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今日もいい天気 原発事故編

不便ではあるけれど、美味しい空気、さわやかな風、人々のあたたかさ、濃密になっていく家族のつながり。幸福なはずの田舎暮らしが突如と破れた!3.11福島原発事故。山本家の避難、帰還、怒り、狼狽、絆…。細密な筆致の中に満腔の怒りを込めて描く!

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近年、素晴らしいエッセイコミックが次々に生まれているので、必然的にその類の作品をご紹介する割合も高くなってしまいます。ある出来事を描く場合、当事者であるかどうかによって、説得力や共感の重みがグンと違ってきたりします。『今日もいい天気 原発事故編』は名作『遥かなる甲子園』や『そばもん ニッポン蕎麦行脚』の作者、山本おさむが自らの実体験を描き出した渾身の作品です。もともとは、妻の故郷である福島県の天栄村に移住して田舎暮らしを面白おかしく描いていた連載だったのですが、「3.11」のあの日を境にして一変してしまった村と山本の生活環境を一冊にまとめた内容です。一変させてしまったのは、言うまでもなく原発事故です。仕事場のある埼玉と福島の間を右往左往する山本は、妻と愛犬との今後の生活拠点について悩まされます。まず、あの日から直後、埼玉で一家は暮らし始めます。福島のわが家に帰りたいけど、放射能が怖くて帰れない。そんな状況の中でマスクをかけて車の窓を閉め切って、恐るおそる村に帰った夫婦が目にしたものは、マスクをつけずにいつものように登下校する小学生や農作業をする、ごく日常的な地元の人々の姿でした。もちろん地元の人々が、放射能が「怖くないわけはない」のです。地元に暮らす人々の心の機微や原発事故に対してのスタンスが、この作品には圧倒的なリアリズムで描かれているのです。特に、後半の「雑草の王国」の章に描かれた、無残な荒野と化した原発周辺の町と山本の心情を吐露した詩に胸を打たれました。“全国民が当事者”であるはずの、あの日の事故のことを後世に伝える不朽の作品です。(2013/6/7)
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