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2016/07/22更新
栃木VS群馬、(わりとどうでもいい)宿命の死闘
世界最後の魔境群馬県から来た少女GX
著:日下一郎 イラスト:新谷真昼
「群馬だ! 群馬の力だ!」なんて叫びとともに、世界最後の秘境・群馬県からやってきたコヨトル(みかけはどこかの原住民風)が大暴れする、群馬県グンマーネタの自虐ラノベとして一部で話題となった日下一郎『群馬県から来た少女』。なにぶん、刊行されたのは2年も前だし、今更読み返すのも面倒なので曖昧な記憶で書いているのだが、たしかコヨトルが群馬の名産品を紹介したり群馬の観光案内をしたり、群馬の偉人を召喚したり、召還された農業の偉い人・船津伝次平が電磁をつかったり、あとなんか戦ったり主人公が群馬王になったり、あとアステカ文明がどうのとか最後の方は言い出してたり、出版と同時に謎のスマホゲームが公開されたり、そんな内容なのになぜかマジに群馬県が協力していたりした記憶がある。
 で、今週は何を取り上げようか……とebookjapanのラインナップをつらつら眺めていたら、なんとその続編が出ていた。マジか。

日下一郎『世界最後の魔境 群馬県から来た少女GX』(スマッシュ文庫)

 作者によればGXとはグンマ・エクストリームの略らしいが、まあ、どうでもいい。群馬県から来た少女、コヨトルに引き続き、今度は栃木県から来た少女・トチギーナが現れ、群馬対栃木の宿命の対決が繰り広げられる……というのが本作。ただまあ、群馬県民や栃木県民の皆様には申し訳ありませんが、読者の大半は、そんなのどっちが栄えようが滅びようがまったくどうでもいいことだと思うので、まあ、どうでもいいんじゃないでしょうか。やってるノリは前作とだいたい同じだし、その前作についてはSF小説家の山本弘先生がご自身のブログで書評を書いて下さっているし(「山本弘のSF秘密基地BLOG」http://hirorin.otaden.jp/e309282.html)、このあたりを読んで頂けたらいいと思います、はい。じゃあそういうことで、また来週……。
 …………。
 ……。
 
 と、まあ、以前、伊藤ヒロの『女騎士さん、ジャスコ行こうよ』(MF文庫J)を取り上げた時以来になげやりな評者ですが、なんで今日はこんなノリかというと、件の小説以上に、本書は適当でデタラメだからです。
 何せ、

・「栃木に群馬のマスコットキャラ・ぐんまちゃんがさらわれたけど、主人公たちには別にぐんまちゃんを助けに行く内面的な動機がない」とか、致命的な小説上の不備が次々に明らかになる。明らかになる度に、それを解消すべく作中の設定が改変される(ので章と章の間で物語がつながってない)。登場人物の名前もしょっちゅうかわる。

・前作のAmazonレビューの平均は星ふたつだとか、その低評価のせいで前作のイラストレーターに依頼を断られたとか、もともとは本作はウェブで連載されるはずだったがその企画はなくなった等々の楽屋裏のあれこれが地の文で等々と語られる。

・MSXネタとか特撮ネタとかネタが古すぎてどうかんがえてもラノベでなく、あまりに読者置いてけぼりすぎてしょっちゅう作者が「ギャグの解説」をする

・キャラが足りなくなると脈絡なく作者の他作品からキャラとガジェットを引っ張ってくる

・延々同じネタを繰り返す「発狂コピペ展開」は今回も健在

・話なんてないに等しい

・今回も発売に合わせてスマホゲームが公開されてるよ。

 いやね、一応、群馬県から来た少女と栃木県から来た少女が、それぞれの県にまつわる偉人を召還し、ご当地の名産品で対決する……という筋はあるんですよ。でも、それだってですね、最初の頃こそ、ヒラコー先生の『ドリフターズ』でおなじみの那須与一VS同志社大学をつくった新島襄という、一応、名前ぐらいは聞いたことのある偉人が登場するわけですが、ページが進むにつれ、群馬にも栃木にもろくな偉人がいないってことなのか(そんなことはないと思うが)どんどんマイナーになっていくわけですよ。最後の方に出てくる栃木の偉人なんて、iPhone3Gの発売日にappleストアに並んで「世界的ですもんね 乗るしかない このビッグウェーブに」と言っていたモヒカンの人(Butchさん http://dic.nicovideo.jp/a/butch%E3%81%95%E3%82%93)とかですよ。どんだけ偉人不足なんだよ栃木。つーかあの人栃木県民だったのかよ……。

 というわけで、徹頭徹尾でデタラメで適当なフリーダムな小説なのですが、しかしかと言って手抜きなのか、作者に全くやる気が無いのか……というとそういうことではなく……。感じられるのは、渾身の力でもって、できるかぎりのデタラメさと適当さとフリーダムさを目指した小説だ、ということです。某ハートマン軍曹の言葉を借りれば、「努力してこうなった」のです。この労力の半分でもベタなラブコメを書くために使えていれば……と作者の深い業さえ感じさせる「努力の方向音痴」ぶりです。
 そんなわけで、人を選ぶ小説だとは思いますが、私はこの小説、大変好きです。茨城県民として、ラストで予告されていたVS茨城県編を読みたいと思いますので、日下一郎先生におかれましては、是非、三巻目も書いて頂きたいと思っております。
 以上。
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