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坂本竜馬、岩崎弥太郎ときたら、次は新撰組か勝海舟…なんてのは凡庸なので、変化球を投げてみました。この作品の主人公は、幕臣・小栗上野介。徳川幕府を中心とした共和国日本設立を唱えた人物です。私、前に史実は嘘だとか書きましたが、それは史実=事実ではないという意味。所詮、私たちの知っている幕末は所詮血沸き肉躍る英雄たちの伝説であり、側面からみると全く違う面が見えてくる。この作品はむしろこちらが正史でいいのでは、と思うくらい、歴史上埋もれてしまった重要な人物を鋭く描ききっていて、思わず唸ってしまいました。相当資料などを作者は集めたのでしょう。眉つば的なことはとりいれず、漫画的なハッタリは排除。架空の人物は狂言回し役の宮里という武士のみ。さらに、感心するのが人物の描きわけの見事さで、熱をこめながら静かに理念を説く小栗とひょうひょうと行動する勝との対立の構図などは、キャラが立っていてまったくもってわかりやすい。歴史上の偉人を脇役に配しながら、よくぞまとめあげたもの。歴史書を越えた、ぶっとい漫画作品です。
柴門ふみの漫画、特にこの作品はとってもイタい。いや、悪い意味ではなくて、結構身につまされるというか、心当たりがあるというか。別にこんなドラマチックな人生を歩んではいないのですけどね。じゃあなぜそう思うのだろう、と私なりに考えると…。誰しもが、どこかで見たり聞いたり、そして体験したりした恋愛観を、キャラクターが少しずつ持っていて具現化しているからなのかな、と。だから、どこかで共感できるお話になっているのだと思います。欲望に任せ暴走する若者や金にモノを言わせる権力者、聞いたことないですか。優柔不断な男やずる賢い女、周りにいませんか。この作品の主要人物である、なるみや掛居、取手の特徴的な部分は、かなりの確率で世間一般の人にあてはまりそう。恋に一途になり、裏切りに傷つき成長し、別れと出会いがあって、また絆が深まる。そんな、人の分かりやすい行動を描写するのが、この漫画はめちゃくちゃうまいというのが結 論。しかし、漫画とはいえ、人の恋愛を覗きみるのは楽しいな〜、なんて事を思っちゃう自分も相当イタいな。