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水域 (下)

少年・スミオとその父が住む“夢の村”。他には誰もいないその村に、母親や友達が大勢戻ってきた。若い頃の姿をした千波の母は、千波に「ここは今はもうない場所だ」と教える。その直後から、千波は、朝目覚めても元の世界に戻れなくなってしまい……。――すべてを知った時、人々は自分が居るべき場所を悟る。

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 最近、よく「限界集落」という言葉を耳にします。高齢化が進んでしまって社会的な共同生活が難しくなり、消滅に至りそうな集落のことを指すそうです。国そのものが超高齢化社会へとまっしぐらに進んでいるので、誰にとっても他人事ではないのかもしれません。ご紹介する『水域』は、ヒット作『蟲師』の作者として知られる漆原友紀の作品です。テーマとして「限界集落」そのものが描かれているわけではありませんが、村の存亡に関わる「ある出来事」が物語の鍵を握っているとても幻想的な漫画です。物語の発端は、主人公の女子高生・千波(ちなみ)が部活の練習中に倒れてしまった時に見た夢から始まります。その夢では、深山の村で生活するスミオという少年と年老いた彼の父親に出会うのですが、村には他に住人がいません。夢に登場する川や滝、茅葺の家の中…千波は訪れたことがないはずの村なのに、どこか懐かしさを感じます。以降、頻繁にスミオとその村の夢を見るようになります。実はこの村は千波の母親や祖母がかつて住んでいた故郷なのです。「ある出来事」によって村人はいなくなり、母親にとって村のことは心の澱のようになっていました。この漫画を読んでいて面白いのは、夢と現実が徐々に同期するようになって謎が解明していく展開と「ある出来事」を通して描かれる故郷へのそれぞれの想いや絆です。読後には、深く心地よい余韻に浸れました。(2013/6/21)
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