■審査委員長・樫村行弘
登場人物たちの気持ちの動きを丹念に追い、作者と等身大とも思える主人公の心の葛藤をうまく引き出している。また人物の表情が豊かなので、ややもすると単調になりがちな会話の部分もうまく盛り上げており、絵にもメリハリが出ている。ただ話の流れがストレートな分、登場人物のキャラがややステレオタイプ化しており、役割通りの動きのために話の結末が読めてしまう。小道具としてのジーン・セバーグの出し方も、事前に伏線的に出しておけば、ラストでよりシンボライズ化できただろう。読者に自分の持っているテーマを真正面からぶつけようという姿勢は買えるので、今後とも奇をてらわずに、しっかりと自分のテーマを見据えた作品作りをしてほしい。