンガ少年」新人賞佳作入選。入選作「最後の妖精」で商業誌デビュー。代表作に『監察医朝顔』(原作:香川まさひと 監修:佐藤喜宣)『イリーガル』(原作:工藤かずや)『ダークキャット』など。2003年『てんじんさん』で第7回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。マンガジャパン世話人、漫画家協会参与。
――電子書籍についてどう思いますか?

流通を変えないと漫画はダメになると言い続けている人間なので、電子書籍には期待していますし、応援もしています。(電子書籍を)何とかしたい、と常々考えています。
韓国や台湾の漫画家がたとえ個人であってもオールカラー、描き下ろしのできる環境ができているのに対して、日本はそれを行う土台ができていない。世界中が電子書籍を中心に動こうとしているなか、日本はまだまだなところが心配です。でも、そんな状況でもアジア中の漫画家が日本の漫画家に対して憧れの目を向けてくれているのはありがたいことです。


――漫画家になるきっかけとなった作品は?

「木馬座」は、母によく連れられて観に行っていたので、藤城清治さんの絵は僕の原点だと思います。『ウルトラマン』をはじめテレビをよく見ていた子供でしたが、ある時期から漫画を一所懸命追いかけるようになって。手塚治虫先生、石ノ森章太郎先生、永井豪先生……いま思うととんでもない話ですが、当時はちばてつや先生の絵が汚く見えて(笑)。SFファンタジーじゃないと漫画じゃない、みたいに思っていた時期もありました。
高校に入る頃、それが壊れてCOMの人たちや村野守美先生、真崎守先生、上村一夫先生の漫画をむさぼるように読みました。
作品とは異なるのですが、はっきり覚えていることでいえば、小学校3年生の頃、下校の道すがらいろんなことを自分が考えていることを自覚したんです。「いま、僕は考えている」と。以来、中学の頃は登下校で漫画のネタを一本考えるようになりました。帰宅するまでに出来上がると、そのことに満足して漫画にしなかったことも結構ありましたけど。


――商業誌でのデビューが中学三年生です。

いま思うと運命の分かれ目ですが、もともと手塚賞(集英社)に応募しようと思っていたんです。でも、ちょうど『火の鳥』の連載がはじまる「マンガ少年」(朝日ソノラマ)が創刊されて。迷わず「マンガ少年」を選びました。
高校受験の前日に入選の知らせがあり、飛び上がって喜びました。明日受験だけどもういいやって舞い上がっちゃって。
その後1年ぐらいの間に短編を何本か描いたんですけど、なかなか誌面に載ることはできなかった。でも「マンガ少年友の会」に誘われて仲間ができたのはうれしかったです。このとき主催していた方が後々、編集者になって『ダークキャット』の担当になったりもしました。


――いま振り返って、中学三年でのプロデビューはどうでしたか?

僕にはいわゆる習作時代がないので、プロになってから本当に苦労しました。仕事しながら勉強するほかないですから。『大空浪漫』『ヂャンギリぽんぽん』など心残りのある作品を、どう修復していくのかというのがあって。『大空浪漫』のときに、担当だった編集者に「お前は漫画ばかり描いていて人間を知らない」と言われて。人間を知らないといけない、人間を知らないと一人前じゃない、と思いました。


――人間を知る?

何をやったかっていうと、飲み屋で人間観察をしました。40歳ぐらいまでは飲んだり騒いだり、メチャクチャやっていました。人間を知るために。深酒してベロベロになっているんですけど、人が何をしているのかを見ているので、記憶しています。もう会いたくない人たちばかりですが、とても勉強になりました。


――その意味では、作品には先生自身が表れている?

漫画家は自分の色を作品に生かすのではなく、作品の持つカラーが大切だと思い続けています。いわば自分が作品のカラーに染まるというか。とはいえキャラクターに人間っぽさを感じるとき、そこには恥ずかしい自分が一番出ていると思います。作家たるもの自分をさらけ出してなんぼですからね。


――原作のある作品も多数手掛けています。

僕たちは映画監督と同じなので、自分で面白い作品が作れればそれにこしたことはないし、プラスαで自分では調べられない情報が盛り込まれていれば、それは絶対に活かすべきなんです。漫画ってコマで作られているので、コマがすべてなんです。そのコマを割るのは僕なので。


――今後、どんな作品を描いてみたい?

東京スカイツリーを見たり、隅田川花火大会が開催されると、いつも思うのですが、戦時下、このあたりは空襲にさらされて、とんでもない数の死者が出ているんです。でも、そんなことは知らなかったことのように華々しく花火があがる。はたして、この音を聞いて、あの時代を生きていた人達は幸せなんだろうか、と。僕以降の漫画家は絶対描けないだろうと思うので、当時の状況だけではなく現在を同時に描いて、いいものを描きたいですね。三部作にしようと思っていますので、終戦から70年目に発表すれば大きく打ち出せるんじゃないかと思っています。




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©木村直巳・香川まさひと/実業之日本社 ©木村直巳/リイド社 ©木村直巳・工藤かずや/小学館


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