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1~25件/2245件 を表示

  • 今一番きてる!いちゃ甘愛されTL☆
    地味めのOL千代子(通称チョコちゃん)が主人公なこちらの作品。TLで地味めの女の子…って言っても実際中身を読んでみるとかわいかったりなぜかモテてたりすることが多いですが、チョコちゃんはそんなこともなく本当に地味です(笑) でもチョコちゃんは地味なことを変に気にしてなくて、すれてないし性格もいい! 小さい頃からそんなチョコちゃんの人柄(とおみそ汁)に心を掴まれていたむつみくん。天使のように浮世離れしたイケメンで女性にも困らないのに、チョコちゃんのこととなると色々と抑えがきかず暴走しちゃって…!? むつみくんにいっぱい愛されてトロトロに気持ちよくなっちゃうチョコちゃんが最高にかわいい、キュンキュン間違いなしの1冊です。
    • 参考になった 7
    投稿日:2018年08月03日
  • 綾瀬はるか主演で2018年夏にドラマ化された「ぎぼむす」こと『義母と娘のブルース』。父親の再婚で「義母」になった、超やり手のキャリアウーマン・亜希と、小学生の娘・みゆきの笑えて泣ける4コママンガです。4コマというとただただ平和な日常が続く…そんなイメージを抱きがちですが、「ぎぼむす」は違います! みゆきとの初対面のときに名刺(ふりがなつき)を渡したり、ビジネス経験を活かしてPTAの会議で敵対勢力のボスを倒したり。ひとつひとつのエピソードには4コマらしくオチがついていて笑いどころも盛りだくさんなのですが、通して読むと亜希とみゆきの関係の変化や2人の成長を感じられて、時には涙も…。4コマだからと敬遠していましたが、読んでよかった1冊です。
    • 参考になった 2
    投稿日:2018年08月03日
  • アダルト界に激震!遂にアダルトコミックのアニメ化決定!
    まだ「女子落ち」が世に出る前に出版社の方から作品を紹介されたのですが、とにかく内容がとんでもない事になっていて驚きを超えていった記憶があります。
    何に驚いたかというと、女の子が上の階から落ちてくるんです。そして、オ〇ニーしている息子にすぽっと入るんです。もし箇所がずれていたら骨折(?)ものですよ。それが奇跡で入るんです。入るんですよ!?スケベの神様ありがとう!
     ですが、これだけだと単なるコメディで終わってしまう所ですが、本作が人気の理由は女の子達がとにかくかわいいんです。そして、みんなHなんですよね。これはたまりません。
    その後、見事にヒットし、VR化、そしてなんとアニメが2018年7月からスタートしております。この作品には本当に驚きっぱなしです。
    みなさまも是非、美女が落ちてくる世界をご堪能ください。
    • 参考になった 0
    投稿日:2018年07月20日
  • 人間社会のルールやモラルから隔絶された性と欲望のテーマパーク「水龍敬ランド」!テーマパーク内はすべてエロいアトラクションやイベントが満載。男性は更衣室の出口で半裸の女性スタッフに強制的に勃たされてゴムを付けられ、その状態でパーク内を周るんです。女性はアソコを徹底的に洗浄され気持ちよくなった状態でパークに入ります。

    そんなテーマパーク内はアトラクションだけでなくただの通路でも常にエロい行為が繰り広げられています。「観覧車」では初対面の男女が出会い30分間エロエロなことをして過ごせるし、イベントステージでは出演するアイドルも観客もみんな半裸でHなことを大観衆の前でヤりまくってるんです。さらには、女の子が裸で相撲を取る「もろだし相撲」というイベントが開催されていたり…

    とにかく一般社会のルールやモラルからは完全に隔絶された本能のおもむくままの「エロ」を楽しめる凄まじい作品だと思います。これはオススメしないわけにはいきません!

    • 参考になった 4
    投稿日:2018年07月11日
  • ノンケのクールな後輩×健気でえっちなゲイ先輩のピュアでエッチな(!?)ラブストーリー! 1でお付き合いを始めた2人ですが、2で描かれているテーマは“嫉妬”“独占欲”という好きだからこそ生まれてしまう感情でした。もともとノンケだった木下くんは、これまで付き合ってきた女の子にはそういった感情を抱いたことはなかったのですが、檀野先輩に対しては「過去も未来も現在も すべてを独占したい」と思ってしまうほどぞっこんなのです(´///`)一方、檀野先輩も木下くんに独占欲を感じるけれどうまく表現できなくて…!? 交際中の2人に少し暗雲がたちこめるのかと思いきや、読んでみれば終始ラブラブなので、ただひたすらにこのカップルを愛でられる内容となっております(合掌)。
    • 参考になった 18
    投稿日:2018年04月13日
  • 表題作は前後編の2話完結。高校生の智春(ちはる)は男に興奮する性質であることを周りに隠しているんですが、実は“トモ”という名前でアダルト動画を配信することで欲望を発散していました。ところがある日、クラスメイトの佐久間にトモであることを知られてしまい…という内容。エッチシーンはしっかりとエロいんですが、普段はクラスからも浮いているような佐久間がストレートに智春に告白してきたり、実は前から智春のことを見ていたことが分かったり、しっかりと2人の恋模様の部分も描かれていてよかったです(*´ω`*)同時収録の「夢見る少女じゃいられない」は、好きな人にかわいいと言われたくて女性ものの下着をこっそり身に着けている、こちらも人に言えない秘密をかかえた男の子のお話。どちらもおススメです!
    • 参考になった 1
    投稿日:2018年04月13日
  • 高校でいつも一緒にいる白坂(シロ)くんと黒田くん。親友の2人だけど、シロくんは一目見たときから黒田くんのことが好きで…という青春ラブストーリー。
    タイトルの通り、思春期男子ならではの葛藤や悶々とした気持ちを抱えたキャラクターに読んでるこちらも心がざわざわして甘酸っぱい気持ちになりました(*ノωノ)黒田くんの身長を越えるまで告白はしたくないというシロくんがいかにも「男の子だな~」という感じで微笑ましい(*´ω`*)
    このシロくん、あまりにも男らしくあろうとしているものだから、「え?攻めなの?受けでしょ…? …ほらやっぱり受けじゃ~~ん!」と別の意味でざわざわしてしまいました(笑) 黒田くんはいわゆるクールで女子にもモテるタイプの子なのですが、実は執着がすごくてそんな自分に自分で驚いたりして…大人っぽいけどまだ若い男の子、という感じが◎ さわやかでキュンとできる甘いお話が読みたいという方におススメです!!
    • 参考になった 0
    投稿日:2018年04月06日
  • 人間ではない「何か」で、それゆえ不死の主人公と、彼に密接に関わり、結果として死んでゆく周りの人々。不死の命とそれに相反する死。そして「生きる」ということ――。個人的にはテーマに手塚治虫の『火の鳥』を感じずにはいられません。登場人物について、一人ひとりをとても深く描いているため感情移入の度合いがすごいです。4巻に出てくる仮面の少年・グーグーと、彼に助けられたお嬢様・リーンのエピソードは大号泣でした。とにかくこの作品が週刊で、しかも少年マンガ誌で連載されていることに多大なる感謝をしたいです……!日本のマンガ文化芳醇すぎる!キャラクター、ストーリーテリング、そして絵。すべてが超一級品で、完結時には歴代大作家の名作群に比肩する作品になってるのでは…?と期待せずにはいられません。
    • 参考になった 7
    投稿日:2018年04月06日
  • 第1話を読み終わってめっちゃ高まりました。すごい。物語が始まってすぐに提示される主人公の少女の「到達点」。そう、この話のゴールはもう決まっているのです。しかし読み進めてすぐに「この少女がどうやってその場所へたどり着くのか」という疑問を持つことになるでしょう。それくらい彼女の現在地とゴールには差があります。なるほどその道のりにワクワクする話なんだな、と思ってたところに現れたのは、少女と同じく、困難な夢を持つ少年。二人が戦友的な関係になるのか、それとも恋愛関係になるのかはまだわかりませんが、実に運命的なボーイミーツガール。そして1話ラストで改めて明示されたのは、冒頭で出てきた少女の到達点について。しかし冒頭と少し違う点がありました。少女の到達点にさらに「少年の到達点」が付け加えられるのです。つまりこの物語は、「ひとり」の少女の物語ではなく、少年少女「ふたりの」成長物語なのだと!それまで主役は一人だと思ってたのにW主役だったのか!というこの感じ! アニメ等でオープニングなしでいきなり本編が始まって、しばらくしてからドン!とオープニングが来るような感じというか。物語の図式がイッキに明らかになるこの流れは、第1話としてカンペキじゃないかと思いました。テーマも「服飾業界」とこれまでほとんど?少年マンガで描かれていない世界なので、どんな風に展開していくのか楽しみにしています。
    • 参考になった 4
    投稿日:2018年04月06日
  • クラス一番のモテ男子・戸田くんは容姿端麗&運動神経抜群、かつクール! しかしアタマの中は同じクラスの地味女子・中野さんの妄想(たいていエロいやつ)でいっぱい! そしてその想い人たる中野さんは、実は「人の心が読める能力」を持っており、戸田くんの妄想は筒抜けなのである! 戸田くんのしょーもない妄想と、それを見ないフリして相手する中野さんのラブコメディ。とにかく戸田くんの心の声と、実際の態度のギャップがたまらない! 表面上は無愛想なのに心の中はやたら「うひょおおおおお中野さあああん!」とか言ってるんですもん。男子だったら「あーわかるわー……」ってなるんじゃないでしょうか。女性のみなさん!男子なんて大抵こんなモンですよ! この作品で秀逸だと思ったのは表現方法。中野さんが読んだ「心のなか」の映像や声はカラーで、それ以外はモノクロで、というのは斬新だと思いました。4コママンガなのですが、ストーリーもきちんとしており恋愛マンガとして読み応えのある作品です!
    • 参考になった 4
    投稿日:2018年04月06日
  • 前作『プラネテス』も宇宙を舞台にしたスケールの大きな(しかし個人的な)愛の話でしたが、続く本作もまあスケールが大きい。そして圧倒的に話し運びがうまい! ページを捲る手が止まりません! 父親に憧れる主人公・トルフィン。しかしその父はヴァイキングに殺され、トルフィンはいつかその仇を取ることを誓い、父を殺した男の部下となる……。もうこの導入だけでワクワクしませんか。バックボーンがきちんと描かれたキャラクターたちはどれも魅力的で、実際にいたのでは?と思わせるリアリティがあります。アメリカの連続ドラマで実写化とかしてくれないだろうか……ハマりそうな気がするんですが。
    • 参考になった 1
    投稿日:2018年04月06日
  • 数年前、世界を震撼させたエボラ出血熱。「パンデミック(世界流行)」「アウトブレイク(爆発的感染)」といった言葉とともに、強く印象に残っている方も多いのではないでしょうか。近年、日本ではそうした疫病の大流行はありませんが、もしそういうことが起きたらどうなるのか?本作では架空のある市を舞台に致死性の高い伝染病と闘う医師の姿が描かれます。凄まじいペースで増える感染者、そして死人。封鎖される都市と、そこから脱出する人々。SNSが発達した現代において、その都市に住む人々がどのように見られ、どういった扱いを受けるのか。フィクションではあるものの、ある意味いつ現実に起こってもおかしくないストーリーには引き込まれてしまいます。ちなみにタイトルにある「リウー」とは、フランスの作家・カミュによる『ペスト』という小説の主人公。このタイトルセンスも素敵だなと思います。
    • 参考になった 3
    投稿日:2018年04月06日
  • 『山賊ダイアリー』で猟師としてワイルドこのうえ無い狩猟・採集生活を我々に見せてくれた岡本健太郎原作の女子高生遭難&サバイバルコメディ。遭難して無人島に流れ着いた女子高生4人がサバイヴするためにあれやこれや…という話なのですが、登場人物のうち1人が「軍人だった父にいろいろ仕込まれた」という設定で、この子の知識と能力がとんでもない。生魚の体液で水分補給しちゃうし、何ならおし●こ飲め!てな具合。単純にためになるアレコレもあるのですが、実生活で使う機会はほぼ無いだろうなぁと思うこと請け合いです。このメンツとなら無人島生活でもいいな………。
    • 参考になった 0
    投稿日:2018年04月06日
  • 「食べ放題」それは魅惑の響き…ケーキ、ソーセージ、餃子、お寿司、カレー、牡蠣、野菜、イチオシの食べ放題店をOL漫画家と大食い編集者がレポートするこの漫画。すべてのお店が東京に実在しているだけあって、料金やシステムの紹介もバッチリな上に、料理の絵や味の感想なんかもリアリティに溢れていて、なんとも食欲の湧く1冊です。なによりも大食い編集者・K成さんの食い意…いや、食べっぷりが本当にすごい! 私はそこまで量を食べられる方ではないので、今まで食べ放題は避けてきたのですが、K成さんの勇姿(?)に励まされて食べ放題にチャレンジ! まだ餃子の食べ放題とソーセージ食べ放題にしか行けていないのですが、どちらもお値段以上の満足感がありました(でもK成さんほどは食べられなかった…)。グルメガイド的にも役立つ漫画なので、「食べ放題」のワードに惹かれる方はぜひ!
    • 参考になった 3
    投稿日:2018年04月06日
  • まずは見てくださいこの透明感のある素敵な表紙。見ているだけで読みたくなってきますね? この表紙のイメージに違わず、正統派でロマンチックな、それでいて心が洗われる素敵な作品です(心をこめて合掌) 特に!!!受けの澄さんがもう本当にかわいくて、ちょっと脳みそが溶けました。澄さんは普段のお仕事がSEなので、対人スキルに自信がないんですが、そこがまたかわいい。思ったことや聞きたいことを素直に口に出せなくて葛藤しているのがいじらしくてかわいい。告白されて「恐縮です……っ」って言っちゃうの、かわいい。さっきからかわいいしか言っていませんが、とにかくかわいいんです!ちるちるBLアワード次に来るBL部門にもランクインした注目の作品です!
    • 参考になった 2
    投稿日:2018年04月06日
  • 「妻とは離婚してないだけ」「もう愛してない」。そう言って若いセフレとの不倫に溺れる主人公。自分では「いい距離」を保てていたつもりがアラ大変……というのが第1巻。しかしこの「アラ大変」度がハンパじゃない。最後、「そっちかーーー!」とうなりました。最近また不倫だとか家庭内離婚だとかそんな作品増えてる気がします。『1122』やドラマ化もされた『ホリデイラブ』etc.…ただそれらが恋愛・結婚を軸にした「人間ドラマ」なのに対し、本作は作品のあらすじにもある通り「サスペンス」。とにかく1巻ラストまで読んでもらえればわかりますよサスペンス。1巻読了時の「そっちかーー!」感は『アイアムアヒーロー』以来でした。まあとにかく不倫は代償デカいですねホントに……。
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    投稿日:2018年04月06日
  • 「午前3時」シリーズでは社畜女子、『三代目薬屋久兵衛』では漢方娘…今回はニートが主人公!? 何かになるより、ゴロゴロしてたい。そんなボンクラな主人公が大学を中退し、残りの学費(激怒した親がくれた)で、大好きだったおばあちゃんの美容院を仲間とともにリノベーションすることに。DIYあり、恋愛もあり、でも基本頑張りたくない主人公のボンクラライフの行方は…。ゴロゴロしながら読みたい漫画です!
    • 参考になった 3
    投稿日:2018年03月30日
  •  原リョウが帰ってきた。14年ぶりの新作『それまでの明日』が2018年3月初め、紙書籍、電子書籍同時に刊行され、ミステリーファン、ハードボイルド派の間では、「原リョウ復活」の話題でもちきりだという。
     1988年(昭和63年)4月、『そして夜は甦る』(早川書房、2013年3月15日配信)で鮮烈な作家デビューを果たした原リョウは、1年半後の1989年(平成元年)10月に第2作『私が殺した少女』(早川書房、2013年3月15日配信)を発表。第102回直木賞(1989年下期)に輝き、ハードボイルド作家としての位置を確かなものとした。以後、1995年(平成7年)『さらば長き眠り』(早川書房、2013年3月15日配信)、2004年(平成16年)『愚か者死すべし』(早川書房、2013年3月15日配信)と書きつなぎ、第4作の『愚か者死すべし』から14年かけて刊行されたのが、今回取り上げる第5作『それまでの明日』です。これら長編5作品のほかに、1990年(平成2年)刊行の短編集『天使たちの探偵』(早川書房、2013年3月15日配信)がありますが、デビューから30年で6作品──自他ともに認める寡作作家です。それだけに14年ぶりの最新作に関心が集まっているのだろう。
     直木賞選考委員の藤沢周平は選評で「魅力ある文章と魅力ある一人の私立探偵を造型」と評しましたが、上記6作品はすべて、東京西新宿に事務所を構える私立探偵、沢崎が登場する〈沢崎シリーズ〉と呼ぶべきものです。
     原リョウは、船戸与一との対談で、〈私立探偵・沢崎〉についてこう語っています。エッセイ集『ハードボイルド』(早川書房、2016年2月29日配信)より引用します。

    〈沢崎というのは僕にとってはつくった人間だし、ある意味ではマーロウをモデルにしてます。小説の主人公を自分の感覚から単純に出しても主人公たりえないような気がするんで、沢崎なんかはそれこそひとつの台詞に三日も四日もかかったり、どこからかつくりだしてこないとだめなんですよ。〉

     マーロウは言うまでもありませんが、『長いお別れ』(早川書房、2012年8月31日配信。2016年1月29日、原題そのままの『ロング・グッドバイ』を書名とする村上春樹の新訳も配信)で知られるレイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・マーロウのこと。チャンドラーに心酔し、「とにかく真似られるだけ真似ようとしました」と語る原リョウです。チャンドラー・ハードボイルドの中核であるマーロウをモデルに〈私立探偵・沢崎〉を造形した。下の名前も考えてはいたが、一作目を書き終えた時、下の名はどこにもなく、結局そのまま姓だけになったと、船戸与一との対談で明かしています。

     さて、14年ぶりに戻ってきた〈私立探偵・沢崎〉の物語──『それまでの明日』は、西新宿のはずれのうらぶれた通りにある〈渡辺探偵事務所〉を、とうに絶滅していたはずの紳士が来訪して始まります。
     日増しに寒くなる11月初旬の夕方──沢崎があしたの夜の張り込みに備えて、ロッカーからコートを取り出そうとしていると、ドアにノックの音がした。「どうぞ」と答えると、五十代半ばの男がドアを開けて、事務所に入ってきた。かすかに左足を引きずるような歩き方には、ものなれた動きと落ち着きがそなわっていた。椅子に腰をおろして、まっすぐ沢崎に注がれた眼には、ここを訪れる依頼人のほとんどが見せる不安げな様子はなかった。

    〈“彼は依頼人ではないな”というのが、私の第一印象だった。私より年長であり、私より収入も多く、世の中のあらゆることに私より優れた能力を発揮できそうだった。探偵の仕事なら私のほうが上だと思うが、探偵に解決してもらわなければならないような問題が生じたとしても、たいていのことは自分で解決できる人間に見えた。
     時候の挨拶などお定まりの会話をひとしきり交わしたあとで、来訪者はようやく用件を切り出した。私の推量はみごとにはずれていた。
    「うちの社ですでに融資が内定している、赤坂(あかさか)の料亭の女将(おかみ)の私生活を調査していただきたい」
     望月皓一(もちづきこういち)はよく知られている金融会社の新宿支店長だった。金融業にたずさわる人間が紳士に見えるようでは、私の観察眼もあまり当てにはならないようだった。だが、金銭を扱う人間は紳士ではないと決めつけるのは公平な態度とは言えなかった。〉

     望月皓一は15分ほどで、赤坂の料亭〈業平(なりひら)〉の女将の平岡静子(ひらおかしずこ)という女性の身辺調査に必要な事項を話し終えると、「今日のところは30万円をお預けしておきます」と言って、会社の名前入りの封筒をデスク越しに差し出した。一週間分の探偵料金と経費の一部にはなるだろうということらしかった。そして、外部には明かせない会社の事情がある故、電話連絡は避けて欲しい、一週間後の土曜日に電話するか出向いて調査結果を聞きたいと念を押したうえで、沢崎の事務所をあとにした。

     調査を始めた沢崎は、料亭〈業平〉の場所を確かめに寄った交番の巡査から平岡静子が夏の初めに亡くなっていたことを知らされます。依頼者が平岡静子の死を知らなくて、すでに調査の必要はないのかもしれなかった。あるいは姉の後を継いで女将となった、静子によく似ているという嘉納淑子の身辺調査をする必要があるのかもしれなかった。融資しようという相手の名前を間違えることはないはずだが、料亭の名義変更がすんでいないための混乱がないとは限らなかった。名刺にあった番号に電話を入れたが、外出中でつながらない。名刺の裏に手書きされた自宅の番号にもかけてみたが、長い呼び出し音の後で電話に出た男は「留守です。あんた、どなたです?」と関西方面のなまりがあった。
     沢崎は答えずに、電話を切った。オフィスも自宅も空振り。自分が携帯電話を使わない沢崎は、携帯の番号は聞いていない。気にもとめていなかったが、今となっては後の祭りだった・・・・・・となれば、望月皓一(支店長)が戻るという閉店時間にミレニアム・ファイナンス新宿支店を訪ねるしか、依頼主に予想外の事態を知らせる方法はなかった。
     新宿2丁目のテナント・ビルの3階にあるミレニアム・ファイナンス新宿支店のベンチに腰を下ろし、パンフレットを見るふりをしながら店内の様子を観察する姿勢をとった沢崎。その時、事件は起きた。二人組のニットの眼出し帽の男たちが支店のなかに飛びこんできたのだ。

    〈「誰もその場を動くな」先頭にいた大柄の黒ずくめの男が、右手に持っている大型の自動拳銃を振りかざして怒鳴った。
     店内の女性たちがいっせいに悲鳴に近い声をあげた。
    「騒ぐな!」と、黒ずくめの男が一喝した。「こちらの言う通りにすれば、誰にも危害は加えない。警報装置やパソコンには一切触るんじゃないぞ」
     あとから来た濃緑色のフィールド・ジャケットを着た男は中背で、左脇に銃身の長いライフル銃か猟銃のようなものを抱えているのがわかった。彼は右手で運んできたポリタンクを接客用のカウンターの上に置くと、左脇の銃を持ち直して、いつでもポリタンクが撃てるように構えた。ふたを開けっぱなしにしたポリタンクから発するガソリンの匂いが店内に漂った。
     女性たちの何人かが小さな悲鳴をあげたが、そのほかの者はむしろ恐怖で声が出ない状態になっているように見えた。
    「いまこの瞬間から、おまえたちは、おれたちがある目的を果たすための人質になった。おれたちの指示に従わなければ、このガソリンをぶちまけて火を点けることになる。わかったか」〉

     二人組の狙いは、言うまでもなく金庫の中身を頂戴することだが、それは厳重なセキュリティシステムに守られており、支店長のキーと本店警備室のキーが連動して解錠しなければ、開かない仕組みだ。支店長は閉店時間を過ぎても戻ってこない。二人組のうち黒ずくめの男は、解錠のしようがないことがわかると、濃緑色のフィールド・ジャケットを着た男を残して立ち去り、強盗は未遂に終わる。銃には空包が一発入っているだけだったし、ポリタンクの中身はほとんどが水だった。

     主犯格の黒づくめの男は緊急手配されたが、誰が何を目的に強盗未遂事件を起こしたのか? そして、何より問題は、支店長の望月皓一の行方だった。通報を受けてやってきたのは、警視庁新宿署の錦織警部。沢崎とは旧知の捜査課長だ。錦織は探偵が強盗未遂事件の現場に何故いたのかに強い関心を抱く。
     錦織に呼び込まれた支店長室。沢崎は机の上の写真立てに入っている家族写真をじっくり時間をかけて見た。夫と妻、それに姉妹の4人。マンションのベランダで撮った家族団欒の写真で、背景に写っていた大きな白い建物に見覚えがあった。
     本店から駆けつけた総務部長らの手によって金庫が開けられ、想定外の現金が入ったジュラルミンのケースが二つ出てきた。ざっと4億か5億に近い。事情を知るはずの支店長の望月皓一は行方不明のままだった。

    〈「ここで見聞きしたことはすべて“部外秘”だ。いいな。あした、午後いちばんに新宿署に出頭してくれ」
    「なかなか面白かったよ」
     私は支店長室を出ると、店内にはすでに警察の人間だけしか残っていないことを確認して、〈ミレニアム・ファイナンス〉をあとにした。
     支店長の望月皓一はいったいどこへ行ったのだ。〉

     ミレニアム・ファイナンスの支店長室・金庫室に出所不明の大金が隠されていた。沢崎に料亭の女将の調査を依頼してきた望月皓一──いまでは珍しい“紳士”の依頼はどう関わるのか?
     そして──沢崎が家族写真の撮られたマンションを突きとめ、錦織の部下の田島警部補とともにその部屋に入ると、浴室のバスタブに男が浮かんでいた。望月ではない。

     いったい、何が起きているのか。沢崎とは因縁のある暴力団〈清和会〉幹部の橋爪も登場。いっそう複雑な様相を呈し、深まる謎に私立探偵・沢崎が切り込んでいきます。張り詰めた、スピード感のある文章は、一気に予想もしない真相に向かいます。
     強い地震が東日本を襲った。強盗未遂事件の現場で居合わせ、謎の解明に協力してきた海津一樹は仙台の漁師町の近くにいて、西新宿の沢崎と電話で話をしていた。

    〈「わかった。東京に帰ってきたら、また会おう」
    「こんなにさっぱりした明るい気持で父親に会えるのは、あなたに──」〉

     電話がプツンと切れて、物語は終わります。書名『それまでの明日』の深い意味を初めて知った。(2018/3/30)
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    投稿日:2018年03月30日
  • ひとりだからってかわいそうとは限らない。強がりで言っているわけじゃないんです! 好きなことを、好きなときに、好きなだけできるって最高じゃないですか!? 誰かと遊んだりする時間もいいけれど、誰にも気をつかうことなくひとりで飲みに行ったり映画を見たり本を読んだり…そういう時間ってすごくリラックスできるし、満たされているなーって感じませんか? 『ごほうびおひとり鮨』は彼氏にフラれた独身OLが、結婚資金に貯めていたお金を使って、実在する高級なお鮨屋さんへ行くというシンプルなお話。ひたすら食べているだけなんですが、何にも縛られず思うがままにお鮨を楽しむ姿を見ているとなぜか癒されてきます。「うまみがジュワってきた!」「舌が甘やかされてしまう」など独特な味の表現も見どころです!
    • 参考になった 1
    投稿日:2018年03月23日
  •  大人気のNHK「ブラタモリ」の先駆けと言っていいだろう。1893年(明治26年)生まれの獅子文六(岩田豊雄)が、都電に乗ってみようと思い立ち、品川界隈から銀座、京橋、日本橋を経て上野、浅草まで都電を利用して、ブラブラ歩きをした。1966年(昭和41年)、73歳となる年だった。
     のんびりと、失われつつある風景を求めて時代をさかのぼるような文士の“時間旅行”は、「週刊朝日」に連載され、のちに一冊の本にまとめられた。『ちんちん電車』である。朝日新聞社から単行本が刊行されたのが1966年。40年後の2006年(平成18年)に河出文庫として刊行され、2017年10月20日発行の新装版初版を底本に電子化、11月17日に配信されました。
     なぜ、都電──「ちんちん電車」だったのか。1974年(昭和49年)に荒川線(三ノ輪橋-早稲田の27系統、荒川車庫-早稲田の28系統を統合)以外の路線がすべて姿を消しましたが、獅子文六がこのエッセイを書いた1966年当時は、全盛期を過ぎたとはいえ、〈東京の無数の坂を登り下って下町と山手を結びつけ、また東京の無数の川や堀割を渡って旧市街と江東一帯を連絡した。電車は東京の血液を運ぶ頼もしい血管〉(巻末収録の関川夏央〈老文士の「のんびり時間旅行」〉より)として、まだ都電が「ちんちん」と音を鳴らしながら変わりゆく東京の町々を縦横に走り回っていた。

     獅子文六は、「ちんちん電車」についてこんなふうに書いています。
    〈私は、東京の乗物の中で、都電が一番好きである。いつ頃から、そんなことになったか、ハッキリ覚えていない。それ以前に、都電なんて、バカバカしくて、乗れないと思った時代があったことは、確かである。それが、いつか、逆になったのである。いつかといっても、戦後の東京の交通機関が、大体、整備してからのことだろう。つまり、乗物の選択がたいへん自由になって、こっちの都合や、懐ろ工合で、どんな乗物にも好きなように乗れることになったら、俄然、都電がよくなったのである。別な見方をするなら、如上(じょじょう)の交通機関が発達して、路上電車というものは、何かマヌケなものになり、気の早い連中が、撤廃論を持出すようになってから、かえって、都電に愛着が出てきたのである。それは、必ずしも、アマノジャクではない。他の乗物の乗り心地が、よくないから、都電を思い出したのであって、いわば、古女房の再認識と軌を一にしてる。〉

     最も乗り心地の悪いのはバスで、なによりあの揺れ方がいけない。ついで不愉快な乗物であるタキシはいまさら論じる必要もないと片づける、国電についてはその混雑と車内の汚さが欠点だと嘆き、地下鉄でヤミの中を走るのは気持がよくないという老文士。都電への愛着をさらにこう綴ります。

    〈そこへいくと、都電である。
     都電ぐらい、乗り心地のいいものはない。大人物でなくても、いい気持に居眠りができる。乗り心地のよさは、いろいろの点からくるが、まず軌道の上を走ることが、魅力である。電車が軌道の外を走らないということは、今の東京の交通混乱の中にあって、まったく見上げた態度である。時として、脱線することがあるとしても、人間の行蔵に比べれば、ものの数ではない。都電がいかに行儀のいい車であるかは、絶対に“割り込み”をしないということでもわかる。(中略)
     軌道の上を走る点では、国電も、地下鉄も同様であるが、なぜ、都電だけが、乗り心地がいいかというと、スピードを出さないからである。
     都電の低速力ということは、今の時点で、非常な魅力となってるのを、気づかない人が多い。軌道を走るのに、あまり高速力を出すと、不快な動揺を起すことは、国鉄新幹線へ乗って見ればわかる。地下鉄のうるさい轟音も、スピードを出すからである。軌道の上を快く走行するには、速力の限度があり、都電はそれを超そうとしない。青山一丁目─渋谷あたりの軌道床工事のよくできた路線を、七五〇〇型の新式電車で、低速(というよりも、あれが尋常の速力)で走る時の乗り心地は、コタエラレンというほどのものである。〉

     ノロノロ都電とあなどってはいけない。駅の階段の昇降、通路のアリの歩みによる時間の空費を考えれば、都電は思ったよりも早く目的地に運んでくれた、見かけによらず速いのである──と讃える。
    〈朝の六時ごろに、池袋から数寄屋橋まで、都電に乗ると、十七分で行ける。これは、地下鉄より速いのである。勿論、街路が混雑してくると、そんな芸当はむつかしいが、それでも時速十二キロぐらいは出すのである。人間が歩くのが、四キロだから、大分速いことになる。〉

     池袋から数寄屋橋まで都電が走り17分で行けたとか、青山一丁目から渋谷まで、つまり国道246をちんちん電車が走っていたなど若い読者には想像もできないでしょうが、獅子文六の「都電愛」に、もう少しお付き合いください。

     裕福な台湾華僑の一家を描いた『バナナ』(筑摩書房、2017年11月10日配信)という作品があります。獅子文六は本書でこの作品に触れて、自身の創作のある秘密の愉しみを明かしています。

    〈(『バナナ』の)主人公の呉天童という台湾人が、東京の赤坂に住み、富裕な生活をして、外車の自家用車を買うぐらい、朝飯前の身分なのに、都電にばかり乗ってることを書いた。
     彼は、大陸的な、ノンビリした性格なのだが、自動車とバナナが嫌いで、あらゆる美食と共に、路面電車が好物だった。なぜ、電車が好きかというと、レールの上を走る安定感と、巨大な車体の安全性を愛するからなのだが、東京都電の車内のムードが性分に合うのである。
     私は、その男のそういう性癖を書くのが、愉しみだった。実をいうと、そこのところだけは──都電愛好という点だけは、私自身を登場させたからである。そこだけは、私小説だったからである。新聞小説というやつも、書く方の身になると、相当、退屈なものであって、それくらいの道楽は、やってみたくなる。もっとも、読者も、新聞社の方も、私が道楽やってるなぞ、気がつかないから、文句をいわれる心配はない。〉

     新聞小説の中に都電愛好の道楽を入れて秘かに愉しんでいたというのです。人間の歩く速度より少し速い程度の、ゆったり感が普通にあった時代だったということでしょうか。都電の窓から町の景色を眺め、気が向けば降りて往時を思い出しながらゆっくり散策する老文士の息づかいが聞こえてくるようです。

    〈久振りに、品川終点へきてみると、どうも、様子がちがう。いつの間にか、終点が、品川国鉄駅前になってる。昔の終点は、八ツ山といって、もう一つ先の陸橋の近くだった。そこで、車掌さんがエンヤラと、ポールの綱をひいて、方向を変えたものである。今はポールはなく、パンタグラフ(ほんとは、ビューゲルというのだそうだ)になったから、そんな世話はない。
     しかし、終点が八ツ山だったことは、大いに意識を持ったのである。夜の乗客で、八ツ山で降りる人の三割は、品川遊廓が目的だったろう。陸橋を渡れば、すぐ品川宿で、街道の両側に、古風な娼屋が軒を列べた。吉原のような大廈(か)高楼がない代りに、気の置けない遊びができたらしく、女郎衆の気風も寛達で、落語の“品川心中”なぞ、他の場所では不似合いだろう。
     私なぞは品行がよかったから、この宿へくるのは“三徳”という夜明かしの小料理屋を愛用したためだった。今は、どこも、夜明かし流行だが、以前の東京は堅気だったから、終夜営業の夜は遊廓内に限ったもので、従って、市内で飲み足らぬ場合は、“三徳”に足を運ぶのが常だった。そんな店が何軒もある中に、“三徳”のカニやアナゴは優秀であり、客扱いもサッパリしてた。座敷から、すぐ海が見え、潮風が吹込んだ。
     ある夏の夜、私は友人とここで飲んでいたら、夜が明けてしまった。房総の山から、日の出が見えた。さすがに、その時刻には、入れ混み座敷の客も少なかったが、ふと、近くの席で、一人の品のいい老人が、食事をしてるのが、目に入った。白いヒゲを生やし、大変姿勢正しく、カタビラのようなものを着て、しかも、ハカマをはいてる。そして、“三徳”の客としては珍しく、酒を註文しないで、飯を食ってる。それだけでも珍現象だが、もっと驚くべきことは、女中がその前に畏って、お給仕してるのである。“三徳”の女中なんて、料理をドスンと置いてくだけで、ロクにお酌もしてくれず、そこが、かえって気安く飲める所以でもあったが、それにしても、これは、大変な差別待遇である。第一、“三徳”の女中が、キチンと坐ることを、知ってるのかと、おかしくなった。
     その客は、飯を食べ終ると、直ちに勘定を命じ、その時に、よほどチップをはずんだと見えて、女中がペコペコした。差別待遇の理由は、この辺にあるかと、私も合点したが、この時刻に、こんな料理屋で、朝飯を食う老人の正体が、サッパリ腑に落ちなかった。〉

    「あのジイさんは、何者だい?」若き獅子文六、女中を問い詰めて、ハカマの老人の正体を聞き出したことを回想しているのですが、ここではその結末までは書きません。

     とまれ、獅子文六のちんちん電車歴は長い。のちに都電となる市街電車が東京を走り始めたのは1903年(明治36年)。その頃、三田の慶応幼稚舎の寄宿舎にいた獅子文六は、横浜の実家へ帰る時には品川駅までこの電車に乗るのを常とした。開業以来の客ということになります。
     その老文士がちんちん電車で行く町歩きをして描いた、かつての東京の風景。
    〈京橋へ入ると、私はとたんにウナギの匂いをかぐ。事実は、匂いなんかしないのだが橋を渡ってじきの横丁に、小満津という家があるのを、思い出すからだろう。そのウナギは、ほんとにうまい。今の東京で、一番うまいかも知れない。そして小體(こてい)に、ジミに商売してるところもいい。銀座では、あんな営業法はできないだろう。〉
     残念ながら獅子文六が懐かしんだウナギの老舗、小満津(こまつ)はその地にはなく、のちに店主の孫によって東高円寺に再建されました。

     上野で一番好きな場所は池の端だという獅子文六。ソバは、蓮玉庵か、団子坂の“藪”か思案することもあるけれど、鳥となれば迷うことはないと、こう記しています。
    〈鳥を食うとなれば、何の躊躇もなく、”鳥栄“のノレンを潜るだろう。
     この店は、池の端の誇りであるのみならず、東京のあらゆる料亭のうちでも、亀鑑みたいなものである。小さな、見かけの悪い家だが、鳥がウマい以上に、商売の心意気を持ってる。つまり、気に入った材料が入らなければ、本日休業をやるのである。昔はそんな店も東京にあったが、今は跡を絶ったようだ。〉

     春の一日、本書を手にブラブラ歩きをしてみてはどうでしょうか。その際、紙書籍に収録されているスケッチ画が、電書には載っていないのが少し残念ですが。(2018/3/23)
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    投稿日:2018年03月23日
  • 小学校の頃「りぼん」を愛読していた私。漫画のヒロインはみんな恋をしていてかわいくて楽しそうで憧れたものでした…。そんなこんなで「ヒロインは最初に出会った好きな男の子と結ばれるもの」という(?)少女漫画のお約束の中で生きていた私ですが、あるとき読んだ『ミントな僕ら』には衝撃を受けました。「りぼん」の作品でありながら、想っていても報われない、ヒロインが全然一途じゃない…今思えば当たり前のことですが、当時の私の目にはそんな現実こそが新鮮に映ったのです。まぁ今読んでもまりあのバイタリティ(?)には驚かされますが…。
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    投稿日:2018年03月16日
  • TL小説家のリオは、実は処女…。担当の編集さんに「エッチシーンにリアリティがない」そう言われ、取材のために通りすがりのイケメン銀行員にエッチの実地指導をしてもらうことに!? 初めての感覚だけど、トロトロに気持ちよくなっちゃうリオがかわいくてきゅんきゅん☆ 仕事に対して真剣で、だけどちょっぴり天然で憎めないリオにほだされ振り回される藤縞さんも、みているとほほえましい気持ちになっちゃいます。「顔がすべった」はキスの言い訳にはなりませんよ、藤縞さん!
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    投稿日:2018年03月16日
  •  北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)はもしかしたら、ホワイトハウス内部のリアルな生き様を描写した、この本──『炎と怒り トランプ政権の内幕』を読んだのではないか。そんな思いが頭をよぎった。2018年1月、トランプ大統領が「出版差し止め」に動き、繰り上げ発売されるや、売り切れ店続出。アマゾン、ニューヨークタイムズのベストセラーランキング1位、全米170万部突破の世界騒然の書だ。約1か月後の2月下旬、邦訳が書店に山積みされ、電子版の配信も始まった。

     2018年3月9日──ピョンチャン・オリンピックの前までは、「Little Rocket Man(チビのロケットマン)」「老いぼれの狂人」と一国の最高権力者が発する言葉としては世界をあきれさせるに十分な表現で罵倒し合っていたトランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が5月までに会談するという衝撃的ニュースが飛び込んできた。朝鮮半島を南北に分ける板門店で金正恩から「親書」と「特別な伝言」を預かった韓国特使をホワイトハウスに迎えたトランプは「首脳会談の要請」を聞いたその場で、「よし、会おう」と即答したというのです。

     いったい、何があったのか。実現すれば、歴史的な会談となる「米朝首脳会談」をめぐるニュースを追っていた時、上掲の『炎と怒り』のある一節が脳裡に浮かんだ。

    〈トランプの一日は予定された会議のほかは、大半が電話に費やされている。外から何度電話したとしても、トランプへの影響力は維持できない。これは微妙ではあるが重大な問題をはらんでいる。トランプはしばしば最後に話した人物から大きな影響を受けるが、実際には他人の言うことなど聞いていない。つまり、トランプを動かすのに個々の議論や陳情が果たす役割は小さい。トランプにとって大事なのはむしろ、とにかく誰かがそこにいることだ。トランプは妄想好きだが、その頭のなかでは固定された見解は存在しない。だからこそ、トランプの頭のなかで起きていることと、目の前にいる人間の思考を結びつけることが大事なのである。その誰かが誰であろうとどんな考えを持っていようとかまわない。〉

     気になるくだりは、もうひとつ、あった。

    〈かつて海軍士官だったスティーヴ・バノンは、わずか数週間で気づいていた。ホワイトハウスがじつは軍事基地であることに。そこは大豪邸の外観を備えた軍事オフィスであり、わずかばかりの式典室を頂点に戴(いただ〉くその施設の下には、軍隊的指揮にもとづいた強固な「基地」が広がっている。ホワイトハウスの背後にある軍隊的な秩序やヒエラルキーと、その表側で仮住まいの民間人たちが繰り広げる混沌。それはじつに鮮やかな対比だった。
     トランプ率いる組織ほど、軍隊式の規律から遠い存在はそうはあるまい。そこには事実上、上下の指揮系統など存在しなかった。あるのは、一人のトップと彼の注意を引こうと奔走するその他全員、という図式のみだ。各人の任務が明確でなく、場当たり的な対処しか行なわれない。ボスが注目したものに、全員が目を向ける。それがトランプ・タワーでのやり方であり、いまではトランプ率いるホワイトハウスのやり方となっていた。〉

     トランプはホワイトハウスの“わんぱくな子ども”であり、ご機嫌とりをしたり気を引いたりする人なら誰でもお気に入りになれる。しかし、そのひらめきは瞬間のなかにしかない。だから、今はホワイトハウスを去ったとはいえ、一時は“陰の大統領”の呼び名もあったスティーヴ・バノン(元大統領首席戦略官)は毎晩トランプのディナーに同席しようとしたし、長女のイヴァンカ(大統領補佐官)とその夫、ジャレッド・クシュナー(大統領上級顧問)は、とにかく大統領の近くにいることによってたんに家族であること以上の影響力を手に入れようと腐心した。大事なのはとにかく、その瞬間に居合わせるということ──そのチャンスをつかめば、トランプ大統領との直接取引(ディール)の可能性が拡がっていく。首脳会談の要請をうけたトランプは「金正恩は北朝鮮で意思決定できる唯一の人物。だから彼と直接会うのは合理的だ」と説明したといわれますが、トランプ自身もホワイトハウスで意思決定できる唯一の存在とみなされているのです。金正恩がこの本を読んでいれば、よし、“わんぱくな子ども”の懐に飛び込んでやろう。そう計算したとしても不思議はない。

     この本の原題は、〈Fire and Fury :Inside the Trump White House〉。2017年8月8日、トランプ好みのシャンデリアやゴルフのトロフィー、ネームプレートで飾られたベッドミンスターのクラブハウスで行なわれた昼食会の後で、集まった記者団を前に、
    「北朝鮮は、これ以上アメリカを威嚇するのをやめたほうがいい。さもなければ、世界がこれまで見たことがないような炎と怒りを目の当たりにするだろう。彼が行なってきた脅しは常軌を逸している。だからいま言ったように、世界がこれまでに見たことのない炎と怒り、むき出しの力に直面することになる。ありがとう」
     と語ったトランプの北朝鮮に対する警告メッセージからとられています。もともとは『旧約聖書』の中の「イザヤ書」にある“神の怒り”を象徴する表現だと池上彰氏の解説にあります。いかにブラフの掛け合いの中でのこととはいえ、核先制攻撃を示唆しているともとれる威嚇の言葉を発したのが、何をするかわからないトランプ大統領だけに、世界は十分に戦慄したし、金正恩の内部にも疑心暗鬼が渦巻いたであろうことは想像に難くない。

     さて、『炎と怒り』に描写されたトランプのホワイトハウスの内幕である。
     本当に望んだかどうかは別として、1年前にホワイトハウスの住人となってしまった“わんぱくな子ども”と“ご機嫌とりをしたり気を引いたりする人たち”のリアルな生き様は驚くほかないが、何より覗いてみたいのはトランプの頭の中だ。トランプをよく知る人たち、周囲の人たちが一致しているのは、「バカ」だという辛辣な評価だ。そのあたりの状況は次の一文からもうかがえる。
    〈トランプの知的能力を嘲笑するのはもちろんタブーだったが、政権内でそのタブーを犯していない者などいない。〉

     たとえばティラーソン国務長官(3月13日、突然トランプが「解任」をツイート)──大統領を「能なし」と呼んだことが暴露された。
     たとえばゲイリー・コーン経済担当大統領補佐官兼国家経済会議委員長(3月6日辞任を表明)──「はっきりいって馬鹿」と言った。
     たとえばH・R・マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官(フリンの後任)──「うすのろ」と言った。
     たとえばスティーヴ・バノン大統領首席戦略官兼上級顧問(のちに辞任)──〈トランプを、ごく単純な構造の機械にたとえた。スイッチがオンのときはお世辞だらけ、オフのときは中傷だらけ。卑屈で歯の浮くようなお世辞があふれるように口から出てくる──何々は最高だった、驚くべきことだ、文句のつけようがない、歴史に残る、等々。一方の中傷は怒りと不満と恨みに満ち、拒絶や疎外を感じさせる〉

     勝つはずではなかったトランプが、そして驚くほど政策を何一つ知らないトランプが、まさかの大統領になってしまったのだ。そして一人のジャーナリストがなぜかトランプ流に塗り替えられたホワイトハウスの内側を自由に動き回ることを許された。本書著者のマイケル・ウォルフです。ウォルフが描写するトランプのホワイトハウスの生々しい有り様は「やっぱり本当なのか」「まさか」の連続です。「誤報」がゼロとは思いませんが、普通の取材方法では入手できない内部証言に基づく衝撃の書であることはまちがいありません。内部の人間しか知り得ない秘密の暴露が随所に見られることが、この本の価値を保証しています。
     たとえばトランプの寝室をめぐる秘密──。

    〈トランプは入居初日に、すでに部屋に備えられていた一台に加えて、さらに二台のテレビを注文した。ドアに鍵を付けさせ、緊急時に部屋に入れないと困ると言い張るシークレットサービスと小競り合いを起こしたりもした。床に落ちていたシャツを片づけようとしたハウスキーパーに対しては、「シャツが床にあるのは、私がシャツを床に置いておきたいからだ」と言って叱責したという。やがて彼はいくつかの新しいルールを定めた。私の持ち物には誰も手を触れてはならない、特に歯ブラシに触れることは厳禁だ(トランプは昔から毒殺されることを恐れていた。マクドナルドのハンバーガーを好んで食べるのもそのためだ。マクドナルドなら誰も彼が店に姿を現すとは思っていないし、ハンバーガー自体もあらかじめ調理済みで安全だからである)。また、シーツを換えてほしいときはハウスキーパーに伝えるが、ベッドから外すのは自分でやると言いだした。〉

     ちなみにメラニア夫人の部屋は別にあり、大統領夫妻が別々の部屋で暮らすのはケネディ大統領以来のことだそうです。いずれにしても寝室に一人でこもりマクドナルドを食べながら三台のテレビを見るのが秘密のライフスタイルというわけですが、もう一つ“トランプの秘密”が暴露されています。しかも長女のイヴァンカによってです。

    〈イヴァンカはよく、あのヘアスタイルの構造を友人に話して聞かせたものだ。スカルプ・リダクション手術(髪の毛のない部分の皮膚を除去し、髪の生えている皮膚を寄せて縫い合わせる手術)を受けたあとのつるつるの頭頂部を、フワフワとした毛が取り巻いている。その毛を中央でまとめるように梳(と)かし上げ、さらに後ろになでつけて、ハードスプレーで固定しているのだ。さらに・・・・・・〉

     イヴァンカによる秘密の暴露は男性専用のヘアカラーの商品名にもおよび、あのオレンジがかったブロンドのヘアスタイルが出来上がるまでをおもしろおかしく語っているのですが、いずれにしても、トランプは何事も“自分ファースト”を貫く“わんぱくな子ども”なのだ。1年前の大統領就任式を終えたトランプが「観衆は過去最大。150万人くらいに見えた」と、オバマ前大統領の就任式と比較した写真や映像を「嘘」と非難したことは記憶に新しい。事実にもとづいていないと容易に証明される「笑い話」でしかないトランプの主張がどうしてでてくるのか。本書が解き明かしています。

    〈「君が信用しているのは誰だ? ジャレッドか? 君が何かしようとする前に、誰か相談に乗ってくれる相手はいないのか?」興奮気味に電話してきたジョー・スカボロー(引用者注:元下院議員。MSNBC(米国のニュース専門放送局)の『モーニング・ジョー』の共同司会者)は、トランプにそう尋ねた。
    「うむ」と大統領は言った。「君は気に入らないだろうがね、答えは私だ。この私さ。私は自分に相談するんだ」
     そんなわけで、就任式から二四時間と経たないうちに、大統領はこの世に存在しない人間を一〇〇万人ほど創出することになった。新任のホワイトハウス報道官、ショーン・スパイサー(すぐに「そんなでたらめやでっち上げはまずいですよ」が彼の口癖になった)に命じ、就任式の観衆の人数に関して自分の見解を発表させたのである。この一件により、それまで実直に政治畑を歩んできたスパイサーは一瞬にして国民的な笑いものになり、今後もその汚名はすすがれる気配がない。おまけに大統領は、一〇〇万人の観衆が本当に存在したかのように伝えることができなかったといって、スパイサーを責め立てた。
     これは、トランプが大統領になって最初の暴挙だった。〉

     ホワイトハウス報道官および広報部長として、大統領就任式に立ち会ったスパイサーは、7月に辞任してホワイトハウスを去ることになりますが、「相談するのは誰でもない、自分だ。自分しかいない」というトランプ流は薄まるどころか、より顕著に、いっそう激しくなってきていることは、米朝会談に動き出した矢先のティラーソン国務長官解任からも明らかだろう。
    “わんぱくな子ども”を大統領に選んだアメリカは、トランプ大統領に対する初めての評価となる中間選挙に動き始めた。再びの「まさか」が起きるのか。それとも──まさに“神の怒り”が炸裂するのか。『炎と怒り』──トランプを知り、先行きを見定めるために必読の書だ。(2018/3/16)
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    投稿日:2018年03月16日
  • 読んだきっかけは自分もドラクエⅩを遊んでいたからなんですが…これはみんなにおすすめしたい漫画です!『ゆうべはお楽しみでしたね』はドラクエⅩをきっかけにルームシェアをすることになった2人のお話。たまに一緒に遊んだり、ごはん食べているときの会話のネタがドラクエだったり…一緒に趣味を楽しめている雰囲気が素敵!ドラマチックな展開はなくても、読んでいるとあったかい気持ちになります。お互いに無理せずちょうどいい距離感でいる、そんな関係に癒されます~。(ちなみに一番かわいい種族はプクリポ♀ではなくウェディ♀だと思ってます、私は…)
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    投稿日:2018年03月09日
  •  イーブックジャパンのオフィスから歩いて5分ほど、駿河台の明治大学「阿久悠記念館」に、稀代の作詞家の直筆原稿を見に行った。
     阿久悠が遺した歌詞[うた]は、昭和の記憶とともにある。都はるみ「北の宿から」、沢田研二「勝手にしやがれ」、ピンク・レディー「UFO」、ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」、尾崎紀世彦「また逢う日まで」、八代亜紀「雨の慕情」などが即座に思い浮かぶ。阿久悠は5000曲を越える歌詞を特製の400字詰め原稿用紙に愛用する黒のぺんてるサインペンを使って手書きした。少し右肩上がりの男っぽい文字だ。
     阿久悠生誕80年、没後10年だった2017年11月末に『昭和と歌謡曲と日本人』が出版され、先頃配信が始まった。紙書籍の帯には、「時代を見つめ、人を愛し、言葉を慈しんだ歌謡界の巨星、最後のメッセージ!」とある。2001年から2007年にかけて、東京新聞、スポーツニッポンに連載したコラムを集めたもので、阿久悠の最新作であり、おそらく最後の著作となるエッセイ集だ。

     こんな一節があります。「第三章 愛しい人間の愛しいいとなみ」の「昭和の詩」から引用します。

    〈昭和が見直されている。ブームといってもいい。そして、一口にレトロという感覚で片付けられないものが、このひそやかな復活には含まれている。何かというと、人間がいて物があり、人間が生きるためにシステムがあったという、人間主役の時代が、まさしく、昭和であったからである。(中略)
     昭和といっても戦前ではない。やはり昭和三十年代、ぼく流にいうと最後の楽園の時代のことである。飢餓からの脱出に希望が持て始め、生きることにいくらかの向上心をプラスするようになっていた時である。
     いい生活を夢みているが、それは金満とはほど遠いものであって、身の丈に合った幸福サイズをささやかに描き始めた、愛しい人間の愛しいいとなみが満ちた昭和である。東京でいえば、オリンピックが開かれた昭和三十九年以前のこと、地下鉄はまだ二本だけ、その代わり都内を網の目のように都電が走り、渋滞という言葉は日常ではまだなかった。〉

     東京オリンピックの1964年(昭和39年)以前の時代は、1955年(昭和30年)に大学生となって東京に出た阿久悠が、明治大学を卒業して広告代理店・宣弘社に就職。テレビCMの仕事のかたわら、同僚であり、生涯の友となる上村一夫(後に漫画家、イラストレーターとして活躍)と組んで雑誌に劇画の連載を始め、放送作家として脚本を書き始めた時期にほぼ重なります。ザ・モップス(リードボーカル・鈴木ヒロミツ)「朝まで待てない」を書いて作詞家本格デビューしたのは1967年(昭和42年)です。それは〈豊かな日本〉が幕開けした時代で、風俗や文化が花開き、主張し、女性たちは過去の因襲と決別するかのように大胆なミニスカートで闊歩し、そして、テケテケテケとエレキギターが時代の風のように鳴っていた、と阿久悠は綴る。
     そんな〈豊かな日本〉を作詞家として駆け抜けた阿久悠。〈昭和の貧から富への懸け橋の時代〉を「昭和の詩」のタイトルで描いた。

     昭和の詩
     町には暗がりがあった
     だから家の灯が見えた
     人は港を探す船のように
     迷い迷い家へ帰った
     妻がいて 子らがいて
     いたわり示す言葉が迎えた
     昭和 そんな 人の時代

     人間は健気で、慎ましやかで、品性を大切にし、しかも、自分のことをよく知り、社会の中で上手に存在したいと、懸命に常識を守っていた。いい生活を夢みているが、それは金満とはほど遠いものであって、身の丈に合った幸福サイズをささやかに描き始めた、愛しい人間の愛しいいとなみが満ちた昭和の町には暗がりがあった。だから家の灯が見えたと、阿久悠は書くのだ。

     いま、私たち──日本人に〈家の灯〉は見えているのだろうか。
     時代に吹く風を独特の感性で読みとって言葉を紡いだ阿久悠が遺した次の一文が、胸に刺さります。

    〈さて、ぼくらは一体何をどこで忘れて来たか。それをずっと考えている。ぼくらという書き方をしているが、ぼくの周辺の人たちの意味ではなく、日本人のことである。
     ここ何年間かの社会の不条理に満ちた空気を感じる度に、これはもの凄く大切なものを、実にいいかげんな気持ちで忘れて来てしまったせいだと思っている。
     つまり、日本人が日本人をどこかに忘れて来たということだ。
     今の世、人が人らしくない。心ない人があまりに多過ぎる。かつても悪人がおり、犯罪も数多く起こったが、それらにも痛みを感じた。今はそれがない。おぞましさと不可解さだけを感じる。それはきっと、あるべき姿の共通イメージを失ったことによる。
     かつて貧しく、ささやかで、つつましやかであった時には、やさしさや美しさがあった。転べば手を貸すし、よろめけば抱きかかえもし、順番も譲るし、道もあけるし、そんなことは日常の光景として見られた。
     貧しさがいいと思ったわけではない。豊かになりたいとは思ったが、それは自分の歩幅に合ったスピードでの一歩一歩の前進だった。そこには健気(けなげ)な姿があった。
     ぼくら日本人が忘れたものは、普通の人間の健気さであるかもしれない。一途な思いであるかもしれない。
     健気とか一途とかが普通の人間のエネルギーであることを、何かの催眠術によって忘れさせられたのかもしれない。催眠作用だから、こんなに豊かになっても不機嫌で、エネルギーがないのである。
     いつ、どこで忘れたか。日本人が愛おしく思えてならない時代はどこか。〉

     稀代の作詞家の私たち日本人への最後のメッセージに、向き合っていただきたい。そうして、健気で、一途だった時代を私たちの共通の記憶として思い出してみたいと思う。

     最後に、阿久悠と高校野球の関わりに触れておきます。2018年のプロ野球の注目点のひとつに「怪物松坂大輔投手の復活」があります。米メジャーリーグから日本へ復帰、肩の手術、勝利はおろか登板さえままならない3年間を経て、今シーズン中日に移り、復活できるかどうかに注目が集まっています。阿久悠は1979年から2006年まで夏の高校野球大会の全試合を観戦し、一日一試合を詩に詠んだ。そのすべてをまとめた労作『甲子園の詩 敗れざる君たちへ』(幻戯書房)がイーブックジャパンで2015年10月30日より配信されています。1998年(平成10年)8月22日──決勝のマウンドには、横浜高校・松坂大輔投手がいた。京都成章を相手にノーヒット・ノーランをやってのけた。この日、阿久悠は「怪物の夏」と題して、若者たちを讃えた(一部抜粋)。

     あくまでもやさしい顔をし
     しなやかな体をし
     平凡をよそおいながら
     しかし
     圧倒的な非凡であった
     力もあった 技もあった
     タフネスもあった
     もちろん闘志もあった
     それなのに
     ギラギラと誇示しないのが
     新しい怪物の凄さであった
     横浜高校 松坂大輔投手
     この夏は彼とともにあった
     それは同時に
     彼を信じ彼とともに戦った
     仲間たちとともにあったことであり
     彼を標的にし彼にぶつかった
     対戦相手とともにあったことでもある
     決勝戦は静かだった
     五万五千の大観衆がいながら
     どよめきが固っていた
     そして あろうことか彼は
     ノーヒット・ノーランで幕を閉めた
     怪物の夏であった

     風流をやせがまんの別の呼び方と考えた作詞家は、『昭和と歌謡曲と日本人』に〈わが家の冷房装置を全廃し、タラリと汗をかきながら、高校野球の日々の詩を書いている〉と記しています。「怪物の夏」もそんな中から生まれたのかもしれません。
     とまれ、四季があることの意味を受けとめて、健気に、一途に生きる。そんな生き方を、日本人が取り戻すための、阿久悠からの最後の贈り物だ。(2018/3/9)
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    投稿日:2018年03月09日