希
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【希】さんのレビュー一覧

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  • 「週刊モーニング」(講談社)で連載している『へうげもの』が佳境を迎えつつある。作者の山田芳裕の名前がブレイクしたのは『デカスロン』だと思うが、本作は『へうげもの』前夜ともいえる作品。本作があったからこそ、『へうげもの』は生まれたのではないか、そんな気すらする。『へうげもの』は「生か死か、武か数奇か、それが問題だ」の言葉通り、出世欲と物欲の間で揺れる古田織部を主人公に、古織周辺の人物を古織以上に精緻に描き出していく。一方、本作は自分よりも強い男に抱かれる(嫁になる)夢を持つ天下無双の女剣士・おみつを主人公に、おみつ暗殺を命じられた定吉や、白と黒がはっきり分かれた町・大竹町と灰色(うまずい→腐りかけが一番美味しいという表現をとっている)の町・梅ヶ原の2つの町に住む人物を描いていく。殺陣やアクションシーンには、時に『へうげもの』以上と思えるほど自由で豪快なコマ割りやアングルが登場するが、本作の定吉は、まさに古織のプロトタイプのようなキャラクター。作者はこの雰囲気を持つ人物を主人公に据えて『へうげもの』を構想したのではないかとさえ思える。『へうでもの』は長編でなかなか一気に読むのは難しいかもしれないが、本作は全1巻と読みやすく、単純な線だけど、よくみると精緻で上手い、山田描線がほとばしった画面は『へうげもの』へとつながる作品としてぜひ楽しんでほしい。
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    投稿日:2017年02月17日
  • いまさら感があるかもしないが、個人的に驚いたのが、全7巻の物語の前に、同じテーマ、同じキャラクター設定で描かれた2作品があることを知ったこと。本書(ファンブック)にその2作が収録されていますが、全7巻の連載版を読んだときの「このクオリティ、内容で週刊連載?」と感じたことへの答えがあるような気がした。作者はロングインタビューで「『いじめ』や『聴覚障害』を主題にしたつもりはなく『人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ』を描こうとしたという。コミュニケーションそのものを描くことが主で、それを構成する要素として硝子の耳が聞こえないことや、コミュニケーションがとれないことから、結果としていじめにつながったと。描いていて辛くなかったのだろうか、と個人的に感じていたが、この作品を描くことで、作者が過去の自分を許し、贖罪を行っていたのかもしれない。そう考えると、劇中、将也が「……ああ……だめだ………まだ………足りてない」と繰り返す場面が別な意味を持ってくるように思う。演出面でも印象的に挿入される鯉や、同ポジションを意図したカット割り、繰り返される台詞など、練り込まれた作品を読む心地よさをぜひ一度感じてほしい。
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    投稿日:2017年02月10日
  • 女性との体験マンガの第一人者が、いつものマンガではなく活字で、自身の思考を紡ぎ出した逸品。体験マンガとはいえ、読者はあくまで“マンガ”として読むので、正直あまり考えずにコマを追っていることが多い。けれども、描き手は実際に女性との行為の間や、そこに至るまでの過程をすべて頭のなかに止めているわけで……行為の最中にメモを取っているわけではないことを考えると、もはや尋常ではない。本書は、そんな著者の思考過程を活字化したもの。心の存在、死への恐怖、拡張精神などについて独自の解釈と理論でアプローチしていく姿は、マンガのイメージとは異なる人物像を抱くかもしれない。
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    投稿日:2016年12月30日
  • 著者の個人ブログ「オンナは女神さま」で連載していた小説を1冊にまとめたのが本書。リアルとバーチャルの融合をテーマに、体験マンガのようなアプローチで、著者自身が成田アキラとして劇中に登場する。成田アキラのバーチャル世界での人物がアバ・アキラで、アバ・アキラこそが本編のもう一人の主人公。「シンクロニシティ」が本書のモチーフの一つとなっており、リアルとバーチャルの境界をつなぐ手段として作中で有効に機能している。体験マンガのような精緻な情景描写はないものの、スピーディな物語展開と、直接的な表現が読み手に映画を見ているような感覚を抱かせる。独自の世界観を持った成田アキラらしい娯楽小説が産声を上げた。
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    投稿日:2016年12月30日
  • 吉川英治の原作をベースに、忍剣(青眼入道)、咲耶子、木隠龍太郎など個性豊かなキャラクターが主人公・伊那丸の下に集い、武田家再興を目指す王道作品。本作の魅力の一つは伊那丸のキャラクター像だが、男性ながら妙に艶っぽく描かれていて、このキャラクターが次第に、男として成長してく様を追いかけるのも面白い。左右ページにまたがるコマや見開きページを駆使した構成が、戦闘シーンの迫力や臨場感を際立たせるのに効果を上げている。物語終盤に意外な仕掛けが施されているので、ぜひそこを楽しんでほしい。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 原作である『神曲』の挿絵・ドレのタッチを再現したかのような重厚な描線は、『デビルマン』や『マジンガーZ』とは異なる著者の新たな側面をみるかのよう。『神曲』そのものの知名度はかなりのものだが、その内容まで把握している人は少数ではないだろうか? 本作は作者自身の『神曲』への独自解釈が入っているとはいえ、物語展開そのものは『神曲』を踏襲しており、ダンテの懊悩や地獄巡りの心情が細かに描き込まれている。あえていつものタッチやギャグテイストを排して、原作の世界観を重視して描いているところにも著者の“『神曲』愛”を感じる。はっきりいって面白い!!
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    投稿日:2016年12月16日
  • 漫画史に燦然と輝く傑作。本作の連載中、同時並行で連載していた他の作品を次々に中止して『デビルマン』に集中しなければ描けない状態になっていたという。それまでのストーリー・ギャグとは異なり、ハードな物語と容赦のない描写が読者に衝撃を与えた。描いていた本人も「あれ? こんなセリフ本当に自分で書いたかな?」と思うこともしばしばあったようで、いかに作品にのめり込んで描かれていたかが窺える。ある意味、トランスした状態で描かれていたといっても過言ではない。個人的には終盤のハルマゲドンの描写が印象的で、いっさいのセリフを排して、ビジュアルイメージのみで、そこに描かれている物語を感じさせる表現には、漫画家としてではなく、表現者としての卓抜したセンスを感じる。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 漫画家デビュー1年目の作品にして、連載当時、PTAから総攻撃を受け、日本中が大騒ぎした作品。その攻撃を作中でメタフィクション的に描いた「ハレンチ戦争」は、ギャグをまぶしながらも、ただのギャグとして見られない、読み手に訴えかけるエピソードとなっている。1話完結型のそれまでのギャグマンガにストーリーの要素を入れ、物語性のあるギャグマンガとして独自の作風を確立したのも本作から。描いていた当時は、アシスタントと夜中にゲラゲラ笑いながら描いていたという。ギャグセンスもさることながら、それぞれのキャラクターのコスチュームやインパクトのある台詞回しなど、独自性の際立った作品になっている。
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    投稿日:2016年12月16日
  • デビューから約10年の間に描かれた短編作品集。ギャグ、コメディ、SF・ホラー、パロディ、ナンセンスギャグなど、多彩なジャンルを描き分けている。廃人二十面チョやイボ痔小五郎、オデンマスク、ヤキトリ魔人など強烈な個性を持ったキャラクターも多く、後に連載マンガに登場するキャラクターを探すのも面白い。少年誌で描くには残酷過ぎると、ギャグの天才・赤塚不二夫を怒らせた『じん太郎三度笠』も、描いている本人からすれば、面白くしようという一点で描かれている。石ノ森章太郎のもとでチーフアシスタントをしていた時代に描かれたデビュー作『目明かしポリ吉』は、絵柄や物語のテンポに著者の原点を見ることができる。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 紙の単行本では1~2巻しか発売されていない作品の第3巻、第4巻を原稿から電子化!! 掲載誌が「週刊明星」だったためか、痛烈なギャグというよりは、キャラクターの内面により沿うようなギャグが多く、主人公・浜栗どす枝も、悩みながら成長していく側面を持っている。強気な女の子が主人公やヒロインを務めるケースが多い著者の作品のなかにあって、本作の主人公は周囲への気遣いを見せる部分があり、それがオリジナリティとなっている。どす枝が周囲を気遣うのに対して、どす枝に対する周囲の対応は冷たい、このギャップを時に大きくしたり、逆転させることで笑いに昇華しようと試みている。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 実際に起きた凶悪犯罪をモデルに構想されたエピソードや写実的なタッチが読む者の心に迫る。ことに被害者の悲痛な表情や、鴨ノ目によって制裁を加えられる犯罪者の苦痛に歪む表情のみがコマに描かれ、擬音や台詞を排した表現は、その一瞬のみを捉えて時間のコントロールができるマンガならではの表現といえるだろう。容赦のない表現で描かれていながら、本作に静謐なイメージを抱くのは、そのためかもしれない。
    • 参考になった 3
    投稿日:2016年12月16日
  • 『善悪の屑』で明確に描かれなかった、鴨ノ目武の過去から始まる本作。復讐劇の閑話休題的な要素であったカモ、トラ、ナナの奇妙な共同生活がベースになることで、「復讐屋」内の人間関係にも焦点が当てられる。“人を呪わば穴二つ”の言葉通り「復讐屋」に対峙する組織が登場するのも本作の魅力。新章として始まった物語は、新たなキャラクターを交えながら前作と同じ世界観で、静かに進行していく。
    • 参考になった 4
    投稿日:2016年12月16日
  • 数々の魅力を持つ本作のなかでも容赦がないと感じるのは、キャラクターの表情。もともと作り話だし、自分には関係がないと思っていも、苦痛に歪む表情や残酷な行為を嬉々としながら行うキャラクターの表情を見ていると“人間ここまでやれるのか?”という感覚になり、思わず目を覆いたくなる場面にも見入ってしまう。「どうして?」「なぜ?」といった読み手の持つ疑問が次々に投げかけられるのも本作の魅力の一つだ。
    • 参考になった 1
    投稿日:2016年12月16日
  • 「回収屋」として絶対的なヒエラルキーの頂点に立ち、長らく謎の存在として描かれていたシマウマ。謎多きシマウマの若き日々を因縁深き高城を交えながら描かれたのが本作。『シマウマ』のテーマの一つに「人を信用する、信じること」がある。感情を押し殺し、仕事に徹する本編のシマウマが、いかにして形成されたのか? 本作はその答えに向かって紡がれていく。
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    投稿日:2016年12月16日
  • 「これからどうなるんだろう?」という思いは、物語を読む側が抱く根源的な思い。そんな読者の思いや予測を裏切るような仕掛けが施された物語は読んでいて面白い。作り手は読み手の予測や期待を良い意味で裏切りながら、読み手が想像もしていなかった結末へと導く。本作はそんな作り手と読み手の思いが、確かな画力で描き出された良作だ。
    • 参考になった 2
    投稿日:2016年12月16日
  • 金を借りる側と貸す側、世知辛い現代を反映してか、マンガでも数多くのドラマが紡がれている。本作が他の金融ドラマと一線を画しているのは、金を借りた側への容赦のない追い込みが、借りた側の救いにつながっている点。もちろん、劇中で追い込みをかけられた側には、憎しみの感情が残ったままだが、ドラマを俯瞰している読者の目線からは、主人公のコミカルな一面を見ているだけに、ただ金を借りた側への追い込みをかけるドラマでは終わらない物語になっている。
    • 参考になった 0
    投稿日:2016年12月16日
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