照井 哲哉
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【照井 哲哉】さんのレビュー一覧

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1~25件/297件 を表示

  • かつて、タモリが埼玉県のことを「○サイタマ」(○に入る文字、わかりますよね!?)と言ってからかった頃から、とかくネタにされがちな埼玉県。『埼玉最強伝説』…書名からして、なんだか期待してしまいますねぇ。その期待に違わぬ内容なのですが、犬木加奈子が描いた!という点にこの本の絶妙さが現れています。代表作『不思議のたたりちゃん』『不気田くん』で知られるホラー界の女王が、埼玉をどう描くのか! 恐る恐るページをめくるのですが、読み始めは違和感を拭えませんでした。描いている内容はギャグなのですが、登場人物の絵のタッチがあの背筋ゾクゾクの犬木ワールド! いつ目玉が飛び出たり、脳が割れるんだろう…この女は実は口裂け女なのか…てなことを頭の片隅に置きながら読み進めるんですが、ご安心あれ!? この本に恐怖シーンは登場しませんでした。埼玉在住の犬木が郷土自慢と卑下を繰り返すのですが、面白いのはライバル千葉や憧れの神奈川、東京との対比の場面です。また、埼玉県内の各市の擬人化にも笑わされます。読後、私も素敵な埼玉の虜になってしまった、と埼玉県まで徒歩1分以内の住人は感じたのでした。
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    投稿日:2015年09月18日
  • モンゴルで人気の漫画家・ナンバラル・エレデネバヤルが描く「ボンバルダイ」シリーズは全108冊を目指す意欲作です。主人公はボンバルダイという少年なのですが、ゲルと呼ばれる遊牧民が使用する移動式家屋に母親と暮らしているようです。今回紹介する「牛糞拾いに行って」は、ボンバルダイがゲルの中で燃料として使用する牛糞を極寒の荒野に探し求めるというあらすじ。オールカラーの一コマ一コマに、母の温もりや凍てつく大地、躍動する野生動物が情感たっぷりに描かれていて、胸に染みこんでくるようです。それにしても、牛糞です。スイッチひとつで部屋が温まる現代生活に暮らす民族からは、隔世の感があります。文明批判をするつもりは毛頭ありません。この本を読むと、ボンバルダイの健気さとたくましさに胸を打たれ、人類が自然の中で生かされていることに、改めて思い知らされます。108冊の完成は作者にとっては荒野を果てしなく歩くような長い道のりだと思いますが、1冊1冊を堪能したい、そんな出来栄えの作品です。
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    投稿日:2015年09月04日
  • ウサギの探偵、だから『ウサ探』(御童カズヒコ)。本書は「ヒーロークロスライン」シリーズの一作。そもそも「ヒーロークロスライン」シリーズとは、共通世界観を基に多数の作家が作品を創るプロジェクトで、ある作家が創りだしたキャラクターを別の作家の作品に登場させたりする等、ストーリーやキャラクターをクロスオーバーするという、ダイナミックな企画。今回はwebマガジンKATANAで、村枝賢一や岡崎つぐおら13人の漫画家が参加して合作を発表しています。話がそれましたが、シリアスな展開が目立つ同シリーズの中で、この『ウサ探偵』は人をくったような、とぼけた味わいと愛らしいキャラクターが読後感をほのぼのと癒してくれるのです。さすが、『ウルトラ忍法帖』の著者なのです!
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    投稿日:2015年08月21日
  • 零下40度の何もかも凍てつく寒さの中での重労働は、「寒さが ひもじさが 体力を根こそぎ奪っていった 底知れぬ絶望感が 心を捻り潰していった」――。これは、事実を基に描かれた『凍りの掌 シベリア抑留記』の一シーン。作者おざわゆきの父親の体験をコミカライズした作品なのですが、あまりにも苛酷な内容に言葉を失いそうになります。主人公の小澤は、満州で迎えた終戦後、「帰国」と偽られて極寒の劣悪な収容所に放り込まれ、絶望的な日々がはじまります。飢えと凍傷に悩まされ、次第に「死」に対して麻痺し、やがて共産主義教育のもとに仲間同士での告発と糾弾が吹き荒れます。しかも、奇跡的に帰国したものの、すぐに真の意味での「抑留からの解放」とはならなかったようです。全編を通して衝撃的な内容ですが、後世に残さなければならない事実なのです。作品発表の後日談をまとめたあとがきの「あれから」もお見逃しなく。
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    投稿日:2015年08月07日
  • 表紙の絵を見て、ピンとくる方も多いと思います。この『平安さん』は実写テレビ化でも話題となっている『食の軍師』の作画を担当する泉晴紀の作品。『食の軍師』の作者名は泉昌之となっていますが、これは原作者の久住昌之と作画の泉晴紀によるコンビ名義。タイトルに使われている主人公・平安さんのお話なのですが、この平安さんのゆくところ、名前とは裏腹に常に不穏な空気が漂い始めます。世の中の不正を許せないのが平安さんの性質らしく、気に入らないものに対しては妥協せず…のはずなのですが、最後まで貫き通すことが出来ずにいつもオチでずっこけてしまうというギャグ漫画。『食の軍師』の原型を思わせます。連載していた掲載誌が何度も変わったので、後半のテイストがアダルト寄りなのはご愛嬌。未単行本作品で、イーブックジャパンが初めて電子書籍化した作品です。(2015/7/24)
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    投稿日:2015年07月24日
  • いよいよ夏の甲子園目指して、地方予選が始まりました!! 今年は1915年に「第1回全国中等学校優勝野球大会」(現在の「全国高等学校野球選手権大会」)が開催されてから、100周年の記念すべき年。例年よりも、さらに盛り上がりそうです。『野球部に花束を ~Knockin' On YAKYUBU's Door~』(クロマツテツロウ)は、都立高校に入学したばかりの黒田鉄兵ほか1年生が野球部に入部してから、甲子園を目指す物語。とはいっても従来の高校野球漫画とはかなり毛色が違います。まず、試合よりもふだんの部活練習を中心とした生活をコミカルに描き出している点。この細かい描写がなんともリアルで面白いんです。練習中の掛け声の滑舌の悪さや、業者に発注した刺繍のネームの間違い等を笑いに転ずるといった具合。なかでも、試合で相手チームにナメられないように、ウォーミングアップのための練習をさせられる場面には笑わせられました。テレビや球場では垣間見ることが出来ない、(たぶん)普段着の球児の姿を目の当たりにできるのです。(2015/7/10)
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    投稿日:2015年07月10日
  • 認知症を扱った漫画が増えています。少子高齢化も加速化する一方なので、誰しもが他人事ではないはず。『青い鳥~わくらば~』は映画化でも話題になった『星守る犬』の作者、村上たかしが描いた家族の絆の物語。ちょっとメルヘンチックなタイトルですが、ズシンと心に響く内容です。内容は二部構成。「青い鳥」は不慮の交通事故で幼子を失い、夫も意識が戻らなくなってしまった若妻の心情を中心に展開します。辛い日々を懸命に踏み止まろうとしますが、ついに我慢していたせきが決壊しかけた時から、事態は急変します。ラストに向かって読み進むうち、魂を揺さぶられるようです。電車の中で読んでいて、不覚にも泪が溢れそうになるのを必死で我慢しました。そして、次編「わくらば」をしばらく読んで、驚きました。「青い鳥」で描かれた若夫婦の両親による、老夫婦の物語なのですが、件の事故へと絡んでいきます。これ以上触れると読書の楽しみを奪いますので避けますが、アルツハイマーで消えていく記憶と息子が事故で失ってしまった意識、その二つの魂の行き場に読み応えを感じました。漫画賞の全ての賞を総なめにしてもまったく不思議ではない、素晴らしい作品なのです。(2015/6/26)
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    投稿日:2015年06月26日
  • 「故郷は遠きにありて思うもの」…故郷を持つ人なら、一度や二度はこのフレーズを噛み締めたことがあるのではないでしょうか。たまに故郷に帰ると、その暖かい居心地に、Uターンして田舎に住もうか、なんて惑わされますからね。近藤ようこの名作『遠くにありて』は、遠くから故郷を思うのではなく、東京から故郷に帰った主人公が、東京への憧れを捨てきれずに田舎暮らしを続けるお話。中山朝生(あさみ)は東京の大学を卒業したものの、希望する職に就けなくて、故郷の私立高校の教壇に立つことになります。自分の夢への再チャレンジを期して、教師は一時的な腰掛けと思いつつ葛藤の日々を過ごすのですが、その揺れ動く心の機微が実に丁寧に描かれています。アパートの大家である老婆と同級生の男性とのふれあいとを中心に物語が進むのですが、この老婆…おばあちゃんが素敵。達観したような笑顔を絶やさずに一人暮らしを続けています。やがて三人は、落ち着く場所へと、向かいます。後半、中山が家族と一緒にアルバムを見ながら家族についてポツリとつぶやく言葉に、ぐっと胸に沁みこむように癒されました。五月病がなかなか治まらない人にも読んでほしい、心のクスリのような本です。(2015/6/12)
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    投稿日:2015年06月12日
  • 書名の勢いだけで、惹かれませんか? 企業の面接の場で『キミ!さいよー』、そう言われたら思わずガッツポーズをとりそうですね。『THE3名様』でお馴染みの石原まこちんが描くこの漫画は、コスモトイという老舗の玩具メーカーの就職面接で繰り広げられるショート集。ベテラン社員三人とイマドキの若者との間で交わされる、まるで珍問答の数々に思わずニヤけた顔になってしまいます。まず、表紙イラストの「私は卵かけご飯のような人間です!」と女子学生が迷アピールをすれば、「飲み込みが早いってことですね」と面接官が応じている調子。私が最も気に入ったのは天丼屋でのショート。たまたま、先週面接した女子学生を店内で見かけた面接官のモノローグで展開されます。面接では緊張してうつむいたまま一言もしゃべれなかった学生ですが、その時とはまるで別人を思わせる様子に面接官は魅入られます。そして、面接官が発した心のつぶやきが素敵です。ぜひ、本書をご覧ください。それにしても、面接という異質な空間と限られた時間の中では、素顔まで見抜くことはなかなか難しいことのようです。この本を読めば、キミもさいよー!されるかもね。(2015/5/29)
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    投稿日:2015年05月29日
  • 誰かに聞いた話か、本で読んだ知識なのかさっぱり忘れましたが、日本人ほどコーヒーにこだわる民俗も珍しいのだそうです。それを知った瞬間に不思議な気持ちになりました。こんなに満ち足りた気分にさせてくれる飲み物なんだもの、その道のツウが現れるのも当り前じゃないのか、と思った次第です。『コーヒーもう一杯』は著者の山川直人による、コーヒー愛が濃厚な香りのように立ち上ってくる漫画です。まず、版画のような作風とコーヒーという題材の組み合わせが絶妙な「こだわり」を感じさせてくれます。ストーリーはオムニバス形式で、コーヒーそのものがお話のテーマになることもあれば、単なる小道具で登場する場合もあって、登場キャラクターもさまざま。甘い香りの話があれば、苦みばしったものもあったりと、豊かなテイスティ。私が最も好きなのは、最終巻収録の「ナポリタン」というお話。喫茶店で交わされる恋人の会話で構成されているのですが、幼少の頃に父親を亡くした娘の思い出話に、胸がいっぱいになってしまいました。詳述は避けますが、母親への想いに対してです。ぜひ、味わい深いお話の数々に心を浸してみてください。(2015/5/15)
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    投稿日:2015年05月15日
  • 「あなたの半生で、最も思い出したくない時期」を問われたら、あなたはいつを挙げますか? 私は中学生時代です。ちょっと振り返っただけで、赤面してしまうようなシーンが脳裏にたくさん浮かんできます。『中学生日記』を読んで、結構多くの人が中学生時代を封印したがっているのではないか、と妙に安心してしまいました。この本は、久住昌之と久住卓也のユニット名であるQ.B.B.の作品。『中学生日記』の副題は「一生で一番ダサイ季節」…ページをめくる度に、爆笑させられる4コマ漫画が連なります。笑いながらも、そういえば、自分も似たようなことをしでかしていたな~と共感する話ばかりなので、どのキャラクターにも親しみが湧いてきます。最も大笑いしたのは、弁当箱に入っていたオカズの件です。読む楽しみを奪うので、ここでは詳細は省きます。読み進むうちに、もう二度と過ごしたくない時代だけど、一番愛おしい時代だったかもしれないと思わされました。濃厚フルーツジュースのように、あの季節がギュッと詰まった一冊です。(2015/5/1)
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    投稿日:2015年05月01日
  • 「あああああああ!!!!!!!!!!!」と心のなかで叫びながら頭を抱えたくなる、嫌な思い出って誰でも一つや二つあるはず。それが日常生活へのトラウマにつながっているような思い出だったら、なんとか記憶から削除してしまいたいと思うのが、まっとうな感情の動きかもしれません。実際にそれができるとしたら、あなたはどうします? 『おもいでだま』(荒井ママレ)は、人の記憶をMSC(メモリーセーブキャンディー)と呼ばれる、飴玉のような物質に取り出したい記憶を凝縮することができるサービスを施す会社が舞台。1回の施術料10万円は高いのでしょうか、安いのでしょうか。消したい思い出を抱えて、この会社を訪れる利用者の胸の内はさまざま。悲惨な失恋の過去を消したい青年や母親に捨てられた記憶からアルコール依存症になりかけているアイドルなど、切羽詰まった人々です。この漫画を読んでいて印象に強く残ったのは「記憶を売る若者たち」というサブタイトルのお話。記憶を取り出したがる中学生とその妹弟の物語です。どうしてこんな年端もいかない子供が家族の記憶を消したがるのか、その背景を読み進めるうちに思わず目頭が熱くなりました。カタルシスを喚起する内容が満載なので、きっと、あなたの名作漫画の思い出に残ることうけあいです。

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    投稿日:2015年04月17日
  • 『食の軍師』がテレビドラマ化されて話題です。作者名の泉昌之は原作の久住昌之と作画の泉晴紀のコンビ名。久住昌之といえば『孤独のグルメ』(作画:谷口ジロー)、『花のスボラ飯』(作画:水沢悦子)などの原作でもお馴染みですが、今回ご紹介する『漫画版 野武士のグルメ』は久住のグルメエッセイ『野武士のグルメ』を原作として、土山しげるがコミカライズした作品。グルメコミックの代名詞のような二人による作品なので、内容はマズかろうはずがありません。時代劇の食マンガを想起させますが、そうではありません。主人公は定年を迎えたばかりの元サラリーマン。いわば浪人なのですが、それではイメージが悪いから野武士でいこうと、定年後の心の在り方を定めるわけです。野武士ですから、平日の昼間からビール片手に焼きそばを頬張ったりするのですが、これがうまそうなのなんの。タンメンやアジの干物定食など、日常的に口にしそうなメニューばかりが描かれているのですが、主人公の表情と食に対しての思案のモノローグに惹き込まれてしまいます。しかも、野武士らしくゆったりとした余裕のある中で味わうのがうらやましい。定年後の、こんなライフスタイルって素敵だ、と妙な夢と希望が湧いてくるのでした。(2015/4/3)
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    投稿日:2015年04月03日
  • 最近、復活をかけたプロ野球選手のドキュメントをテレビで観ることが多いような気がします。年齢やケガ、不振などが理由で自由契約になったプロ野球選手がトライアウトにチャレンジするという内容ですね。この種の番組は、見始めると最後まで見届けないと気になって仕方がありません。『エール!』は『Dr.コトー診療所』でお馴染みの山田貴敏が描いた、プロ野球選手を目指す男の物語です。実業団チームに所属する長島が主人公なのですが、所属チームの解散によって彼はプロ野球にチャレンジすることを決意します。年齢は35歳とあって、野球選手なら引退を考えそうな歳ですが、長島は「最後に一度だけ、一度だけでいいから」と妻に頭を下げます…。この漫画が面白いのは、復活をかける長島を影で支える妻と子供を始めとした周囲の人間の応援と、それに応えるかたちで必死にもがきあがく長島の姿です。長島はオールド・ルーキーになることができるのでしょうか。思わず最後までイッキ読みしてしまいます。(2015/3/18)
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    投稿日:2015年03月20日
  • 家庭に自分の居場所がなくて、サウナに寝泊まりしているという中年男性の話を聞いたことがあります。威厳漂う昔の父親像もどこへやら、今では自分の居心地すら気にするお父さんが少なくないのかもしれません。ある事故によって、一緒に過ごしていた家族の記憶を失ってしまった男の物語、それが『アイ’ム ホーム』(石坂啓)です。もっと正確に紹介すると、主人公の家路久は再婚してからの5年間の記憶を失ってはいるものの、再婚前の家族との記憶は残っています。これがドラマを生むわけです。たくさんの鍵を束で持っている山路は、一つひとつの鍵がなんの鍵だったかはっきりと覚えていません。記憶の断片を辿って前妻と娘が住む家の鍵を開けたり、昔付き合っていた女性の部屋に上がり込んでしまったりします。そんな中で、最大の悩みはやはり今の家族の記憶がないことで、日を追うごとにかつての家庭に心が傾き始めるようです。文字通り鍵をキーとしながら、ミステリー仕立てで物語は進みます。結末は予想を裏切られましたが、じんわりとした余韻を楽しむことができました。山路が最後に手にしたのは何の扉を開く鍵だったのか、ぜひご覧ください。(2015/3/6)
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    投稿日:2015年03月06日
  • ラーメンが美味しい季節です。冷えた体にはハフハフのラーメンが一番。『ダンナが今日からラーメン屋~立志編』は、『うちの姉様』『パティシエール!』を代表作に持つ野広実由の実録マンガです。ダンナのひろしが漫画家の「アシスタントはもうやめる 別の仕事に就く!!」と宣言して、大好きなラーメンの仕事に関わるところからお話が始まります。この漫画でも触れていますが、通常はダンナさんがこんな言葉を発したら、奥さんは「何考えてんのっ」と即座に言葉を返すと思います。野広は違います。別の一言でひろしを叱咤激励しますが、妻として精一杯手助けしようと構えます。暖かい夫婦関係なわけです。そして、ひろしは超有名ラーメン店で修業をはじめます。店名は全て実名掲載なので、登場するお店の側面も垣間見られます。ひろしの歩むラーメン道やいかに!! ああっ、らぁめん食べたい、うまいの食べたい?
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    投稿日:2015年02月20日
  • “子どもは3歳までの可愛さで、親には恩返しを終わっている”といった言葉をどこかで聞いたことがあります。『まんが親』は漫画家夫婦である吉田戦車と伊藤理佐の間に生まれた愛娘の育児エッセイコミックです。吉田戦車といえば代表作『伝染るんです。』『戦え!軍人くん』といった“不条理ギャグ”の漫画家として一世を風靡しましたが、この『まんが親』はちょっとテイストが違います。子どもの成長に対しての温かい眼差しとあふれるユーモアが交じり合って、陽だまりの中にいるようなポカポカした気分にさせてくれます。そしてなによりも、子育ての共感を味わえるのが醍醐味かもしれません。親の額をペチペチ叩いたり、抱っこしている最中に胸に頭突きしたり、「ら行」を発音できくて「ウルトラマン」を「うったーまん」と言ったりするエピソードが、著者のあのユーモラスな画で描かれているのです。思わず心のなかで「あるある」を連発させられます。子育ての経験がない人には、自分もこんな風に親から愛情を注がれたんだ、という読み方もできます。冒頭の言葉ですが、実際の親にしてみれば“3歳までの可愛さ”どころか、“何歳までも可愛い”のではないのでしょうか、と言ったら親ばかでしょうかね。(2015/2/6)
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    投稿日:2015年02月06日
  • 今年は戦後70年という、節目の年。『フイチン再見!』は戦争の影がちらつき始めた満州で育った漫画家・上田としこの物語。作者の村上もとかが、子供の頃に上田の代表作『フイチンさん』を読んで、おっちょこちょいだけど正義感が強い主人公と、ユーモラスで爽快なストーリーに魅了された過去が執筆の背景にあります。上田が漫画家を目指すという軸をメインに、幼少の頃や漫画家として活躍する時代がオーバーラップしながら描かれています。異国情緒あふれる戦前のハルピンと東京を舞台に、生き生きとした上田のキャラクターぶりがとても魅力的です。自分に漫画家としての素質があるのか、上田は不安気ながらも道を突き進みます。女流漫画家がまだ珍しく、長谷川町子がきらびやかに登場した頃のお話。働く女性の社会的地位も確立していなくて、戦争の緊迫した時局にありながら、漫画家を目指すのですから並大抵のことではありません。やがて、若い男は戦争に駆り出されて、世相の暗さが際立ちはじめます。上田は勤め先の会社で自分が描いたポスターを、社員達がニコニコしながら眺めているのを見て、悟ります。自分の目指すのは「励まし漫画」なのだ、と。このモチベーションが『フイチンさん』執筆につながっていくようです。今後の成り行きに目が離せません。蛇足ですが、本作を読んで『フイチンさん』を読みたくなる読者も少なくないようです。電子書籍化を待つばかりです。(2015/1/23)
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    投稿日:2015年01月23日
  • 今回おすすめするこの本のタイトル、どこかで見覚えがありますね……。『55歳の地図』はベテラン漫画家の黒咲一人が思うところあって、四国の遍路旅へ出たルポ漫画…こう書いてしまうと簡単なのですが、第1話のサブタイトルに「リストラ漫画家・西へ」とあるように、漫画家としての仕事がなくなってしまったことから旅支度は始まります。家財道具一切を売り払い、原稿を廃棄処分(!!)して身軽になった黒咲は「こんな私でも 生きて行ける道…その道を探す為に 私は放浪の旅に出る!!」のでした。中古三輪自転車に寝袋や衣類一式を括りつけて、高野山まで一日300円で周るのです。はっきり言って、ちょっと重たい内容です。でも、この漫画を読んでいると、自分の気持ちに素直に生きようとする黒咲の行動が清々しくも感じられるのです。「例え途中で野に朽ちても本望である」と勢い込んでみたものの、あまりにも辛くて船賃があるうちに東京へ戻ろうかなどと、すぐに心が折れかかったりします。人間くさいではありませんか。そんな黒咲が最後に導き出した答えとはなんだったのでしょうか。続編の『55歳の地図Again』は、再び四国へ旅立った黒咲が旅の最中にノートに綴ったネーム集ですので、あわせてお楽しみください。(2015/1/9)
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    投稿日:2015年01月09日
  • 「好きこそものの上手なれ」という諺がありますが、『マラソン中毒者 北極、南極、砂漠マラソン世界一のビジネスマン』を読むと、人は何かに夢中になってしまうと、ここまで道を極めるものなのか!!と感嘆させられてしまいます。ベンチャー企業への投資家・小野裕史はふとしたことからランニングを始め、「気づけば3年ほどの間に数えきれないくらいのフルマラソンや100kmマラソンを完走」するほどになっていました。学生時代の体育の成績は上中下で最下位ランクであったにも関わらず、です。そんな著者が居酒屋で仲間とノリの勢いで決めたのが、アタカマ砂漠の250kmマラソンで「チーム戦世界一」を目指すことです。この本を読んでいて面白いのは、この種の内容の本にありがちな悲壮感を軸足に置いたスタンスではなく、カラリとしていて爽快であることです。北極や南極でみんなに喜んでもらおうとニンジャのコスプレに身をまとうような著者です。極限状況ですら明るくポジティブに挑もうとする気分が存分に伝わってきて読者の気持ちを高揚させてくれます。また、走破何十kmや零下何十度といった数値が頻繁に出てきますが、あくまでも記録上の数字であって、自慢めいた話に導かれるわけでもありません。エビローグに素敵な言葉がありました。「小さなきっかけでも『ココロの羅針盤』の針が動いたら、まずは動いてみる。『できるかどうか』ではなく『まずは、やってみる』」。この本を読めば、今年一年、さらに明るく歩を進めることが出来そうです。(2015/1/9)
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    投稿日:2015年01月09日
  • もうすぐ、新しい年がやってきます。新春の風物詩を問われたら、「箱根駅伝」と答える人は多いと思いますが、毎年繰り広げられる数々のドラマチックなシーンには胸を熱くさせられますね。そこで、この年末年始の長い休みにおすすめなのが、長編漫画『奈緒子』(原作:坂田信弘 作画:中原裕)です。坂田信弘はゴルフ漫画の金字塔 『風の大地』(作画:かざま鋭二)でも知られる原作者ですね。『奈緒子』は壱岐雄介という少年の小学生から高校生に至るまでの、天才ランナーぶりを描いた作品です。奈緒子という少女は主人公ではないのですが、事故で雄介の父親の死に関わったことから、必要以上に責任を感じながら雄介を見守ります。ストーリーは雄介の中学駅伝、高校駅伝、そして全国都道府県別駅伝での激走を主とするのですが、マラソンではなく駅伝であることがこの漫画の醍醐味。つまり、駅伝はみんなのタスキが繋がらなければならず、とてつもない天才ランナーが一人いたからといって、勝てるわけではありません。最も読み応えを感じたのは、高校駅伝の場面です。雄介一人に責任を追わせるわけにいかないと、発奮した上級生の先輩ランナーを含めた全員の死に物狂いの練習の日々が積み重ねられ、レースに挑みます。一人ひとりがタスキへの思いを込めて駆け抜けるシーンは圧巻で、時間を忘れて一気読みしてしまうほどです。続編にあたる 『奈緒子 新たなる疾風』では、後半に雄介が「東京国際マラソン」を疾走しますので、ぜひ、どんなゴールを迎えるのか、こちらも読破してみてください。(2014/12/26)
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    投稿日:2014年12月26日
  • 本を読む楽しみの一つに、自分以外の人生に身を置き換えられることがあります。なかなか体験できないことも活字や漫画の世界に身を投じれば、いろんな疑似体験が味わえます。小沢カオルの『あやしい取材に逝ってきました。』は究極の体験ルポ漫画かもしれません。
    「行って」ではなく「逝って」と表記するあたりに、すでに体験現場から瀕死の状態でのカムバックがひしひしと伝わってきます。冒頭こそメイドカフェやメイドバーといったオトナし系な現場ですが、次の「大盛りB級グルメ」から様相が一変、徐々にエスカレート気味にハード系に向かっていきます。この作品が面白いのは、現場写真も散りばめられているところ。超ド級の肉丼やなんでもトッピングされたパスタは、実際の写真を見せられたほうが、やはりリアルですね。「新鮮バッタ・蛾・カマキリ・スーパーワーム・セミ・ハウスクリケットのピザ」や蛇が食事する場面といった、トラウマ級の写真まで登場しますので油断は禁物です。極めつけは2回に渡る樹海探索なのですが、ついに本当に「逝って」しまった人とご対面してしまいます。あぁ、この現場は漫画で十分です。読み始めたら夢中で最後までページをめくり、心もぐったりいってしまいました。(2014/12/12)
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    投稿日:2014年12月12日
  • 寒い時期は、偉い人の出番です。「冬将軍」に「鍋奉行」。冬将軍の到来は寒くて冷たいだけですが、鍋奉行のお裁きは暖かくて美味しいですね。位でいったら、奉行より将軍の方が偉いですが、軍師だったらかなり将軍に近い存在でしょうか。『食の軍師』は泉昌之によるグルメ漫画。泉昌之は作画を担当する泉晴紀と原作の久住昌之によるコンビ名。久住昌之といえば、話題作『孤独のグルメ』(作画:谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画:水沢悦子)の原作でも知られていますね。食にこだわりのある人のようです。で、『食の軍師』は『孤独のグルメ』のように町のいろんな飲食店を訪れ、旨い品々を主人公の本郷があれこれと思い巡らしながら堪能します。『孤独のグルメ』が主人公のモノローグに終始するのに対して、『食の軍師』には力石というライバルが登場します。ライバルといっても軍師である本郷が勝手にそう思い込んでいるだけ。力石の挙動や注文の仕方などを観察して、本郷があれこれと自らの形勢の優劣を感じ入って、三国志の名場面になぞらえるのです。もつ焼き屋に入って「カシラの弾力」と「ネギ間のバランス」「タンの肉汁」に舌鼓を打ち、「これすなわち『桃源の誓いの陣』!!」といった風に悦に入るのです。元気が出るグルメ漫画とでも言うのでしょうか。旨そうなシーンが続出なので、空腹に読むと堪えます。食への飽くなきこだわりが伝わってくるのですが…あっ、「食」って三国志の「蜀」もかけていたのか!! タイトルからして味わい深いですね。(2014/11/28)
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    投稿日:2014年11月28日
  • ギャグ漫画は時代を超えない、と言われることがありますが、そうなのでしょうか。『コージ苑』は相原コージの代表作とも言われる、一時代を築いたギャグ漫画。最近やっと電子化されました。往年の漫画ファンには懐かしい作品です。書名はペンネームと『広辞苑』のWミーニング。中身も辞書を模して五十音順にお題を並べ、コージ流にギャグ漫画で解きます。あらためて読んでみると、まるでタイムスリップしたかのように80年代後半の時代の空気が立ち込めてくるようです。電子メールはおろか、携帯電話もDVDも普及する前の世の中が背景です。「ウラ本」や「テレクラ」「レコード」なんかがネタとして登場します。読んでいて気がついたのは、人の根源的な欲求はいつの時代も同じということですね。この漫画では、本能むき出しに前のめりになっている人が笑いの対象とされたりするのですが、ああっ、こういう人いるいると妙に納得してしまいました。(2014/11/14)
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    投稿日:2014年11月14日
  • 主人公の右手に宿った寄生生物「ミギー」でお馴染みの『寄生獣』が実写映画化され、話題となっています。『寄生獣』が実写化…すごいです!! 『新装版 骨の音』は『寄生獣』の作者である岩明均の初期短篇集。ちばてつや賞に入選し、デビュー作となった『ゴミの海』はじめ表題作の『骨の音』等全6作が収録されています。いずれもの作が、どうということのない日常を舞台にしているのですが、そこに潜んでいた異形が顕在化することで、ぐいぐいと物語の世界に引き込まれていきます。『寄生獣』を読んでいる時の感覚に近いです。とりわけ不思議なインパクトを受けたのが『和田山』。高校時代の同窓会が開かれるのですが、ひとり和田山だけは呼ばれませんでした。それは高校時代にやらかし続けた和田山の奇行をみんなが敬遠したからです。その奇行がなんであるかはここでは書きません。やがて会に参加していたメンバーは和田山の仕業としか思えない被害に遭ってゆくのです。ひとり、またひとりと…。残虐や痛みを伴うものではなく、むしろ子どものいたずらのような奇行なのですが、度が過ぎるとスリリングで恐いです。巻末には伝説の漫画家・上村一夫のアシスタント時代を描いたおまけ漫画も載っていて、ちょっと得した気分です。(2014/10/31)
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    投稿日:2014年10月31日