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「縮み」志向の日本人

日本人がはじめて開発し、世界に送り出した商品は扇子であった――。卓抜な視点で日本人の「縮み志向」を鮮やかに説き、日本文化の本質や日本が工業化社会のトップに躍り出ることができた秘密を明快に分析する。「拡がり」に弱い日本的特性も指摘して、“数ある日本人論のなかでも最高傑作”といわれる名作。

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韓国の一級文化人による「日本論」としてロングセラーになった、話題の書です。著者は1989年、盧泰愚大統領のもとで初代文化相を務めた文芸評論家の李御寧(イー・オリョン)。1981年から1982年まで、東京大学比較文学比較文化研究室客員研究員として日本で研究活動を行っており、日本語で執筆された本書が最初に出版されたのも82年です。テーマは一言で言えば、「日本人はなぜ〈小さなもの〉が好きなのか」につきます。一寸法師、桃太郎、牛若丸など日本の昔話には「小さな巨人」たちがたくさん登場しますが、韓国にはそうした例はなく、「拡大」をあらわす言葉はあっても「縮小」を表現する言葉はないそうです。そのほか、俳句、生け花、盆栽などの日本文化から戦後日本の経済復興、高度成長をリードした「トランジスタ」まで、社会や経済活動の様々な分野で「小さきこと」が重要なキーワードとなっていることを例証していきます。欧米と見比べることに終始してきた日本の比較文化論に馴れきった私たち日本人の間に、韓国文化との比較という視点から展開される李御寧の日本論が目からウロコともいうべき、新鮮な印象をもたらしたのは当然だったかもしれません。一つだけ、石川啄木の短歌の解釈を紹介しておきましょう。有名な「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」という歌です。李御寧はこう指摘しています。〈無限大の「東海」が「の」によって「小島」に縮まってくる。「小島」はまた「磯」に、「磯」はさらに「白砂」にぐんぐん縮まり、しまいには一点にすぎない「蟹」の甲羅にまで凝縮されてしまうのです。それがまた「われ泣きぬれて……」ですから、あの広い東海は結局、涙一滴になってしまったのです。啄木の歌はただたんに短い詩ではなく、東海からはじまる広い世界を凝縮したものであり、世界を縮めようとする、その意識の志向が直接言語に現れた形が、三度も「の」を繰り返したあの日本独特の構文法なのです〉ここでは「の」はたんなる所有格をあらわす助詞ではなくて、なにかを収縮しようと意識の動きをあらわす助詞としてしようされていますが、韓国語にはこのような用法はなく、したがって歌として翻訳することは不可能だという。韓国文化というフィルターをとおして日本を、そして日本文化を見直した名著です。(2010/8/27)
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