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  •  アベ友企業と忖度(そんたく)官僚という妖怪が日本列島を跋扈している。
     さしずめ森友学園疑惑で鉄面皮な国会答弁で安倍晋三首相と昭恵夫人を守り通した財務省の佐川宣寿(さがわ・のぶひさ)前理財局長は、その代表格だろう。佐川氏は理財局長から国税庁長官に出世し、一方の森友学園篭池泰典前理事長と諒子夫人は7月末の逮捕以来、大阪拘置所に勾留されたままだ。かつては政治信条が近く、昭恵夫人を開設予定の小学校の名誉校長に迎えていたが、一転して安倍首相から「詐欺を働く人物」と切り捨てられ、裁判官、検察官、弁護人による公判前整理手続きが始まっているにもかかわらず保釈が却下される状況が続いています。
     その佐川氏が理財局長として行った国会答弁は、11月22日に公表された会計検査院の検査結果によって根底から覆されたわけですが、元経産省官僚として佐川氏を知る立場にあった古賀茂明氏は最新著『国家の共謀』(角川新書、2017年11月10日配信)で、佐川氏の国会における振る舞いについて実に興味深い指摘をしています。少し長くなりますが、「第五章 関心事は人事ばかりの官僚たち」より引用します。

    〈この問題ですっかり有名になったのが財務省の佐川前理財局長だ。「近隣国有地の売却価格の約一割」という、近畿(きんき)財務局の国有地“激安売却”に対し、厳しく追及する野党議員に対する答弁は“秀逸”だった。「売買契約締結をもって事案終了している。当日、その日かどうかは別にしても、速やかに事案終了で廃棄をしているということだと思うので、記録は残っていない」などと巧みにはぐらかし、尻尾(しっぽ)を掴(つか)ませなかった。
     私が経産省で予算のとりまとめをしていたころ、予算獲得をめぐって財務省主計局の官僚と交渉したが、ときには彼らとつるんで東京・向島(むこうじま)あたりに遊びにいくこともあった。佐川氏は一九八二年入省で私の二年後輩になる。
     もともと彼は主計局にいたが、私とは直接のかかわりがなく仕事の場で相対したことはないが、こうしたどんちゃん騒ぎの席にいた記憶がある。人となりは何となくわかっているつもりだ。国会で答弁する姿を見ると、「訳のわからないことをよくも平気で言えるな」と思うかもしれないが、彼は非常に頭がいい人間だ。
     国会での振る舞いはすべて確信犯。わかっていてやっている。自分が言っていることが、いかにおかしいかということを全部わかってやっているのだ。「でも、こう答えるしかない」と。
     もともと財務官僚には、財務省こそが国を背負い、国を動かす屋台骨だと思い込んでいる人が多い。自分たちはその大きな組織の歯車の一つだという意識があり、その歯車であることに対する誇りがある。そして、その誇りの裏には、組織に尽くせば、最後まで絶対に守ってくれるという確信がある。〉

     “親方日の丸”とはよく言ったものです。組織――この場合は安倍政権であり、その中核である財務省です。これを守れば、その自分も最後まで守られると確信して、追及をはぐらかし、論点を巧みにずらしてしまう確信犯。公務員は失業がない前提に成り立っているので、雇用保険(失業)料を払っていないそうです。したがって失職しても、基本手当(失業手当)を受給できない。それでもいきなり路頭に迷うことはないようです。官庁によって扱いに温度差はあるようですが、「最後まで守る」のが財務省で、だから財務省からの内部告発はほとんど聞いたことがない――古賀氏はそう指摘しています。

     8億円の値引きは根拠不十分――総選挙が安倍自民の“圧勝”で終わるのを待っていたかのようなタイミングで会計検査院報告が発表され、森友学園疑惑がさらに深まった。特例的な値引きに安倍昭恵夫人の関与があったのか、なかったのか。ここが問題の核心だ。しかし――昭恵夫人の国会招致を拒絶する自民党の壁に阻まれて真相解明はいっこうに進みません。
     元安倍昭恵夫人秘書で、現在はイタリア大使館一等書記官としてローマに在住している谷査恵子氏という経産省のノンキャリア官僚がいます。森友学園が小学校を建設する予定だった国有地の定期借地契約に関し、財務省国有財産審理室長に照会した「口利きファックス」で話題となった人物です。
     室長からの回答を得た谷氏は篭池氏に宛てたファックスに「現状ではご希望に沿うことはできないが、引き続き見守ってまいりたいと思う。夫人にもすでにご報告させていただいている」と書いていたことは繰り返し報道され、国会でも取り上げられました。谷氏は疑惑について説明をすることなく、国税庁長官に出世した財務省の佐川氏同様、一等書記官としてイタリア大使館に赴任しました。ノンキャリア官僚がヨーロッパ有力国の一等書記官になるというのは異例だという。
     安倍首相は「もし私や妻が森友学園の問題に関わっているようなことがあれば、首相も国会議員も辞職する」と国会で語りました。総理になるほどの人がそこまで言うのだから、森友関与はないのだろう――と思う人もいるかもしれませんが、谷氏の「口利きファックス」が出てきた以上それでは済みません。この「口利きファックス」、霞ヶ関の官僚の目にはどう映っているのか。一時期、経産省で谷氏と上司部下の関係にあった著者の指摘は明快だ。

    〈谷氏は経産省の課長補佐で東大卒だが、いわゆるノンキャリア。私は短期間だが、彼女の上司だったことがある。当時、「なぜキャリアを目指さなかったのか」と思わず聞いたくらい仕事ができる人だ。
     ただ、いくら仕事ができると言っても、彼女はノンキャリで、しかも課長補佐級である。財務省の人間から見ると、経産省よりも財務省の方がワンランク上。しかも彼女は課長補佐級で、国有財産審理室長は管理職である。つまり、二段階以上の格の違いがある。感覚的にはスリーランクくらい違うと感じる官僚も多いだろう。ファックスや電話で何か聞いたとしても、普通なら、「何で、オレに直接聞くんだ。失礼な奴だ。もっと下の役職のヤツに問い合わせろよ」という話になり、無視されてしまうのが落ちだ。
     だから、官僚経験者がこのファックスの文書を見れば、これは谷氏のバックに相当、偉い人がいるなとすぐにわかる。そうした後ろ盾がないのに、このファックスにあるように財務省の管理職とやり取りすることは想像もできないし、送った谷氏はよほどの愚か者ということになる。官僚一〇〇人に聞いたら一〇〇人が絶対にそう思うはずだ。この案件に安倍昭恵夫人が関わっていなかったら、こうしたやり取りはできるはずもない。
     そんなことは霞が関じゅうの官僚はわかっている。「昭恵夫人の意向が働いていない」ということはあり得ないのだ。
     財務省の異常安値による国有地売却の問題は、検察が本気になれば、絶対に解明される。それほど難しい問題ではないと思う。〉

     安倍晋三首相がなりふり構わずに国会を解散して疑惑追及を封印し、総選挙後は野党の質問時間を削りに削って追及を避けようと計るのも頷けます。しかし、安倍政権、忖度官僚、そしてアベ友企業の共謀、跋扈を放っておいたら、私たちを待っているのは「衰退した街」と「窮乏した生活」だ。
     本書「まえがき」より引用します。

    〈二〇三〇年の東京・銀座(ぎんざ)。
     日曜日のある日、たくさんのアジア人のグループが高級ブランド店の紙袋を両手にいくつも抱えて、通りを闊歩(かっぽ)している──。
     今の景色とどこが違うのかと思うかもしれない。それが大いに違うのだ。彼らは爆買い目的の訪日ツアー客ではない。都心の一等地にそびえ建つタワーマンションのれっきとした居住者なのである。
     今や高級タワーマンション居住者のほとんどが中国人や東南アジア系の人々になっていた。「街が清潔で安全」「空気や水がきれい」などの理由で、東京に移住してきたのだ。日本に“爆進出”してきた中国企業などに勤める人たちも少なくない。
     高級寿司(すし)店では、短パン・サンダル履きの若者が、二万円のランチを食べると携帯をかざして支払いを済ませる。店内で聞こえる言葉は中国語と英語。そこに日本人の姿はない。いつからか、このあたりでは、日本人サラリーマンに手の届く店は消えてしまった。物価は驚くほど上がったが、日本企業はまともに給料を上げられない。その間、人手不足で倒産する企業も続出した。
     一方、近くの外資系IT企業のオフィスに出入りするTシャツ姿の若者の年収は少なくとも三〇〇〇万円。彼らの表情は明るく自信に溢(あふ)れている。そこに飛び交う言葉もやはり中国語や英語で、日本語は聞こえてこない。
    その傍らでは、道路わきに停車した弁当屋の小型バンの前に日本人サラリーマンが列を作っている。今と変わらぬ光景だが、弁当の値段だけは上がった。一〇〇〇円の弁当を入れたビニール袋を手に黙って立ち去る彼らの表情に笑顔はない。〉

     古賀茂明氏がもっとも楽観的なケースとして描く「2030年の東京・銀座」です。ことさら悲観的に描いた悪夢ではありません。
     安倍政権、忖度官僚、アベ友企業。この悪のトライアングルを許している限りは、確実にやって来る日本の未来です。(2017/12/8)
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    投稿日:2017年12月08日