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魔女 (1)

強く、儚く、螺旋を描く満たされぬ想い。そして人々は未知なるものを求め、魂の世界へと誘われゆく…。幻想と恐怖が、大いなるイマジネーションによって解き放たれる連作短編。30年前・アジア西端の小国。その首都に滞在する英国人の少女ニコラは、バザールで働く青年ミマールに恋するが、結局は彼に振り向かれることなく帰国した。だが、自尊心の高いニコラは屈辱をずっと忘れず、富と名声、そして“世界の秘密”を手に入れた後、“力”を使いバザールの相談役たちを怪死させる事件を引き起こす。ニコラの復讐の魔の手は、次いでミマールの愛する孫娘・ハセキへと…。

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 僕の曾祖母は信州の山奥の村でまじない師をしていました。その村は、とにかくマムシが多く、噛まれて死んでしまう人が後を絶たなかったそうです。ある時、通りかかった旅の僧が、うちの先祖にマムシ毒に効く薬草とまじないを伝えました。その力は確かで(実際、マムシ毒に効果があるアルカロイドは植物由来であるそうです)、血清が普及するまではたくさんの人を救ったそうです。その薬草とまじないは代々長男の嫁に受け継がれてきたのですが、それも、ここ三代続いた嫁姑大戦争によって途絶えてしまいました。
 自分のすぐ近く、当たり前の生活の中に、超自然的なものとの繋がりがあるのはとても不思議に感じます。
 『魔女』に描かれるのは様々な魔女です。草原に住む魔女もいれば、都市に住む魔女、雪国に住む魔女や、ジャングルに住む魔女がいて、それぞれが違う体系の魔法を使います。ただ、自然と人間を仲立ちする者として魔女が存在するということだけが共通しています。
 「KUARUPU」で描かれるのはジャングルに住む魔女。森を破壊し、開発しようとする政府に反対する魔女クマリは最後の手段として自分をエサにして森の強力な精霊を呼び寄せます。政府軍は先も見えない白い霧の中、緑の地獄を見るのですが……。クマリたちの一族は自然と共に生き、森を支配する精霊の力を得てきました。しかし、自然から切り離され精霊を信じない人間たちには、生命の尊厳を問う霊の声も届くことはありません。ただ最後に彼らは畏れるべき精霊の世界を目の当たりにするのです。
 『魔女』に登場する精霊や魔術の世界は荘厳だったり、気色の悪い異形だったりさまざまなものが描かれています。そこにはモザイク画のような美しさがあります。細やかなものの集まりが全体を構築していくというモザイク画の美しさはこの作品のテーマそのものを表しているようにも思えます
 誰かが生み出したもの、作ってくれたものの実態を知らず、出来上がったものの上でしか生活していない我々と違って、魔女たちの生活はそのどれもが自分で得た経験と行動を根っことした地に足がついたもの。今、目の前にあるものとが全ての宇宙につながっている……そんな宇宙を感じさせてくれる、『魔女』稀有な作品なのです。。
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